1章:エピローグ
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『正確に言うのであれば君とメガトロンとの関係だ。奴の死を切っ掛けにディセプティコンの活動は停止している。だが、終わったわけでは無い。・・・少しでも今後の憂いを絶つためにも私は知らねばならない』
メガトロンの体は深く冷たい海の底に落とされた。
悪用されないよう、人の手に落ちないよう、彼の体は何よりも早く処理をされたのだ。
残されたキューブの欠片は政府が管理をしている。
欠片とは言えキューブを人間が所有したとしてもその力を活用することは出来ないのに、人間はオプティマスに対しキューブの所有権は自分達にあると宣言した。
欠片を狙ってたくさんのディセプティコンが今後、地球へとやって来て、今回のような争いになる事を恐れた一部の者達からは、欠片を持って去るようにという声も上がったのだが、大半の者達がキューブの持つ力に魅了され欠片を手放すことをよしとしなかったのだ。
そんな自分達人間を彼らはどう思っているのだろうかとミソラは考える。
『ミソラ?』
「すみません、少し考え事を・・・私のことでしたね」
『あぁ』
「・・・私は、本来ならこの時代に生きては居ないはずの人間です」
膝の上に置いていた手を無意識の内に握りしめる。
「少し長くなりますよ」
夢だと思っていた光景は夢では無かった。
現実であったのだ。
きっとこの話を聞いたオプティマスは幻滅をするだろう。失望するだろう。そう思いながらミソラはゆっくりと口を開く。
「私が暮らしていた村にキューブを探しに来たメガトロンが現れたの。メガトロンはその場にいた人達を次々と殺していった」
とてつもない破壊力を持ったメガトロンに対し、村の人達は次々と殺されていった。老若男女関係なくメガトロンは破壊の限りを尽くしたのだ。
「目の前で両親が殺されて、私も殺されそうになった・・・でも、私は死にたくなかった」
血だまりに沈んだ両親の無残な姿を見て恐ろしくなったのだ。
自分もあんな風に殺されるのが。
「だから、だから私は・・・・命乞いをしたの」
なんて情けないことだろうかとミソラは思いながら涙を流す。
殺されたのは実の両親だというのに、自分は敵をとろうとするでもなく、一矢報いようとすることなく、愚かにも命乞いをしたのだ。
「「なんでもします」「どうかお願いです」「助けて下さい」って泣きながらメガトロンに頼んだの・・・」
今にして思えばメガトロンがそんな自分の懇願を聞き入れたのが不思議で仕方が無い。
ひとしきり無様な人間を見て嘲笑った後、殺されても可笑しくなかったというのに彼はミソラを生かした。
「奴隷として生きていたある日、メガトロンはキューブを見つけ出したの。私も一緒に連れて行かれたのだけど・・・」
凄まじい速さで移動するメガトロンであったが、突然、急に失速したのだ。
その行動は彼の意思では無かったように思える。
「気づけば北極だった。メガトロンの怒り狂う声が聞こえていたけど、それがだんだんと聞こえなくなっていって、赤い瞳から光が消えたのを見て私も意識を失った」
『恐らく北極の寒さに体が耐えられなかったのだろう』
フーバーダムで氷漬けになっていたメガトロンの姿。
ようやく終われると薄れゆく意識の中でミソラは思っていた。
これでもう彼の側で殺される人々を見ることも無ければ、彼に恐怖を抱いて生きることがなくなるのだと思っていた。
北極の寒さは容赦なくミソラへと襲いかかりその命を奪ったはずだったのだ。
「・・・でも、私は生きていた」
そっと自分の心臓のあたりに手を置いてミソラは囁くように呟いた。