序章

夢小説設定

この小説の夢小説設定
名前の登録をお願いします。
苗字の登録をお願いします

焼け崩れる家屋、あたりに響く悲鳴、悲しみの慟哭、それらを聞きながら少女は立ち尽くしていた。
 目の前にはすでに事切れた両親の姿。
 それただ、黙って見つめることしか出来ない。
 頭では逃げなければと解っているのに、その思考に反して体は全くと言って良いほど動いてはくれない。
 不意に頭上から差し込んできた影に身を震わせる。
 恐る恐る顔を上げると赤い光が二つ自分を見下ろしていた。
 その光に対し恐怖を抱き何も出来ずにいることしかできない。
 ゆっくりと落ちてくる銀色の何かを少女は見つめることしか出来ずに居た。


 そこで最初の意識は途切れる


 全てを凍らせるかのような銀世界、吹き荒れる風の音、怒りに震える声、それらを聞きながら少女は倒れていた。
 目の前には怒りで震える何か。
 それをただ、黙って見つめることしか出来ない。
 肌を突き刺すような冷たさにこのままでは命が危ないと解っているのに、すでに凍り付いた体は動かない。
 頭上で怒り狂っていた何かが崩れ落ちる。
 動かすことが唯一出る目を動かし崩れ落ちたソレを見つめる。
 消えていく赤い光に心の底から安堵した。
 次第に薄れゆく意識に少女は心の底から微笑みながら静かに目を閉じた。

 そこで意識は途切れる


 無機質な灰色の壁、一定のリズムを刻む電子音、感情の宿らぬ声、薄い膜に包まれたような状態で少女はソレを聞いている。
 目の前にはせわしなく動く白衣を着た人。
 それをただ、黙って見つめることしか出来ない。
 四肢にしっかりとつけられた拘束具が身じろぎすら許してはくれないのだ。唯一許されたのは息をすることだけ。
 すぐ側に白衣を着た人が立つ。
 鈍くなっている思考が警告を出すのに拘束具がそれをゆるしてはくれない。
 貼り付けたような薄気味悪笑みを浮かべた人。
 その手には注射器と呼んでいるモノが握られている。
 注射針が肌に刺さり薬が注入されたのと同時に凄まじい激痛が走った。


 そこで意識は切らされた


 真っ白な壁紙、様々な生活音、親しげな声、今までとは違う環境に少女は唯々困り果てた顔をして座っている。
 目の前には優しげな眼差しをした二人組。
 彼らをただ、黙って見つめることしか出来ない。
 やせ細った体は己の意思で動かすことができず、ただ辛うじて座っていることしか出来ずに居た。
 両脇に二人組が立つ。
 何をされるのか解らない恐怖で思考が染まりゆく中、諦めにも似た心境を少女は抱く。
 愛おしむかのように触れてくる優しい手。
 やせ細った体に力を注ぐかのように何度も何度もその手は背を撫でる。
 そのぬくもりに少女は声を上げて泣きじゃくる中、優しい手は背中をなで続けた。


 そこで意識は途切れていく


 燃えさかる火の海、絶えることの無い破壊音、逃げろと叫ぶ声、最初の記憶と酷似したそれに少女は立ち尽くす。
 目の前には傷だらけの二人組。
 彼らをただ、黙って見つめることなど出来ない。
 傷だらけの己の身を顧みずに少女は彼らに向かい必死に手を伸ばすが、伸ばす手が彼らに触れることは叶わない。
 少女と二人の間に何かが突き刺さる。
 何が起ったのか解らないという顔をして少女は落ちてきた金属片に触れる。
 絶望に満ちた悲鳴を上げながら少女は金属片を何度も何度も叩き続けた。


 そこで意識は途切れてはくれなかった。


泣きじゃくる少女を無数の手が捕まえる。
 嫌だと叫ぶ少女をそこから無理矢理引き離す。先程まで居た場所に火の雨が降り注ぐ。幾度目かの意識で見た己を拘束していた台とよく似たモノの上に寝かされ、必死の抵抗をする少女に、白い服を着た人は哀れむかのような目をして注射針を腕に刺す。
 そこで最後の意識が途切れた。
1/4ページ
スキ