5章:全てはこの為に
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「家にはもう迷子を引き取る余裕なんてないぞ」
ミソラを見ることをしないままケイドは告げる。
目を見ないのは彼の中にある子供を見捨てる、という行為に対する罪悪感からだ。
「食事は私の分をイザベラに渡します」
「お前はどうするんだ?」
「私は・・・食べなくても平気です」
オールスパークが生かしてくれる。そう思いながらミソラはそっと自分の胸元を押さえる。ミソラの返答はケイドにとって納得のいく、満足できるものではなかったらしく不快そうに彼は目を細めた。
「そういう問題じゃ無いだろ。俺達は慈善事業をしているわけじゃない」
「私だってイザベラと同じです。ここに居ても何も役に立っていませんから」
「お前に関してはオプティマスの事がある。なにより、お前が色々とアイツ等の仲裁をしてくれていることは知っている。だがそのお嬢ちゃんに何が出来る?」
淡々としたケイドの返しにミソラは言葉に詰まる。
今の自分には彼を納得させられる事が出来ない。
悔しげに拳を握った時だ。
「メカの修理が出来る」
凜とした声が2人の間に響く。
2人が視線を向けた先に居たのはイザベラだ。
後がない彼女もまた必死な形相をしてケイドを見据えている。その目の強さは子供らしくなく、彼女がいかに苦境な立場に置かれていたのかを物語っていた。
「ケイドさん。私からもお願いします。イザベラはきっと私達の味方になってくれます」
「・・・子供はここには置かない主義だ。ちゃんとした場所で守られるべきだ」
「でもッ!!」
見捨てるのか?わざわざシカゴまで助けに行ったというのに?
そう言うかのようにミソラが尚も食い下がろうとしたときだ。やんわりとそれを諫めるかのようにイザベラはミソラの手を掴む。
「・・・ありがとう。もういいよ」
「イザベラ。私はキャノピーから貴方の事を託された」
「知ってる。でも、もう良いの。ケイド、だったよね?私は明日出て行く。今日だけはここに居ても良いでしょ?」
これ以上のやり取りはしたくない。
そう言うかのようなイザベラをミソラはジッと見つめていた。
「子供は子供らしくあるべきだ。ましてや12歳ならなおさらだ」
「私はもう14歳よ」
やんわりと自分の年を訂正したイザベラはやってられないと言うかのようにヒラヒラと手を振ると、この場から立ち去るかのようにドアへと手を伸ばす。
独りで生きていくことなど慣れている。
そう言うかのようなイザベラをミソラは無力感に苛まれながら見つめる。
何も出来ない。
託されたのに。
そう思っていたミソラの横をケイドが通り過ぎていく。
「質問だ。オートボットのスラント6から燃料が漏れたらどうなる?」
「出血多量で死ぬ」
「ならどう処理する?」
「出血箇所を焼いて止血する。そして、えぇっとナントカって管に」
「・・・解った。十分だ。ここに居ろ。くれぐれも問題は起こすなよ?」
ケイドがイザベラがここに居る事を了承したその言葉を聞いたミソラはイザベラへと近づくと彼女の身体をギュッと抱きしめた。