5章:全てはこの為に
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『どうかあの子を助けて欲しい』
縋るように、祈るように、託すかのように紡がれる言葉に導かれるかのようにミソラは声のした方へと視線を向ける。
そこには見たことのないトランスフォーマーが一体居た。
「貴方は誰?」
『私はキャノピー。どうか、あの子を助けて欲しい。私の家族を。貴方にしか頼めない。孤立している私達には貴方しかもう・・・頼れる者はいないのだ』
ゆっくりと伸ばされた指先。
それにそっと触れたミソラの脳裏に浮かぶのは荒れ果て街の姿だ。
廃墟化した街中で一人の少女が生きている。
たった独り。
夜になれば親を求めて声を殺して泣く姿にミソラの胸が痛くなる。
『どうかお願いだ』
「解りました」
大きな指先をキュッと握り返して答えれば、キャノピーは驚いたように青い目を見開いた後、安心したと言うかのように笑う。
『ありがとう。オールスパークの力を受け継ぐ者よ・・・私達はここに居る』
頭の中に浮かんだ場所、そこに彼等が居るのだと理解したミソラは驚いたように目を開く。
その場所はオートボット達にとってとても危険な場所であることくらい解っている。封鎖された街、隔離された場所、人間にとって忘れることの出来ない悲劇が起きた街、トランスフォーマー達との決裂となった場所だ。
「貴方達はシカゴにいるのね」
『そうだ。私達はシカゴで生きている』
ミソラが居る場所からシカゴまでは少しばかり距離があるものの、行って行けない距離では無い。
「解った。必ず貴方達を助けに行く・・・だから待ってて?くれぐれも軽率な行動はとらないでね」
ただ、唯一にして最大の問題はシカゴの警備だ。
先日、あの場所に宇宙から何かが落ちたとネットで噂になっている。
軍がシカゴへと密かに向かったのを見た人が多数いるが、政府からそれに関して何かが発表されることはない。
キャノピーが助けを求めてきたのもきっと先日の件が原因なのだろうとミソラは判断していた。
宇宙からやって来たのがオートボットなのかディセプティコンなのか解らないが、地球に来たばかりの彼等の命が問答無用で狩られた事を悔いるかのようにミソラは静かに目を伏せる。
キャノピー達だけは絶対に守ってみせる、そう思ったミソラだったがある疑問を抱くとキャノピーへと視線を向けた。
「貴方と一緒にいる女の子の名前は?」
『イザベラ』
「可愛い名前だね」
『ありがとう。イザベラに貴方がそう言っていたと伝えておく』
自分の事のように嬉しそうに笑ったキャノピーの言葉に、本当に二人は良い関係なのだなと思ったミソラはサムとバンブルビーの姿を思い出す。
あの二人にもずっと仲良く一緒にいて欲しかった。
叶わぬ未来になってしまった事を悔いるかのようにミソラは静かに目を伏せた。