4章:逃走の果てに得たものは
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「ッ・・・・いやぁぁぁぁ!!!!」
悲鳴を上げたのと同時にミソラは身を起こす。
見覚えのない車内に頭の中が真っ白に染まっていく。どこか遠いところから誰かが必死に何かを言っている声が聞こえるが、親しみのないその声にミソラは更に恐怖を抱く。
逃げなければ。
ここから、逃げなければ。
メガトロンがやって来る前に。
混乱する頭の中でドアを開けようと必死になっていたミソラだったが、ハウンドはドアをロックしてミソラの中から出さないようにする。
今、ここで外に出してしまえばきっと良くない結果になると判断したのだ。
『落ち着け!!大丈夫だ!!』
「いやだ、いやだ・・・もういやだ!!たすけて、たすけて、オプティマス」
縋るようにガラスに爪を立てたミソラの口からオプティマスの名前が出てくる。
どうしようもなく、彼に会いたい。
守ってくれると約束してくれたオプティマスに会いたい。
あの青い瞳がみたい、そう思いながら窓を叩いていたときだった。
『これが人間で言う夜泣きってやつか?』
ニヤニヤと笑いながらクロスヘアーズがハウンドの中にいるミソラを見つめる。
『クロスヘアーズ、離れろ!!』
『嫌だね』
『このッ!!!!』
相変わらずの自分主義だと考えながらハウンドはこの場から移動すべきかと考えていた時だった。混乱していたミソラが動きを止めているのだ。
なんだと思い意識を向けてみれば、ミソラはぼんやりとした目でクロスヘアーズを凝視していた。
『・・・なぁ?この人間、どうしたんだ?』
まるで恋しているかのようなその熱い視線にクロスヘアーズは言いようのない感情を抱く。
人間は嫌いだ。
彼らは自分達とは違うモノを排除する彼らのことが。
今まで出会ってきた人間がそんな目をしていたのに、自分を見るミソラの目がとても好意的であることがクロスヘアーズには信じられないのだ。
『俺にもさっぱりだ』
困惑した音声でハウンドが答えたのと同時にミソラは安心したと、言うかのように穏やかに微笑む。
「よかった」
『はぁ?』
「そばにいてくれたんだ、オプティマス」
そう呟いたのと同時に身体が傾き、シートの上に倒れ込む。
完全に意識を失っているミソラを車内に乗せたまま、ハウンドは状況が理解出来ずにいた。
ハウンドと同じくクロスヘアーズも状況が全く解らなかったが、ミソラが自分を見て、正確には目の色を見て安心し、そして自分をオプティマスと呼んだことを理解すると不機嫌そうな顔になる。
『俺はオプティマスじゃねぇよ』
間違えるな。
そう言おうにも相手はすでに意識を失ってしまっている。
どうしようもない感情がスパークを埋め尽くし、クロスヘアーズは苛立ちをぶつけるかのように近くの柱を思い切り蹴りつけた。