たくさんのモノで溢れかえっているサムの部屋。
　その中から眼鏡を探している二人。

　「サム、あれほど掃除してって言っていたのに」

　「ミソラの部屋がすっきりしすぎなんだよ！！！コレが普通なの、今時の男の子部屋は！！」

言い争った後、外から聞こえてきた音に二人は動きを止めると視線を合わせた。
　恐る恐る窓の方に視線を向けた瞬間、そこにいた人物を見て息をのむ。

　「なにしてんの！？」

小さな声で抗議をしたサムは窓に近づくと、オプティマスの掌の上に乗っているミカエラに向かい手を貸して室内に招き入れる。

　「なんか、急いでいるみたいで私も協力してこいって言われたの」

　「あぁ！！もうっ！！！ミカエラはそっち探して・・・あぁぁぁぁ！！だめだめだめ！それは駄目！やっぱりそっちは僕が探すから」

ミカエラの手から箱を奪い取ったサムに対し、ミソラは深々とため息を吐いた時、外から聞こえてきた音に気づき視線を向けるがすぐに後悔をした。
　庭に所狭しと様々な車が止まっているのだ。

　「パーキングエリアになってる。・・・ジュディさんが見たら卒倒しそう」

色々な意味で。
　そんなことにならないようにするためにも、一刻も早く眼鏡を見つけ出して彼らをここから追い出さなければとミソラは思い行動を開始する。
　オプティマスからの催促に対し、サムは必死に彼らが親に気づかれないようにするため説得を続けていると、渋々という様子でオプティマスはようやく撤退命令を出してくれた。

　「これでゆっくり探せるかな」

少なくとも外を気にする必要が無いため、集中出来るなと思った瞬間だった。
　部屋の明かりが突然消える。
　すぐ近くから聞こえてくるバチバチという火花の音にミソラは項垂れる。　
　犯人は絶対に彼らだ。
　懐中電灯を部屋から持ってこようと思い部屋に行こうとしたとき、窓から差し込んできた明かりに唖然とした顔をする。

　「なにしてるの！？こんな暗闇の中で部屋なんか照らしたら見つかっちゃう！！！」

消して欲しいと全身を使ってミソラが訴えていたとき、ドアの方からロンとジュディの声が聞こえてきた。
　
　「ミカエラはそこに隠れてて」

丁度死角になりそうな場所を指さしたミソラの指示にミカエラはその場所に身を潜める。
　彼女の姿を一時的に隠すことを確認したサムは一つ頷くとドアを開けた。
　そこから始まる親子喧嘩。
　ジュディの執拗な質問に対し、ロンとサムはタッグを組んで抗議をする。
　チラリとミカエラの方を見ると彼女は微笑ましいと言うかのように笑みを浮かべているが、その目が少しだけ寂しそうなことに気づいた。

　「あの、そろそろ許してあげた方がサムのためにも良いかなって思うんですけど」

サムの名誉の為に。
　ここに居るのはウィトウィッキー家の人間だけでは無いのだから。
　ソレを合図にしたかのようにミカエラが立ち上がり、軽く咳をして己の存在を主張する。ミカエラの登場により何とか無事に誤魔化すことはできたが肝心の眼鏡は未だ行方不明だ。

　「ジュディさん、サムの鞄見ましたか？」

　「それならキッチンにあるわよ」

その言葉に三人は部屋を出てキッチンに向かって歩き出した。