その場にいる者達の視線は全てミソラだけに向けられている。
　当の本人は何故、彼らが自分を見つめてくるのかが解らず目の前に居るサムに視線を向けた。
　
　「ミソラ、君本当に大丈夫？」

　「え・・・あ、うん。大丈夫。もう傷も痛くないし」

先程ロボットに掴まれた傷口からの出血は止まっており、ずきずきと痛むものの問題はなかった。
　
　「いや、そうじゃなくてさ」

　「どういう意味？」

サムの言っていることが解らないと言うかのようにミソラが顔を顰めると、その状況を見かねたらしいミカエラが口を開いた。

　「あなた何か呟いていたのよ。私もサムと同じ意見よ・・・ほんとに大丈夫？」

額に手を添えてくれたミカエラは熱が無いか確認しているようだ。

　「ちょっと熱っぽいよ。やっぱり病院に行った方がいいわ」

サムに向かいこれ以上この場にいるのは良くないとミカエラは訴える。
　先程のことも恐らく熱によるものだろうと彼女の中では結論付いているらしく、急いで病院に行って手当てをした方が良いだろうとサムに告げると、サムも同意見らしく一つ頷くとオプティマスに向かい声をかけた。

　「話の途中で悪いんだけど病院に行きたいんだ」

　『駄目だ。我々には時間が無い。メガトロンよりも先にオールスパークを見つけねばならない』

　「解ってる、解ってるよ！だけどこっちは怪我人がいるの、解る？」

　『駄目だ。一刻の猶予も無い』

自分の言葉を否定するオプティマスに対し、サムは少し苛立ったような顔をした時だった。

　『では、こうしてはどうかな？』

ラチェットはサムとオプティマスに対しある提案をしてくる。
　それは一度サムの家に向かい、オールスパークを探す手がかりとなるだろう眼鏡を回収した後、ミソラを病院に連れて行くというものだった。
　サムはあくまでも病院を優先させるが、ここから最寄りの病院までかなりの距離があるため彼らの手を借りねばならない。

　「サム、私は大丈夫だから」

　「だけど！」

　「このまま言い争っていても解決しないでしょ？ね、大丈夫だから」

熱があるからなのか酷い倦怠感に襲われながらミソラはサムを説得する。
　いつものように笑みを浮かべて。
　異変を彼に悟られてはいけない。
　きっと優しい彼に心配をさせてしまうから。

　「・・・・解ったよ」

渋々という様子でサムは了承する。
　
　「バンブルビー、頼むよ」

サムの言葉にバンブルビーはカマロになると彼らを受け入れようとする。
　ミカエラに手伝ってもらいながら車に乗ろうとしたときだった。
　扉に手をかけているミソラに対しオプティマスが声をかけてきた。

　『君は私と一緒に行動をして欲しい』

　「え？」

何を言っているのだ。
　あからさまな拒絶を顔に出しながらミソラはオプティマスを見つめることしかできなかった。