if:あり得たかもしれない未来
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『君の力は我々トランスフォーマーのみに作用する。人間には一切通用しない・・・今までの戦いにおいて大切な人を失った人々がたくさんいる。そんな彼らが我々の仲間が蘇った事を知ったらどう思う?』
きっと奇跡の力に群がってくるだろう。
しかし、その奇跡は人間には作用せず、金属生命体にしか向けられない。それを扱うのは自分達と同じ人間だというのに。
『希望は時にとても残酷だ・・・・裏切られた者達が君の命を狙うだろう。君と同じ人間がだ。その苦しみに君は耐えられるか?幼い子供を抱きかかえた母親が夫であり子の父親を返せと銃を向けてきたとき、家族を全員一瞬で奪われた者が向けてくる怒りを、恨み辛みが込められた言葉を容赦なく叩付けられて・・・・君は平気だと言えるか?』
諭すように語られるラチェットの言葉にミソラはいつの間にか涙を流していた。
その姿を見てラチェットは理解したことを感じ取った。
本音を言うのであれば彼女の申し出は嬉しいのだ。それはオプティマスも同じだ。今やミソラはオールスパークとなっており自分達が崇め守るべき存在だというのに、それをひけらかすことをせず、ただ変わらぬ優しさを向けてくれること他嬉しいのと同時に、その彼女が傷つくのを見たくないのだ。
「オプティマス。お前もちょっと言葉を選べ・・・ミソラのやろうとしたことの意味くらい分っているんだろう?だったら、本音を言うべきなんだよ。言葉巧みに上辺だけ納得させようとするな・・・・それが間違いに繋がることにもなる」
取り返しのつかない間違い。
指揮官としてたくさんの部下を失ったレノックスの言葉の重みに誰も口を開かない。
「・・・ごめんなさい。ちょっと、頭冷やしてくる」
逃げるようにその場から走り去ったミソラをオプティマスは見送ることしか出来なかった。
そんな彼に対し、呆れたような視線を向けたレノックスは意を決したかのように彼を蹴りつける。驚いているオプティマスに対し、レノックスはミソラが向かった先を指さす。
「追いかけろ!!じゃないと・・・失っちまうぞ?」
慌ててトラックへとトランスフォームをしたオプティマスが走り出す。
それをレノックスは楽しげな笑みをして見送る。
『君は本当に優秀だな』
「お褒め頂きありがとう!」
レノックスはそう言葉を返すとポケットからアイアンハイドの欠片を取り出す。
「偉そうな事なんて本当は言えた立場じゃない。ミソラの話を聞いて、俺も一瞬アイアンハイドが戻ってくるって思ったら嬉しかったからな・・・ラチェットの言うリスクなんて解っていなかった。辛いのはあいつなのになぁ」
ギュッと欠片を握りしめたレノックスの姿にラチェットは無言で彼の頭をグリグリとなで回す。
『私とて君と同じだよ』
「・・・そんな都合の良い奇跡なんてないのにな」
失ったら取り戻せない事くらい解っている。
それが出来たのならばどれだけ良かったことか、そうレノックスとラチェットは思いながらここには居ない者達の顔を思い浮かべることしかできない。
「あの二人仲直りができるといいんだが」
『大丈夫だろう。あの二人なら。どうせ戻ってくる頃にはいつも通りになっていて、見ているこっちがイライラするくらい仲むつまじくなっているさ』
「言えてるな!!」
あの二人には幸せで居て欲しい。
そう願う二人の目はとても穏やかだった。