3章:全てを見ていた月
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サムにとって戦いはこれで三度目だ。
一度目はキューブを守る戦い、二度目はオプティマスを蘇らせる戦い、そして今回の三度目。地球の未来をかけて戦うなんて自分には無縁だと思っていた。
もしも自分が戦うとしたらきっと大切な人のためだろうなとサムは常々思っていた。
それは恋人であるカーリーであったり、自分を慈しんでくれた両親であったり、幼い頃から一緒に暮らしてきたミソラであったり。
そんな人達の英雄にならサムはいつだってなるつもりでいた。
そして今こそ、その英雄になるべき時なのだと言うことくらいサムは理解している。
「ミソラ、よく聞いて」
縋るように自分の上着を握りしめているミソラに向かいサムは告げる。
彼女を守れるのは自分だけだと思っていた。
チラリと視線を向ければ体に見慣れない文字を浮かび上がらせているミソラの姿がある。一度、大学時代の時に見たことのあるサイバトロン語だ。ソレが彼女の体に浮かんでいると言うことの意味くらいサムは解っていた。
来るべき時が来てしまった。
唇を無意識の内に噛みしめる。
サムの脳裏に浮かぶのは幼い少女の姿。同い年だと解ったときの衝撃、困ったように微笑んでいる姿、嬉しそうにはにかんだ笑み。
「サム」
大切な家族だった。
彼女を守れるのは自分だけだと無意識の内に思っていたが、現実は違っていた。
成長するに従い自分には他に守りたい人が出来て、ミソラにも大切な存在が出来るようになった。
「サム?」
黙り込んだサムに向かいミソラは不安げな面持ちで彼を見つめる。
大丈夫だと言うかのようにサムは一つ微笑むと口を開く。
「僕がディランの気を引くから逃げて欲しい」
「でもッ!!」
「君が捕まったら全部終わる。僕らは仲良く奴隷だ。モージョみたいにディセプティコンにしっぽ振ったりしなきゃならない。そんな生活なんて僕はお断り!!・・・だから、君は逃げるんだ。逃げなきゃだめだよ、ミソラ。オプティマスがきっと君を助けてくれる」
向けられたヘイゼルの瞳。
昔と変わらないもののひとつ。ずっと側に居て支えてくれていた大切な家族。
彼らと共に過ごしていけると思っていたが現実は違う。ずっと自分を守り、困ったときは側にいてくれたサム。彼は彼の戦いを見つけたのだ。自分にしか出来ない戦いを。
それを嬉しいことだと、喜ばしいことだと思う反面、寂しいという気持ちがあるのも事実だった。それを全て押し殺し、ミソラは誤魔化すかのように家訓を口にした。
「犠牲なくして勝利なし」
「・・・僕は犠牲になるつもりはないよ。だってカーリーが待ってるんだから」
「解った。サム、無茶しないでね」
「解ってるよ」
互いの拳をコツンと付き合わせる。
こんな他愛ないやりとりもきっと最後だということくらい互いに理解している。同じ価値観できっと同じモノを見ることが出来なくなるのだから。
「サム、ありがとう・・・私ね、サムと一緒に暮らせて、ウィトウィッキー家の人達と出会えて幸せだったよ」
「僕の方こそありがとう」
視線を合わせることなく二人はそう告げる。
相手がどんな顔をしているのか解った上で言葉を交わす。
「何をひそひそとやっている!?」
「アンタには関係ないだろ!?」
言い放ったのと同時にサムがミソラを押す。
逃げろと、希望を絶やすなというかのように。
浮かび上がる涙を必死に堪え、ミソラは走り出す。
背後から聞こえてくるディランの怒声も、抗うかのような叫び声上げるサムの声を聞きながら、ミソラは必死に足を動かした。
一度目はキューブを守る戦い、二度目はオプティマスを蘇らせる戦い、そして今回の三度目。地球の未来をかけて戦うなんて自分には無縁だと思っていた。
もしも自分が戦うとしたらきっと大切な人のためだろうなとサムは常々思っていた。
それは恋人であるカーリーであったり、自分を慈しんでくれた両親であったり、幼い頃から一緒に暮らしてきたミソラであったり。
そんな人達の英雄にならサムはいつだってなるつもりでいた。
そして今こそ、その英雄になるべき時なのだと言うことくらいサムは理解している。
「ミソラ、よく聞いて」
縋るように自分の上着を握りしめているミソラに向かいサムは告げる。
彼女を守れるのは自分だけだと思っていた。
チラリと視線を向ければ体に見慣れない文字を浮かび上がらせているミソラの姿がある。一度、大学時代の時に見たことのあるサイバトロン語だ。ソレが彼女の体に浮かんでいると言うことの意味くらいサムは解っていた。
来るべき時が来てしまった。
唇を無意識の内に噛みしめる。
サムの脳裏に浮かぶのは幼い少女の姿。同い年だと解ったときの衝撃、困ったように微笑んでいる姿、嬉しそうにはにかんだ笑み。
「サム」
大切な家族だった。
彼女を守れるのは自分だけだと無意識の内に思っていたが、現実は違っていた。
成長するに従い自分には他に守りたい人が出来て、ミソラにも大切な存在が出来るようになった。
「サム?」
黙り込んだサムに向かいミソラは不安げな面持ちで彼を見つめる。
大丈夫だと言うかのようにサムは一つ微笑むと口を開く。
「僕がディランの気を引くから逃げて欲しい」
「でもッ!!」
「君が捕まったら全部終わる。僕らは仲良く奴隷だ。モージョみたいにディセプティコンにしっぽ振ったりしなきゃならない。そんな生活なんて僕はお断り!!・・・だから、君は逃げるんだ。逃げなきゃだめだよ、ミソラ。オプティマスがきっと君を助けてくれる」
向けられたヘイゼルの瞳。
昔と変わらないもののひとつ。ずっと側に居て支えてくれていた大切な家族。
彼らと共に過ごしていけると思っていたが現実は違う。ずっと自分を守り、困ったときは側にいてくれたサム。彼は彼の戦いを見つけたのだ。自分にしか出来ない戦いを。
それを嬉しいことだと、喜ばしいことだと思う反面、寂しいという気持ちがあるのも事実だった。それを全て押し殺し、ミソラは誤魔化すかのように家訓を口にした。
「犠牲なくして勝利なし」
「・・・僕は犠牲になるつもりはないよ。だってカーリーが待ってるんだから」
「解った。サム、無茶しないでね」
「解ってるよ」
互いの拳をコツンと付き合わせる。
こんな他愛ないやりとりもきっと最後だということくらい互いに理解している。同じ価値観できっと同じモノを見ることが出来なくなるのだから。
「サム、ありがとう・・・私ね、サムと一緒に暮らせて、ウィトウィッキー家の人達と出会えて幸せだったよ」
「僕の方こそありがとう」
視線を合わせることなく二人はそう告げる。
相手がどんな顔をしているのか解った上で言葉を交わす。
「何をひそひそとやっている!?」
「アンタには関係ないだろ!?」
言い放ったのと同時にサムがミソラを押す。
逃げろと、希望を絶やすなというかのように。
浮かび上がる涙を必死に堪え、ミソラは走り出す。
背後から聞こえてくるディランの怒声も、抗うかのような叫び声上げるサムの声を聞きながら、ミソラは必死に足を動かした。