5話:キミの為にできる事
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
背中に震えた手が氷のように冷たくて震えていることにセツナは気づいていた。
父は本当は止めたいのだ。
娘が危険な場所へと向かう事を。けれど敵の企みを阻止できるのはバンブルビーだけで、作戦の要になるだろう存在がチャーリーとセツナ以外を嫌っている為、全ての命運を彼等に託すしかない。
「お前はお前に出来る事をしなさい。ただし、無茶だけはしないように」
「はい」
「チャーリー、君もだよ?2人揃ってちゃんと家に帰ってきなさい」
「解りました」
2人の返答を聞いた父は笑っているが、その目には微かに涙が浮かんでいることにセツナは気づくとそっと目を逸らすと、足早にバンブルビーへと近づく。
運転席に座るのチャーリーだと解っている為、助手席に座るが中々チャーリーが乗り込んでは来ない事に小首を傾げながらチャーリーを見つめると、彼女はジッとメモの姿を見つめたまま身動き一つしない。
「メモ君だったね?私と口裏を合わせて欲しいから、少しばかり作戦会議をしたいのだが構わないかな?」
「えぇ。勿論喜んで」
ここからが自分の正念場だ、というかのように意気込むメモの顔をチャーリーはジッと見つめていたが意を決したかのようにメモへと近づく。
無言のまま近づいてきたチャーリーに気づいたメモはどうしたのだ?と言うかのような顔をして彼女を見つめていた時だ。
チャーリーはメモの頬にキスをする。
「・・・わぁお」
突然の展開にセツナは口元を手で覆う。
バンブルビーも驚いたらしく機械音をキュルキュルと鳴らす。
「今、キスした?」
チャーリーの唇が触れた場所をそっと手で押さえながらメモは歓喜で震えた声で問いかけると、チャーリーはそうだと言うかのように頷く。
「ほっぺにね」
恋人同士のような唇へのキスではないが、今のキスが今後2人の関係を少しだけ変えたことを意味していた。
小さな一歩でしかないが、メモにとってはとても重要な意味を持つキスであることだけは間違い無い。
「でも・・・キスはキスだ」
「そうね」
クスッと楽しげに微笑んだチャーリーに対しこれ以上は待てないぞ、と言うかのようにバンブルビーがクラクションを短く鳴らす。
「ビー」
空気を読め、と言うかのようにセツナが名前を呼ぶとバンブルビーは不服そうにワイパーを動かした。
その姿は前にメモとハグをしたときと似ていた。
「ごめん。待たせちゃったね」
「気にしないで」
ドアを閉めたチャーリーがハンドルを握るのと同時にバンブルビーは走り出す。
チャーリーは車に着いているミラー越しにメモへと意味深な視線を向けていた。
「チャーリー。顔がにやけてるよ?」
微笑ましい2人の姿にセツナもニヤニヤしながらそう告げる。
メモがずっとチャーリーに対して想いを寄せていたことは知っており、彼なりに考えて幼なじみであるセツナからチャーリーの情報を手に入れようとしていた事も知っている。
長い苦難の末にようやく想いが実りそうな気配がした事にセツナは心の中でメモに対して称賛の拍手を送っていたときだ。
前方に見えた検問所に軍人達の姿がある事に気づく。
彼等の手には殺傷力のありそうな銃が握られていたことにセツナは浮かべていた笑みを消すと固まった。
父は本当は止めたいのだ。
娘が危険な場所へと向かう事を。けれど敵の企みを阻止できるのはバンブルビーだけで、作戦の要になるだろう存在がチャーリーとセツナ以外を嫌っている為、全ての命運を彼等に託すしかない。
「お前はお前に出来る事をしなさい。ただし、無茶だけはしないように」
「はい」
「チャーリー、君もだよ?2人揃ってちゃんと家に帰ってきなさい」
「解りました」
2人の返答を聞いた父は笑っているが、その目には微かに涙が浮かんでいることにセツナは気づくとそっと目を逸らすと、足早にバンブルビーへと近づく。
運転席に座るのチャーリーだと解っている為、助手席に座るが中々チャーリーが乗り込んでは来ない事に小首を傾げながらチャーリーを見つめると、彼女はジッとメモの姿を見つめたまま身動き一つしない。
「メモ君だったね?私と口裏を合わせて欲しいから、少しばかり作戦会議をしたいのだが構わないかな?」
「えぇ。勿論喜んで」
ここからが自分の正念場だ、というかのように意気込むメモの顔をチャーリーはジッと見つめていたが意を決したかのようにメモへと近づく。
無言のまま近づいてきたチャーリーに気づいたメモはどうしたのだ?と言うかのような顔をして彼女を見つめていた時だ。
チャーリーはメモの頬にキスをする。
「・・・わぁお」
突然の展開にセツナは口元を手で覆う。
バンブルビーも驚いたらしく機械音をキュルキュルと鳴らす。
「今、キスした?」
チャーリーの唇が触れた場所をそっと手で押さえながらメモは歓喜で震えた声で問いかけると、チャーリーはそうだと言うかのように頷く。
「ほっぺにね」
恋人同士のような唇へのキスではないが、今のキスが今後2人の関係を少しだけ変えたことを意味していた。
小さな一歩でしかないが、メモにとってはとても重要な意味を持つキスであることだけは間違い無い。
「でも・・・キスはキスだ」
「そうね」
クスッと楽しげに微笑んだチャーリーに対しこれ以上は待てないぞ、と言うかのようにバンブルビーがクラクションを短く鳴らす。
「ビー」
空気を読め、と言うかのようにセツナが名前を呼ぶとバンブルビーは不服そうにワイパーを動かした。
その姿は前にメモとハグをしたときと似ていた。
「ごめん。待たせちゃったね」
「気にしないで」
ドアを閉めたチャーリーがハンドルを握るのと同時にバンブルビーは走り出す。
チャーリーは車に着いているミラー越しにメモへと意味深な視線を向けていた。
「チャーリー。顔がにやけてるよ?」
微笑ましい2人の姿にセツナもニヤニヤしながらそう告げる。
メモがずっとチャーリーに対して想いを寄せていたことは知っており、彼なりに考えて幼なじみであるセツナからチャーリーの情報を手に入れようとしていた事も知っている。
長い苦難の末にようやく想いが実りそうな気配がした事にセツナは心の中でメモに対して称賛の拍手を送っていたときだ。
前方に見えた検問所に軍人達の姿がある事に気づく。
彼等の手には殺傷力のありそうな銃が握られていたことにセツナは浮かべていた笑みを消すと固まった。