5話:キミの為にできる事
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「どうしても行くの?」
この幼なじみが一度決めたら滅多なことでは意見を変えないことくらい、命の危機だから思い直せと説得をしたとしてもきっと聞き耳を持たないことはセツナは長い付き合いだからよく知っている。
セツナが行かないで、と泣いて縋ったとしてもセツナの気持ちには応えられないと言うかのような、申し訳ないという顔をして無言のまま背を向けて去って行くことも解っている。
「止めても無駄だよ」
既に覚悟を決めたのだと言うかのような目をしてチャーリーは静かな声で告げた。
平静を装ってこそいるがチャーリーの手がこれから自分が向かう先に対する恐怖に怯え、微かに震えていることに気づいたセツナが視線で彼女の手を見るとチャーリーは少し焦った顔をすると手を自分の背後に回す。
「本当、意地っ張りチャーリーだね」
「うるさい。泣き虫セツナ」
見られたくない部分を見られてしまったことに対してチャーリーは少しだけ頬を赤くしてそっぽを向く。
事態はそれこそかなり深刻で、一つでも選択肢を間違えてしまえば一瞬で何もかも失ってしまうかのような切羽詰まったものだということはこの場に居る全員が解っているのに、いつもと変わらぬやり取りが出来た事に対しセツナは何故か解らないがとても安心することが出来た。
だからなのかもしれない。
きっと自分達ならば大丈夫だと、この窮地を脱していつもの日常にまた戻れるのだと思えたのは。
それは根拠のないただの空論でしない事くらいセツナとて解っている。
それでも、きっと自分が今抱いた感情も考えも、正しい事なのだと思うと笑みを浮かべながらチャーリーに向かい話しかけた。
「私も一緒に行く」
「・・・何を言ってるの?」
「チャーリーだけだと出来る事に限界があるでしょ?まぁ私が行ったとしても出来る事なんて何も無いかもしれないけどね」
「セツナ。解ってるの?凄く危険な事なんだよ?」
「うん。解ってる」
チャーリーが覚悟を決めたようにセツナも覚悟を決める。
「チャーリーもバンブルビーも私にとっては大切な存在だもの。失いたくない・・・だから、私は私に出来る事をする」
いざとなれば囮くらいは引き受けられるかもしれない、そう思いながらセツナが告げたときだ。
「チャーリー、セツナ。君達をこれ以上危険な目に遭わせるわけにはいかない。これからのことは軍に任せるんだ。良いね?」
「父さんや軍に任せたとしてもシャッター達の企みを阻止することはちょっと難しいと思う。ビーじゃなきゃ勝てない」
チャーリーとの会話に割り込んできた父の言葉にセツナはゆるく首を振りながらその意見を拒絶すると、荒れ果てた基地内へと視線を向けた。
軍人達が束になって掛かったとしてもバンブルビーに勝つ事すら出来なかった。
これから戦う相手は人間と上辺だけの協力体制をとりつつ、人間がどの程度の戦力を所有しているのかきっと確認し、その結果人間な自分達の脅威にはならないと判断していったはずだ。
セツナが知ってるシャッターという存在はそういった抜け目の無さを持っている。
「ならば私がB-127と行動を共にする。お前達は軍の保護を受けなさい」
子ども達を危険な場所へと向かわせるようなことは絶対にさせない、と言うかのような声で父は告げ、2人の代わりに自分がバンブルビーと共にシャッター達を止めに行くと告げたときだ。
『”お断りだぜぇ!!!”』
場違いなロックミュージックのワンフレーズが流れたため、全員が音のした場所を見るとそこにはバンブルビーの姿があった。