1話:手に入れたのは不思議な車でした
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「君もここでバイトしてるの?」
「違うよ。チャーリーのバイトが終ってから遊ぶ予定だから待ってたの」
「ふぅーん・・・良かったら俺と一緒に来ない?」
「ごめんなさい。また今度誘って」
この場の空気が読めていないかのような発言をするトリップの誘いに対してセツナは心の中で「人の話し聞いていたの?チャーリーと遊ぶって言ったでしょうが」と思いながら、申し訳ないという顔をしつつも断りの言葉を告げれば意外にもトリップはあっさりと意見を退けた。
「シャツのことは本当にごめんなさい。今、代りの服を用意してるから少し待っててもらえると助かるな」
「今日は天気も良いからこのままでも平気さ。・・・悪いと思うのなら今度会ったら一緒に遊ぼうぜ?」
「・・・考えとくね」
トリップはそれに対して片手をあげて応えると一瞬だけチャーリーの方を見た後、何も言わずに彼女の側を通り過ぎていく。
とりあえずトリップとのことがそれほど問題にならなかった事にセツナは良かったと胸をなで下ろす。
「チャーリー、大丈夫?あっちの方は無事に解決したからね」
衝突した事で地面の上に落ちてしまったポテトやレモネードなどを片付けていたチャーリーに向かい、安心させるかのように彼女の背を撫でればその背中は震えていた。
何か言って彼女の落ち着かせなければとセツナが思った時だ。
「良い姿ね。・・・私ならそんなダサい服着て歩けないわ」
トリップに続くかのようにティナがチャーリーの横を通り過ぎていくが、その際にチャーリーにだけ聞こえるかのような声音でそう告げた瞬間、セツナはティナの背中へと向かい声を掛けた。
「ねぇ、ティナ。鏡見てからそういうことは言いなよ」
「・・・はぁ!?」
「まつげに毛虫が着いてる」
瞬きする度にバッサバッサと動くマスカラがべったりと塗られたまつげの事を指摘すると、ティナは顔を真っ赤にした後、セツナをキッと睨み付けてから足早にトリップの元へと向かっていった。
「お待たせッ!!・・・って、アレ?」
タオルと着替えを持ってきたメモはこの場に見知った顔が既にない事に気づく。
何とも言えない生温かな目をしてセツナが首を左右に振ると、メモは何とも言えない顔をしつていた時だ。
チャーリーの服がレモネードで濡れていることに気づく。
「コレ使ってよ」
差し出されたタオルをチャーリーは驚いたように見つめていたが、そのタオルの持ち主へと視線を向ける。
まさかの行動にセツナは驚きながらも黙っていた方が良いと判断する。
「だけど・・・・」
「いいから。せっかく持ってきたんだ。使われた方がタオルだって喜ぶさ」
少しばかり強引にタオルをチャーリーへと押しつけたメモは「ミスなんて誰だってするさ」とさり気なくチャーリーをフォローするとその場から去って行った。
「・・・なによ、やればできるんじゃないの」
自分のアシストなんて必要ないくらい、絶妙なタイミングで、これまた絶妙なフォローをして去っていたメモの方をセツナは見つめながら呟いたが、ソレはメモの耳に届くことはなかった。