バンブルビーを取り囲む軍人達へと駆け寄り、今すぐ彼等を排除したいのに自分を捕まえる腕は決して離れてはくれない。

　「バンブルビーッ！！」

大丈夫なのか？そう思いながら彼の名を呼んだセツナへと青い目が向けられる。くりくりとした青い目に浮かぶのはセツナの身を案じるものだけで、自分の事など何一つとして考えてはいない。
　どうしてあの優しいロボットがこんな酷い目に遭わなければならないのだ？
　あまりにも理不尽な状況にセツナは唇を噛みしめながら、軍人達に拘束されていくバンブルビーを見つめる事しか出来ずにいた時だった。

　「セツナ。怪我はないか？」

　「父さん」

現れたのは父だった。
　父はセツナが特に酷い怪我を負っているわけでない事を悟るとホッとした顔をしてセツナを抱きしめる。
　
　「父さん、お願い。ビーを助けて」

　「それは・・・・」

　「ビーは何もしてない！！本当に危険な存在なら、軍人達が銃を向けてきたら抵抗していただろうし、私達を人質にして逃げることだってできたはずでしょ！？」

セツナの言葉に、娘の必死な言葉に対し、父は耳を傾けてくれた。
　父の目に浮かぶのは疑念だ。
　シャッターとドロップキックという２体のロボットと、バンブルビーというロボットを交互に見つめる。

　「お前はあのロボットに危害を加えられてはいないのだな？」

　「勿論！！むしろ助けて貰ってばかりだった」

だから今すぐバンブルビーを助けてくれ、そう懇願するセツナの言葉を聞いた父はゆっくりと頷くとバーンズ少佐へと声を掛けようとしたときだった。

　『##NAME2##博士。勝手な事をされては困るな』

いつの間にかすぐ近くに来ていたシャッターが父の、##NAME2##博士の行動を邪魔するかのように立ちふさがる。
　邪魔をするなと言うかのようにセツナがシャッターを睨み付けるが、シャッターはその視線を楽しげに受け入れた。

　『Ｂ－１２７は犯罪者だと言っただろう？』

　「・・・・あぁ、確かにそうだ。我々は君達からそう聞いている。だが、Ｂ－１２７が実際に何をしたのかと言うことを聞いてはいない」

凜とした声で##NAME2##博士が言葉を返すとシャッターは不快そうに目を細めた。
　けれどそれはほんの一瞬のことで誰も気づかない。

　『あぁ言われてみれば確かにそうだったな。だが、我々がＢ－１２７の所業を伏せていたのには理由があるのだ』

殊勝な態度でシャッターが告げた言葉に対し、セツナは嫌な予感を抱く。

　『Ｂ－１２７はオートボット反乱軍の一員なのだよ』

　「反乱軍？」

それは初耳だと言うかのようにシャッターへと##NAME2##は鋭い視線を向ける。
　ディセプティコンと地球の軍隊がどのような関係なのか、何故手を組んでいるのかまではセツナには解らないが、きっと良くはないことだけは理解が出来た。
　脳裏に浮かぶのはバンブルビーの中から突然、立体映像で現れた巨大なロボットが告げていた言葉だ。

　「（あの巨大なロボットが・・・）」

きっと反乱軍とやらを率いていて、バンブルビーの仲間なのだと思ったセツナはあの映像だけはシャッターに見られては絶対に駄目だということを理解する。
　もしもバンブルビーが人間の研究者達に調べられてしまって、あの映像がシャッターに見られてしまえばきっとバンブルビーは殺されてしまう。
　何とかしてそれだけは阻止しなければならない。