2話:コミュニケーションは大切です

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人気のない森の中をロボットになったバンブルビーと一緒に歩く。
 ハイキングコースにでも中っているのか、歩きやすいように道が作られているので人間であるチャーリーとセツナはピクニック気分で森の中を進む。
 浜辺とは違う静けさにセツナはこれはこれで良いものだなぁと思っていたときだ。

 「ねぇ・・・・本当に何も覚えていないの?何か一つくらいは覚えている事とかあるんじゃない?」

自分よりも高い位置にあるバンブルビーの顔を見上げながらチャーリーは問いかけるが、バンブルビーはその問いに対して静かに首を振る。
 青い目が少しばかり悲しげに伏せられた事から、嘘を言っていたり何かを偽っているわけではないのは明らかだ。
 
 「そっか。それじゃ家族のことも覚えていないんだね」

家族、その単語を口にしたチャーリーは家族に対する長所を口にしたものの、すぐさまその顔を曇らせると今度は家族に対する短所を言う。
 誰にだってあるだろう不平不満なのだが、父親を未だに忘れられないチャーリーにとって今の家や家族に対して色々と思う部分が多すぎるのか、負の感情の方が強く表に出てきてしまっていた。

 「・・・ごめん。今の無し。忘れて」

自分が口にしたことの意味を遅れて理解したチャーリーはヒラヒラと手を振る。
 そんなチャーリーをバンブルビーが不思議な顔をしながらゆっくりと数回瞬きをしたのを見たセツナは、そもそもバンブルビーのようなロボットはどうやって増えていくのだろうか?と考え始める。
 人間のように男女がいるのかも解らないし、何より人間の枠に彼等を当てはめるのは少しばかり無理があるなぁとセツナは思いながらバンブルビーを見上げているとバンブルビーは「なに?」と言うかのように視線を向けてきたため、何でもないと言うかのように微笑みながら首を振った。
 しゃべれない代りと言うかのようにバンブルビーは目だけで自分の感情を伝えてくる。

 「ビーとおしゃべりできたら楽しいだろうね」

この陽気なロボットがしゃべれたのならばきっと色々と楽しいことを話してくれただろうなぁと思いながらセツナが呟けば、バンブルビーはその場に座り込むとセツナと視線を合わせながら何度も何度も頷く。

 「見つけたときは凄くボロボロだったしね。ラジオは・・・うーん。相変わらず壊れたままか。ビー、一度確認してみるからあの辺りに移動してくれる?」

少し開けた場所を指さしたチャーリーの言葉にバンブルビーは素直に従う。
 足を投げ出すかのような形で座ったバンブルビーに近づいたチャーリーは装甲の一部を外すと中の配線やら機械やらを見て何かを考えているかのような真剣な眼差しで黙り込む。
 大人しく待っている事しか出来ないバンブルビーは退屈だと訴えるかのように投げ出した足先をゆっくりと左右に振っており、その姿が可愛かったセツナが声を殺して笑うとバンブルビーは笑うのは駄目だ、と言うかのように自分の口元を覆う。

 「ごめんごめん。悪気はないの・・・ただ、可愛いなぁって思ってね」

可愛い、その言葉を聞いたバンブルビーは頭部のパーツを下げるのと同時に悲しそうな音を鳴らす。

 「んー・・・ちょっとよく見えないけどコレっぽいな。ビー、横になってくれる?」

バンブルビーは素直に上半身も地面に横たえるとチャーリーは広くなった内部へと向かい腕を突っ込むと、中にある配線やら機械やらを触っていた時だ。
 突然、バンブルビーの頭上に何かの映像が浮かび上がる。
 それは赤と青のロボットのようで、所々姿が消えていた。

 『B-217。我々は・・・・・地球を、・・・・・戦いは続ける。この戦争を・・・大丈夫だ、私も・・・・から、いく』

途切れ途切れ聞こえてきた音声をセツナは黙って聞く事しか出来ずにいると、映像はブツンッと音を立てて消えてしまう。
 残ったのは静寂だけで、誰も何も言わない時間だけが過ぎていく。

 「今のロボット、戦いを続けるとか、戦争って言っていたよね?」

 「うん。ビー・・・・アンタ、本当に何も知らないの?アンタが記憶を失っているのは戦争と関係あるの?車の姿はもしかして何かから隠れるためのカモフラージュなの?」

矢継ぎ早に疑問を口にするチャーリーの顔からは血の気が引いている。
 きっと自分も彼女と似たような顔色をしているのだろうなとセツナは思いながらバンブルビーを見るが、この疑問に答えられる肝心のロボットはただ、困惑した眼差しで先程までロボットが浮かんでいた場所を見つめるだけだった。
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