1話:手に入れたのは不思議な車でした
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「ママからは可愛い花柄のヘルメットを貰ったよ。ベースは紫で、赤や黄色の花が描かれてる可愛いヘルメットね。原付に乗るときに被りなさいって言われてさ。挙げ句の果てには家族のルールとか持ち出されて嫌になる」
「サリーおばさん張り切ったね」
「うん。娘の趣味なんて無視してるところが凄いよね」
黄色のビークルの修理を行いつつもチャーリーとセツナは話をしていた。
今日の話題はチャーリーの誕生日プレゼントだ。
母からのプレゼントが吃驚する程可愛らしいヘルメットであった事にチャーリーは何とも言えない声で口を動かしていた。
「ロンと付き合うようになってからは私に関しては無関心だなぁとは思っていたけど、まさかここまでとは思わなかった」
娘の好みなど全く配慮しない、否、解ってはいないかのようなプレゼントにチャーリーは困ったような声で呟く。
「パパが居たら違ってた」
「・・・おじさん。プレゼントセンスが凄く良かったもんね」
その子に似合ったモノを、その子が欲しいと思うモノを選ぶのが上手かった人だ。
もっとも幼い頃のチャーリーは飛込みに関するものか、もしくは父と同じく車の修理に関するものだったから解りやすかったのかもしれない。
セツナへのプレゼントもと密かに欲しいと思っていたものばかりだった。
「ロンさんは?何かプレゼントしてくれた?」
「理解出来ない本を渡された」
「本?」
「そ。笑顔が人生を変えるとかいう意味不明な本。良かったら読む?私は1ページ読んで気が滅入りそうだから止めたけど」
「遠慮します」
ある意味でロンは空気が読めていないのではないか?と思えるかのようなモノをプレゼントしたことにセツナは、これはフォローすることは不可能だと思う。
誕生日にそんなものをプレゼントされて喜ぶ女の子が居るのならば見てみたいものだ、と思いながら最後の配線を繋ぎ合わせた。
「こっちは終わったよ!」
「ありがと!私も今終わったからエンジンかけてみようか」
チャーリー程車の修理に関して詳しくはないセツナが行えるのは簡単な修理くらいなものだ。もっともその作業すら最初は全く解らず、手探りだったり、時にはチャーリーから教えて貰ったりして行っていた。
油で汚れた自分の手を見下ろしながらセツナが笑っていたときだ。
鈍い音を立てながらエンジンが掛かる音が響く。
「うそ・・・うそでしょ!?」
信じられない、そう言うかのように口元を両手で覆ったチャーリーはセツナへと視線を向けてくる。
この車が直ったのはチャーリーが諦めなかったからだ。
必ず直すという強い意志がそうさせたのだとセツナは悟るとチャーリーに向かって微笑みかけた。
「おめでとう!」
「ッ・・・・ありがとう。ホラ!なにしてるの?早く乗ってよ!!」
辺り散らばっていた道具を片付けたセツナは助手席へと乗り込みドアを閉める。
ゆっくりとだが動き出した車の振動に、そして通り過ぎていく景色にセツナも次第に嬉しさを堪えきれず手を叩いて喜ぶ。
「ねぇ!ハンクおじさんに見せてあげようよ!!この車が動いたって事!!」
「良い考えだね!!」
チャーリーの申し出にセツナは間髪を入れずに喜ぶと、チャーリーは車をハンクの店の入口へと向かって走らせる。
入口辺りに来るとクラクションを鳴らして存在を主張すると、店の中に居たハンクとビルの2人が視線を向けてきたのでチャーリーと一緒に手を振ると2人はヒラヒラと手を振り替えしてくれた。