エピローグ
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「君ってばどうしてそうなのかなぁ?そうやって暴れて何か事態が良くなったこととかあった?ないよね?絶対になかったよね?」
『”サァーム””許して”』
「その幼気な眼差しにいつまでも許される僕だと思うなよッ!!僕だってね、必死に手に入れた就職先なんだよ!?それを失いたくないんだよ!!」
『”悪気はなかったの””私は悪くない”』
「本当?本当にそう思っているわけ?ならこの状態はなに?君が暴れたんだろう?」
大きな黄色のロボットの前に立っている青年が声を張り上げている姿をセツナは唖然とした顔をして見つめる。
その姿を見たレノックスは右手で手元を覆いながら、事態は自分が思っていたよりも深刻だったことを悟っていた。
指の隙間からセツナの様子をそっと盗み見たレノックスは、きっと彼女は怒り狂っているだろうなぁ、宥めるのは大変だなぁとと思っていたのだが、セツナの顔には笑みが浮かんでいたこと驚く。
「懐かしいなぁ」
「え?」
「・・・変わらなかった事を嬉しいと思うのと同時に、ちょっとだけ変わらなかった事を悔やんじゃうなぁ」
「あの?」
「レノックス大佐」
「はい」
「少し話してくるわ」
ヒラリと手を振ったセツナは軽快な足取りでバンブルビーの元へと向かっていく。
「・・・・え?」
何が起きたのか解らないと言う顔をしたままのレノックスを無視したまま、セツナははやる気持ちを必死に押さえながらバンブルビーの元へと向かって歩き続ける。
時折スラングを交ぜながらバンブルビーに文句を言っていた青年だったが、近づいてくるヒールの音に気づくと慌てて振り返った。
「こんにちは。貴方がサム・ウィトウィッキーでよいのかしら?貴方に関する報告はメアリング長官から聞いております」
「は、はい」
少しばかり上擦った声で返事をしたサムは今まで自分が行っていた事を見られていたことが恥ずかしかったらしく、頬を紅潮させながらガリガリと頭を乱暴に掻く。
「可愛いイタズラ蜂さんの相手は疲れちゃう?」
「可愛いってもんじゃない!!・・・あ、いえ、えぇっとですねぇ」
「いいのよ。そっか。やっぱりそうなんだ」
解っていると言うかのような口調で告げたセツナはバンブルビーへと視線を向ける。
あの頃と何一つとして変わってはいない青い目を見つめていると、ジワジワとした透明の液体が青を滲ませていく。
「ビー」
『・・・”私の””可愛いイタズラ蜂さん?””今、キスした?”』
懐かしい声、それを聞いたセツナは目を細めて微笑みながら頷く。
「覚えていてくれたの?」
『”忘れられない”』
「ありがとう」
出会った頃と同じようにそっと金属の頬へと手を触れれば、その手に甘えるかのようにバンブルビーが羽音のような音を鳴らす。
その光景をサムとレノックスが信じられないと言うかのように見つめていた。
「みんな元気よ」
『”君も?”』
「えぇ・・・私はね、ずっとずっとビーの事を忘れられなかった。だから貴方達のことを調べ続けて、そして貴方に関わる仕事に就くことが出来たの・・・もう一度だけ、ビーに会いたかったの」
『”私””会いたかった”』
「うん。そうだね」
人知れずずっとずっとこの星を救うために戦い続けていたオートボット達。
その中にバンブルビーは居た。
彼のために出来る事をしたい、彼のために出来る事をやらねばならない、その義務感からずっとセツナは政府の仕事を続けてきたのだ。
「ビー」
両手で金属の頬に触れる。
「これからまた・・・よろしくね?」
コツン、と額を押しつけて告げればバンブルビーは嬉しそうに頭部パーツを揺らす。
それが出会った時と変わらない事で、セツナにとってはとても嬉しい事であった。
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