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直属の上司からの呼び出しを受けたセツナは期待と不安を抱きながら、やや小走りで上司の執務室へと向かったまでは良かった。
この執務室に来たセツナを一瞥した上司は、備えつけで置かれている座り心地の悪い応接ソファに腰掛けるように命じただけで声を掛けてくることはない。
上司は秘書と小難しそうな話をしていたり、書類にサインをしたりということを繰り返しているばかりでセツナの事を気にとめたことは一度もなかった。
「今回の決定に関して私はきっと貴方が後悔すると思っています」
ぶっきらぼうな口調でそう告げた女性へとセツナは視線を向けると、そこには分厚そうな紙の束を忌々しそうに睨み付けている姿があった。
書類に書かれている内容はあまり良いことではないらしく、読み進めていく度に女性の目が鋭く細められていくことにきづいたセツナは苦笑を浮かべながら持っていたカップを口元へと運び、中身をそっと一口飲む。
生ぬるい液体が喉を伝い落ちていく感触にセツナは顔をしかめそうになったが、それを必死に堪え、不快感を誤魔化すかのように微笑を浮かべながらカップをソーサーへとそっと置く。
「彼等と関わりを持って良かったと言う者に出会ったことがないもの」
忌々しいと言うかのような口調で呟いた直属の上司のこめかみが彼女の怒りを表すかのようにピクピクと小刻みに痙攣している。
「彼等とは金属生命体のことですか?」
「えぇそうよ」
「ならばこそ私はそうは思いません」
「皆、最初はそう言うのよ。「自分は違う」、「自分ならば理解出来る」けれど結果はいつだって同じ。最終的には私を失望させ、そして私という人間の地位を脅かす結果しかもたらさない。まぁそういった馬鹿な連中を私が今まで選んでいたというのが正解なのだけれどね」
持っていた資料を側に控えていた秘書へと押しつけた女性、シャーロット・メアリングはようやくセツナへと視線を向ける。
「貴方は私にとって優秀な部下よ」
「ありがとうございます」
「専門知識も豊富、現地調査も申し分なく・・・そして何より優秀なのが周りと円滑にコミュニケーションを取れること。それこそ貴方のもう一つ故郷にある言葉「空気を読む」という言葉だったかしら?ソレをとても私は高く評価している」
「メアリング長官がそこまで私を評価していたなんて少しばかり意外です」
この女上司の自分対する対応と今の言葉はセツナにとって繋がらない。
愛想笑いを浮かべながらセツナはただただ困惑していた。
けれど戸惑うのと同じくらい、嬉しいと思える感情も胸を支配する。
昇進の評価に関わらない部分をこの上司が実は見ていてくれていて、そして密かに評価してくれていたことがセツナには純粋に嬉しい。
「だからこそ・・・私にとって、貴方が手元から離れるという事はとてつもない損害なのよ。ましてやそんな貴方をあの場所に送るなんて正直言って賛成できないわ」
メアリングの発言にセツナはこれは遠回しに今回の話しはなかったことに、という事なのだろうか?と微かな不安を抱いた時だ。
「貴方は私の元に来た時から一貫してその志は変わってはいませんね?」
「はい」
この部署に配属になる前にこうしてメアリングと直に話した事がある。
あの頃からセツナの意思は変わらない。
初志貫徹を守り切るのだ、貫くのだ、決して揺るがないのだ、というかのようにセツナが言葉を返せば、メアリングは眉間を抑えながら深々とため息を吐き出す。
イライラとした顔をしながらデスクの引き出しから一通の書類を手に取るとソレを持ったままセツナの前にあるソファに腰掛ける。
「・・・良かったわね」
差し出された書類を受け取ったセツナは書かれている内容を見て大きく目を見開く。
「困ったことがあればすぐに報告をしなさい?それ以外にでも私に出来そうな案件があればすぐさま報告を・・・ある程度の協力はします。ですがそれから決して彼等を甘やかさないこと。少しでも甘い顔を見せたら彼等は調子に乗りますからね」
「はい!!」
「最後に1つ貴方に言う事があります」
改まった口調でそう告げたメアリングへとセツナが視線を向ければ、そこには手の掛かる妹を見つめる姉のような顔をしているメアリングの姿があった。
「辛くなったいつでも帰ってきなさい」
ふわりと笑ったその笑みにセツナは顔を真っ赤にして返すことしか出来なかった。
この執務室に来たセツナを一瞥した上司は、備えつけで置かれている座り心地の悪い応接ソファに腰掛けるように命じただけで声を掛けてくることはない。
上司は秘書と小難しそうな話をしていたり、書類にサインをしたりということを繰り返しているばかりでセツナの事を気にとめたことは一度もなかった。
「今回の決定に関して私はきっと貴方が後悔すると思っています」
ぶっきらぼうな口調でそう告げた女性へとセツナは視線を向けると、そこには分厚そうな紙の束を忌々しそうに睨み付けている姿があった。
書類に書かれている内容はあまり良いことではないらしく、読み進めていく度に女性の目が鋭く細められていくことにきづいたセツナは苦笑を浮かべながら持っていたカップを口元へと運び、中身をそっと一口飲む。
生ぬるい液体が喉を伝い落ちていく感触にセツナは顔をしかめそうになったが、それを必死に堪え、不快感を誤魔化すかのように微笑を浮かべながらカップをソーサーへとそっと置く。
「彼等と関わりを持って良かったと言う者に出会ったことがないもの」
忌々しいと言うかのような口調で呟いた直属の上司のこめかみが彼女の怒りを表すかのようにピクピクと小刻みに痙攣している。
「彼等とは金属生命体のことですか?」
「えぇそうよ」
「ならばこそ私はそうは思いません」
「皆、最初はそう言うのよ。「自分は違う」、「自分ならば理解出来る」けれど結果はいつだって同じ。最終的には私を失望させ、そして私という人間の地位を脅かす結果しかもたらさない。まぁそういった馬鹿な連中を私が今まで選んでいたというのが正解なのだけれどね」
持っていた資料を側に控えていた秘書へと押しつけた女性、シャーロット・メアリングはようやくセツナへと視線を向ける。
「貴方は私にとって優秀な部下よ」
「ありがとうございます」
「専門知識も豊富、現地調査も申し分なく・・・そして何より優秀なのが周りと円滑にコミュニケーションを取れること。それこそ貴方のもう一つ故郷にある言葉「空気を読む」という言葉だったかしら?ソレをとても私は高く評価している」
「メアリング長官がそこまで私を評価していたなんて少しばかり意外です」
この女上司の自分対する対応と今の言葉はセツナにとって繋がらない。
愛想笑いを浮かべながらセツナはただただ困惑していた。
けれど戸惑うのと同じくらい、嬉しいと思える感情も胸を支配する。
昇進の評価に関わらない部分をこの上司が実は見ていてくれていて、そして密かに評価してくれていたことがセツナには純粋に嬉しい。
「だからこそ・・・私にとって、貴方が手元から離れるという事はとてつもない損害なのよ。ましてやそんな貴方をあの場所に送るなんて正直言って賛成できないわ」
メアリングの発言にセツナはこれは遠回しに今回の話しはなかったことに、という事なのだろうか?と微かな不安を抱いた時だ。
「貴方は私の元に来た時から一貫してその志は変わってはいませんね?」
「はい」
この部署に配属になる前にこうしてメアリングと直に話した事がある。
あの頃からセツナの意思は変わらない。
初志貫徹を守り切るのだ、貫くのだ、決して揺るがないのだ、というかのようにセツナが言葉を返せば、メアリングは眉間を抑えながら深々とため息を吐き出す。
イライラとした顔をしながらデスクの引き出しから一通の書類を手に取るとソレを持ったままセツナの前にあるソファに腰掛ける。
「・・・良かったわね」
差し出された書類を受け取ったセツナは書かれている内容を見て大きく目を見開く。
「困ったことがあればすぐに報告をしなさい?それ以外にでも私に出来そうな案件があればすぐさま報告を・・・ある程度の協力はします。ですがそれから決して彼等を甘やかさないこと。少しでも甘い顔を見せたら彼等は調子に乗りますからね」
「はい!!」
「最後に1つ貴方に言う事があります」
改まった口調でそう告げたメアリングへとセツナが視線を向ければ、そこには手の掛かる妹を見つめる姉のような顔をしているメアリングの姿があった。
「辛くなったいつでも帰ってきなさい」
ふわりと笑ったその笑みにセツナは顔を真っ赤にして返すことしか出来なかった。