17章:砕けた心から溢れ出たモノ
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何かを堪えるかのように視線を下げたまま黙り込む母の姿に若葉は苛立ちを抱く。若葉の為という割には、何故父と会えば傷つくのかという理由を母が一切答えないからだ。
「どうして私が父さんと会って傷つくの?」
「・・・・実際にあの人は貴方を叩いたでしょう?」
母の目が若葉の右頬へと向けられる。
湿布が貼られた頬と少し切れてしまって腫れている唇をジッと見つめる母の目に浮かぶのは、何かを悔いるかのような感情だ。
「あの人は自身に対して逆らう者を許さないわ。場合によっては相手に暴力をふるうことすら迷わない。だから、私は貴方にあの人のことを伝えることが出来なかった・・・あの人は家庭を大切にはしない人だから。研究者として生きる事を第一としているの。私が貴方を身籠もったことを伝えるとあの人は枷になる私と貴方を切捨てた」
当時のことを思いだしたらしい母の顔に浮かぶのは悲しみだ。
「だったらどうしてその事を私に教えてくれたなかったの?小さい頃に父親のことを聞いた私に、どうして話してくれなかったの?」
「それは・・・」
「結局、母さんは私の事なんてどうでも良いと思っているんでしょう?だから思っている事も言わないし、私の意見も聞くことなんてしない」
「違うわ。私は、」
「違わない。母さんが隠し事をするのは母さんが嫌な事をしたくなかったからでしょ?自分がお腹を痛めて産んだ子供を捨てるなんて事をしたくないから、私から身を引くように仕向けるためにここに連れてきたんでしょッ!!!」
それを口にする度に壊れてしまった心が痛い、痛いと、悲鳴を上げるかのようにジクジクとした痛みを発し、痛みを堪えるかのように胸元を押さえつけながら若葉は口を動かし続ける。
「赤ちゃんのことだってそうだよ!!命に関わることなら・・・そういう大事な事なら尚のこと最初からそう言ってよ!!私の事なんてどうでも良いと思ったから教えてくれなかったんでしょう!?」
「若葉ッ!それは違うわ!貴方になんて伝えたら良いのか考えた結果だったのよ」
娘の誤解を解こうとするかのようにベッドから居りようとした母に気づいたラチェットが慌てた様子で母を押さえつける。
「博士。ベッドから降りては駄目だ」
「放して」
今話さなければきっと取り返しのつかない事になってしまう。
娘が手の届かないところに行ってしまう、名ばかりの父親の元へと向かいきっと苦しめられるだけだと解っているが故の焦燥感に駆られた母の姿を見ても、今の若葉には何一つとして心に響くものはない。
「違う?何が違うって言うの!?母さんはずっとずっと仕事ばっかりして私の事なんて二の次にしてたじゃない!!!」
悲鳴のような声で若葉が告げた言葉を聞いた瞬間、母は身動きすることを忘れてしまったかのようにベッドの上で固まる。
「母さんが過去に付き合った人が別れる原因になったのが私だったのがそんなに憎かった?邪魔だった?そうだよね、ずっとずっと私が邪魔だったんだよね?!でもそんなのお互い様だよ!その人達が私にどんな態度だったのか、どんなに酷い言葉を投げかけてきたのかなんて、母さんは何も知らないもんね」
堰を切ったかのように次々と出てくる母を責める言葉を聞く度に若葉はもう止めてと叫びたくなるのだが、口は止ることを知らないと言うかのように尚も動き続けている。
「私が一緒に居て欲しいって思ったときだって居てくれなかったくせにッ!!」
ずっとずっと母に隠してきていたこと、秘密にしてきていたことを口にする度に、自分だって母と同じではないか。隠し事をしていた癖に被害者面をして母を責めるのか?と良心が責め立ててくる度に心が負う傷がひとつ、ふたつと増えていく。
「どうして私が父さんと会って傷つくの?」
「・・・・実際にあの人は貴方を叩いたでしょう?」
母の目が若葉の右頬へと向けられる。
湿布が貼られた頬と少し切れてしまって腫れている唇をジッと見つめる母の目に浮かぶのは、何かを悔いるかのような感情だ。
「あの人は自身に対して逆らう者を許さないわ。場合によっては相手に暴力をふるうことすら迷わない。だから、私は貴方にあの人のことを伝えることが出来なかった・・・あの人は家庭を大切にはしない人だから。研究者として生きる事を第一としているの。私が貴方を身籠もったことを伝えるとあの人は枷になる私と貴方を切捨てた」
当時のことを思いだしたらしい母の顔に浮かぶのは悲しみだ。
「だったらどうしてその事を私に教えてくれたなかったの?小さい頃に父親のことを聞いた私に、どうして話してくれなかったの?」
「それは・・・」
「結局、母さんは私の事なんてどうでも良いと思っているんでしょう?だから思っている事も言わないし、私の意見も聞くことなんてしない」
「違うわ。私は、」
「違わない。母さんが隠し事をするのは母さんが嫌な事をしたくなかったからでしょ?自分がお腹を痛めて産んだ子供を捨てるなんて事をしたくないから、私から身を引くように仕向けるためにここに連れてきたんでしょッ!!!」
それを口にする度に壊れてしまった心が痛い、痛いと、悲鳴を上げるかのようにジクジクとした痛みを発し、痛みを堪えるかのように胸元を押さえつけながら若葉は口を動かし続ける。
「赤ちゃんのことだってそうだよ!!命に関わることなら・・・そういう大事な事なら尚のこと最初からそう言ってよ!!私の事なんてどうでも良いと思ったから教えてくれなかったんでしょう!?」
「若葉ッ!それは違うわ!貴方になんて伝えたら良いのか考えた結果だったのよ」
娘の誤解を解こうとするかのようにベッドから居りようとした母に気づいたラチェットが慌てた様子で母を押さえつける。
「博士。ベッドから降りては駄目だ」
「放して」
今話さなければきっと取り返しのつかない事になってしまう。
娘が手の届かないところに行ってしまう、名ばかりの父親の元へと向かいきっと苦しめられるだけだと解っているが故の焦燥感に駆られた母の姿を見ても、今の若葉には何一つとして心に響くものはない。
「違う?何が違うって言うの!?母さんはずっとずっと仕事ばっかりして私の事なんて二の次にしてたじゃない!!!」
悲鳴のような声で若葉が告げた言葉を聞いた瞬間、母は身動きすることを忘れてしまったかのようにベッドの上で固まる。
「母さんが過去に付き合った人が別れる原因になったのが私だったのがそんなに憎かった?邪魔だった?そうだよね、ずっとずっと私が邪魔だったんだよね?!でもそんなのお互い様だよ!その人達が私にどんな態度だったのか、どんなに酷い言葉を投げかけてきたのかなんて、母さんは何も知らないもんね」
堰を切ったかのように次々と出てくる母を責める言葉を聞く度に若葉はもう止めてと叫びたくなるのだが、口は止ることを知らないと言うかのように尚も動き続けている。
「私が一緒に居て欲しいって思ったときだって居てくれなかったくせにッ!!」
ずっとずっと母に隠してきていたこと、秘密にしてきていたことを口にする度に、自分だって母と同じではないか。隠し事をしていた癖に被害者面をして母を責めるのか?と良心が責め立ててくる度に心が負う傷がひとつ、ふたつと増えていく。