17章:砕けた心から溢れ出たモノ
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一歩、病室へと足を踏み入れてから何故か解らないが、足がその場から全く動いてはくれなかった。
「若葉ちゃん?どうしたの?」
「母さん・・・私に隠している事あるでしょ?」
いつもと変わらない声ではあったが若葉が母を見る目にはどこか陰りがあった。
その事に気づいた母が言葉に詰まる。
すぐに返されなかった返答、それが答えではないかと思った若葉は自嘲の笑みを浮かべると視線を足下へと落とす。
どこかで何かにヒビが入るかのような音が聞こえてくる。
ピシリ、ピシリと少しずつだが確実に何かがヒビ割れていくのと同時に、そこからドロリとした黒いものが滲み出て若葉の心の中を黒く染めていく。
「何か言ってよ」
どうか、どうか、否定をしてくれ。
そう願いながら悲痛な声で若葉は母に縋る。
けれど若葉が望んだ言葉など母は口にはしなかった。
「ごめんなさい」
その言葉を聞いた瞬間、若葉は自分の中で何かがパキンと折れる音を聞いた。
どうして?なんで?
間髪を入れずに込み上げてくる疑問の声は次第に母に対する怒りの声へと変わってくことに若葉は気づくのと同時に、若葉は敵意を持って母を見つめる。
娘から向けられる視線に対し母は臆することはしなかった。
その姿はまるで最初からこうなることが解っていた、隠し事をしているということに気づいた若葉がこうなることを予想していたと言うかのような母の姿を見た瞬間、若葉の中に生まれたのは母に対する憎しみだ。
「言ってくれれば良かったのに」
「・・・そうね。隠すのは卑怯だったわね」
「そうだよ。私のことが邪魔ならそう言えば良かったんだよ。閣下と生まれてくる赤ちゃんと3人で暮したいのなら最初から私をここに連れて来なければよかったのに」
「若葉?貴方、何を言っているの?」
若葉の言葉が想像していたこととは違う事に母は怪訝そうな声で問いかけてくるのだが、それさえも全て母が計算してやっているかのように若葉には思えて仕方がなかった。
もう隠し事が露見してしまったのだから今更取り繕う必要なんてないというのに、愚かにも母がこの状況でも嘘を重ねようとしていることに若葉の口から乾いた笑い声が出てくる。
「若葉、私は貴方の事を邪魔だなんて思っていないわ。メガトロンと貴方と産まれてくる子供の四人で一緒に暮らしていきたいから貴方をここに連れてきたの」
四人で。
その言葉を聞いた瞬間、まるで何かのトリガーが引かれたかのように若葉の脳裏に父の言った言葉が蘇った。
「そのままの意味なのだが?金属生命体を愛し、そして異種族との間に子をもうけ、自らの命と引き替えに子を産もうとしているのだから」
「なんだ。知らなかったのか・・・ならば解りやすく説明しよう。人間と金属生命体との間に子など出来るわけなどないというのが我々の認識だったのが、お前の母親はソレを実現させた。ある意味で奇跡と呼べる現象だが、奇跡なんてそうそう起こるものじゃない。それこそ奇跡を起こすのならば対価が必要となる。お前の母親は奇跡の代償に自らの命を捧げるつもりらしいな」
先程までは嘘だと思いたかったはずの言葉。
けれど母の謝罪の言葉を聞いた瞬間、若葉は父の言っていた言葉こそが正しかったのだと思ってしまう。
母は大事なことを隠し通そうとしている。
自分の命と引き替えに子どもを産もうとしているのにソレを伏せ、都合の良い未来ばかりを口にしている。
そう思ってしまった若葉は母からそっと視線を逸らした。
「若葉ちゃん?どうしたの?」
「母さん・・・私に隠している事あるでしょ?」
いつもと変わらない声ではあったが若葉が母を見る目にはどこか陰りがあった。
その事に気づいた母が言葉に詰まる。
すぐに返されなかった返答、それが答えではないかと思った若葉は自嘲の笑みを浮かべると視線を足下へと落とす。
どこかで何かにヒビが入るかのような音が聞こえてくる。
ピシリ、ピシリと少しずつだが確実に何かがヒビ割れていくのと同時に、そこからドロリとした黒いものが滲み出て若葉の心の中を黒く染めていく。
「何か言ってよ」
どうか、どうか、否定をしてくれ。
そう願いながら悲痛な声で若葉は母に縋る。
けれど若葉が望んだ言葉など母は口にはしなかった。
「ごめんなさい」
その言葉を聞いた瞬間、若葉は自分の中で何かがパキンと折れる音を聞いた。
どうして?なんで?
間髪を入れずに込み上げてくる疑問の声は次第に母に対する怒りの声へと変わってくことに若葉は気づくのと同時に、若葉は敵意を持って母を見つめる。
娘から向けられる視線に対し母は臆することはしなかった。
その姿はまるで最初からこうなることが解っていた、隠し事をしているということに気づいた若葉がこうなることを予想していたと言うかのような母の姿を見た瞬間、若葉の中に生まれたのは母に対する憎しみだ。
「言ってくれれば良かったのに」
「・・・そうね。隠すのは卑怯だったわね」
「そうだよ。私のことが邪魔ならそう言えば良かったんだよ。閣下と生まれてくる赤ちゃんと3人で暮したいのなら最初から私をここに連れて来なければよかったのに」
「若葉?貴方、何を言っているの?」
若葉の言葉が想像していたこととは違う事に母は怪訝そうな声で問いかけてくるのだが、それさえも全て母が計算してやっているかのように若葉には思えて仕方がなかった。
もう隠し事が露見してしまったのだから今更取り繕う必要なんてないというのに、愚かにも母がこの状況でも嘘を重ねようとしていることに若葉の口から乾いた笑い声が出てくる。
「若葉、私は貴方の事を邪魔だなんて思っていないわ。メガトロンと貴方と産まれてくる子供の四人で一緒に暮らしていきたいから貴方をここに連れてきたの」
四人で。
その言葉を聞いた瞬間、まるで何かのトリガーが引かれたかのように若葉の脳裏に父の言った言葉が蘇った。
「そのままの意味なのだが?金属生命体を愛し、そして異種族との間に子をもうけ、自らの命と引き替えに子を産もうとしているのだから」
「なんだ。知らなかったのか・・・ならば解りやすく説明しよう。人間と金属生命体との間に子など出来るわけなどないというのが我々の認識だったのが、お前の母親はソレを実現させた。ある意味で奇跡と呼べる現象だが、奇跡なんてそうそう起こるものじゃない。それこそ奇跡を起こすのならば対価が必要となる。お前の母親は奇跡の代償に自らの命を捧げるつもりらしいな」
先程までは嘘だと思いたかったはずの言葉。
けれど母の謝罪の言葉を聞いた瞬間、若葉は父の言っていた言葉こそが正しかったのだと思ってしまう。
母は大事なことを隠し通そうとしている。
自分の命と引き替えに子どもを産もうとしているのにソレを伏せ、都合の良い未来ばかりを口にしている。
そう思ってしまった若葉は母からそっと視線を逸らした。