16章:母の秘密
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顔から全ての表情が消え、若葉を穢らわしいモノを見るかのような蔑んだ目をして見下ろす。
今まで優しくしてくれた人から突然そんな辛辣な態度を取られた若葉は、何が起こったのか解らずただひたすら困惑することしか出来なかった。
「そうか、そうだな。お前が言うのならばお前が悪いのだろう・・・だからアイツはお前を捨て、メガトロンとの子どもを選んだのだからな」
捨てた。
その言葉に若葉は息が出来なくなる。
ちがう、ちがう、と必死に言おうとするのだが喉の奥に何かが詰まってしまったかのように何一つ言葉が出てこない。
「アイツが幸せになるのにはお前が邪魔なのだろう」
「違うッ!!母さんはそんな人じゃない!!」
強い声でそう否定した若葉に対し父はにっこりと貼り付けたかのような笑みを浮かべる。
「ならば聞いてみると良い。まぁ聞いたところで、はぐらかされるだけだろうがな・・・アイツが本当にお前の事を必要としているのならば、家族として認めているのならば、偽ることなく全てを話すだろう。命を犠牲にしてでも子どもを産むことの意味も、お前にソレを伏せていた意味も全て話すだろうさ。私ならばそうする」
けれど1つでも隠されたのならば、誤魔化すのならば、きっと母にとって若葉は都合の良い存在でしかなく、メガトロンとの未来ができた今となっては邪魔な存在でしかないだろう。
口に事しないが若葉はそう感じ取ると、事実を確認するため父の研究室から出て行く。
どこか虚ろな表情と覚束ない足取りの若葉の姿を見た父は満足そうに微笑みながらドアの向こうへと消えていった娘の姿を見つめていた。
1人残された父は万事、全てが自分の思い描いたとおりに進んだことに対し満足そうに頷くと部屋の片隅にある空気清浄機の電源を切る。
「思いの外上手くいって一安心だ」
労うかのように空気清浄機を軽く叩いた男は耳に装着していた小さな機械を外す。
「今回が発の実戦投入だと聞いていたから半信半疑だったが、なかなか役立ちそうな装置じゃないか」
空気清浄機としておかれている機械の本来の役目は他にある。
モーター音と共に特殊な電波を発するようになっており、その効果はその特殊な電波を浴びた者に対してある種の洗脳を行えることだ。
電波を相殺する装置を持っていなければいとも簡単に催眠状態に相手を陥れることが可能な代物で、物が物な為に今まで使う事を禁止されていたのだが男は密かにその装置をここへと持ち込み密かにその効果を確認するように上層部から言われていた。
「効果は上々ということだな」
ただの家電製品という事もあるためか誰もがコレにそのように恐ろしい効果があるとは思わないだろう。
故にここに持ってくるときも特に検査をされることはなかった。
上手く行けば他の家電にも応用できそうだと男は思いながら上着のポケットから携帯を取り出すとどこかに電話をかけ始める。
「あぁ私だ。・・・無事にディエゴガルシア基地に着いている。報告にあった母体と胎児の方だが、予想以上に金属生命体達の警護が厳重で奪還することは難しい」
淡々とした声で報告をした瞬間、電話の相手が激昂し凄まじい勢いで抗議をしてきたが、それを父は相づちをしながら聞き流す。
相手がある程度文句を言って落ち着いたことを感じ取ると、至極楽しそうな口調で相手にある事を提案した。
「新たな提案なのだが、母体となった女には娘がいる。故に娘の方を実験台として使える可能性が高いと私は判断している。・・・あぁ。そうだ。恐らく問題なく活用できるだろう。相手?・・・それならば使えそうなヤツがいそうだから心配しないでくれ」
父の言葉に電話の相手は、娘を実験台にすることに関して良心が咎めないのか?と問いかけてきたが、その言葉を父は鼻で一笑する。
「私の娘ならばこそ科学の発展のための礎になれたことを幸福に思うべきなのだ。父の役に立てることを誇りに思うだろうさ」
言い終えるのと同時に父は通話を終了させると、若葉をどうやって籠絡しようかと策を練り始めた。
そんな父の姿を通風口からジッと見つめているモノがいた。
ソレは赤い目を不快そうに眇めると音も無くそっとその場から姿を消した。
今まで優しくしてくれた人から突然そんな辛辣な態度を取られた若葉は、何が起こったのか解らずただひたすら困惑することしか出来なかった。
「そうか、そうだな。お前が言うのならばお前が悪いのだろう・・・だからアイツはお前を捨て、メガトロンとの子どもを選んだのだからな」
捨てた。
その言葉に若葉は息が出来なくなる。
ちがう、ちがう、と必死に言おうとするのだが喉の奥に何かが詰まってしまったかのように何一つ言葉が出てこない。
「アイツが幸せになるのにはお前が邪魔なのだろう」
「違うッ!!母さんはそんな人じゃない!!」
強い声でそう否定した若葉に対し父はにっこりと貼り付けたかのような笑みを浮かべる。
「ならば聞いてみると良い。まぁ聞いたところで、はぐらかされるだけだろうがな・・・アイツが本当にお前の事を必要としているのならば、家族として認めているのならば、偽ることなく全てを話すだろう。命を犠牲にしてでも子どもを産むことの意味も、お前にソレを伏せていた意味も全て話すだろうさ。私ならばそうする」
けれど1つでも隠されたのならば、誤魔化すのならば、きっと母にとって若葉は都合の良い存在でしかなく、メガトロンとの未来ができた今となっては邪魔な存在でしかないだろう。
口に事しないが若葉はそう感じ取ると、事実を確認するため父の研究室から出て行く。
どこか虚ろな表情と覚束ない足取りの若葉の姿を見た父は満足そうに微笑みながらドアの向こうへと消えていった娘の姿を見つめていた。
1人残された父は万事、全てが自分の思い描いたとおりに進んだことに対し満足そうに頷くと部屋の片隅にある空気清浄機の電源を切る。
「思いの外上手くいって一安心だ」
労うかのように空気清浄機を軽く叩いた男は耳に装着していた小さな機械を外す。
「今回が発の実戦投入だと聞いていたから半信半疑だったが、なかなか役立ちそうな装置じゃないか」
空気清浄機としておかれている機械の本来の役目は他にある。
モーター音と共に特殊な電波を発するようになっており、その効果はその特殊な電波を浴びた者に対してある種の洗脳を行えることだ。
電波を相殺する装置を持っていなければいとも簡単に催眠状態に相手を陥れることが可能な代物で、物が物な為に今まで使う事を禁止されていたのだが男は密かにその装置をここへと持ち込み密かにその効果を確認するように上層部から言われていた。
「効果は上々ということだな」
ただの家電製品という事もあるためか誰もがコレにそのように恐ろしい効果があるとは思わないだろう。
故にここに持ってくるときも特に検査をされることはなかった。
上手く行けば他の家電にも応用できそうだと男は思いながら上着のポケットから携帯を取り出すとどこかに電話をかけ始める。
「あぁ私だ。・・・無事にディエゴガルシア基地に着いている。報告にあった母体と胎児の方だが、予想以上に金属生命体達の警護が厳重で奪還することは難しい」
淡々とした声で報告をした瞬間、電話の相手が激昂し凄まじい勢いで抗議をしてきたが、それを父は相づちをしながら聞き流す。
相手がある程度文句を言って落ち着いたことを感じ取ると、至極楽しそうな口調で相手にある事を提案した。
「新たな提案なのだが、母体となった女には娘がいる。故に娘の方を実験台として使える可能性が高いと私は判断している。・・・あぁ。そうだ。恐らく問題なく活用できるだろう。相手?・・・それならば使えそうなヤツがいそうだから心配しないでくれ」
父の言葉に電話の相手は、娘を実験台にすることに関して良心が咎めないのか?と問いかけてきたが、その言葉を父は鼻で一笑する。
「私の娘ならばこそ科学の発展のための礎になれたことを幸福に思うべきなのだ。父の役に立てることを誇りに思うだろうさ」
言い終えるのと同時に父は通話を終了させると、若葉をどうやって籠絡しようかと策を練り始めた。
そんな父の姿を通風口からジッと見つめているモノがいた。
ソレは赤い目を不快そうに眇めると音も無くそっとその場から姿を消した。