14章:父親
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夜が明ける頃には若葉の熱は完全に下がっていた。
ラチェットの言うように風邪ではなく疲労からくるものだったらしく、ベッドから出た若葉がいつもと変わらない様子である事にメガトロンがホッと胸をなで下ろし、それを見たオプティマスが微笑ましいと言いたげにニコニコと笑っていた。
念のためだというメガトロンからの命令で若葉はラチェットの元で診察をしてもらい、無事に母と面会しても良いと許可を得られた。
「ここに来てから色々とあったものね」
若葉は昨夜、自分の身に起きた事を母に説明していた。
娘の話を聞きながら母は大きなバスタオルで若葉の髪をワシワシと拭いていた。
寝汗をかいたままの若葉に対してラチェットは医務室に備え付けてあるシャワー室を使えば良いと言ってくれた。
そう指摘されて気づいたのだが肌がベタベタしており、この状態で母に会うのは入院している母への衛生面でも問題あると判断すると若葉はラチェットの申し出を受け入れたのだ。
ただ、ドライヤーが壊れてしまっていると言ったラチェットは母に髪を拭いて貰うと良いと提案し、さすがにそれは恥ずかしいとやんわりと断った若葉だったが、この軍医が素直に引き下がるわけなどなかった。
気づけば母の病室へと連れて来られ、ラチェットから髪を拭いて欲しいと頼まれた母は喜んでその申し出を受け入れたのだ。
「子どもの頃はよくお風呂上がりに「お母さん!髪の毛ふいてー!!」ってお願いしてきたわねぇ」
「それ小学校低学年くらいの話でしょ?」
幼い頃はよく母に甘えることが多かったが、成長する内に段々とそれが恥ずかしくなってきて、気づけば自分で髪を乾かしたり、髪を縛ったりすることも自分でするようになっていった。そんな娘に対して母喜ばしいと言うかのように目を細めて笑っていたが、どこか寂しそうな顔もしていた事を若葉は思い出す。
「母さん」
「なぁに?」
「私ね、ここに来て良かったって思ってるよ」
その言葉に髪を拭いていた母の手が止る。
バスタオルで視界が塞がれてしまっている若葉は今母がどんな顔をしているのか解らない。
「閣下は良い人だね」
その正体は金属のロボットだが、下手な人間の男よりもよっぽど器が広い。
「ねぇ母さん」
「・・・なに?」
母の声が微かに震えていることに若葉は気づくがそれを指摘することはしない。
「私ね。アメリカで暮そうかなって考えてる」
昨夜、メガトロンと話をするまで若葉は多少の無理を言ってでも高校までは日本で生活をしたいなと考えていた。
それはメガトロンの正体が金属生命体である事を知るまでの話だ。
隠されていた真実とやらを知ってしまった今となっては、メガトロンがアメリカで暮して欲しいと言った言葉の意味が嫌と言う程理解出来た。
「それは・・・貴方の偽ることのない意思なの?」
「実は昨日の夜ね、閣下の正体ってのを知っちゃったんだよね。さすがにガンダム顔負けのロボットに襲われて身を守るのはちょっと難しいと思うしさ。ましてや日本で暮らし続けるのは色々と問題が起きたら対処のしようがないだろうし、そういった意味でアメリカで暮した方が良いかなって思ったの・・・・それにね」
この先の言葉を口にすることはきっと母が喜んでくれるだろうと若葉は確信していた。
家族4人で一緒に暮らしていきたいから。
そう言ったのならば、言葉の意味を、願いを理解ししたのならば、母は笑ってくれるだろうか?そう思いながら若葉は頭に掛けられているバスタオルを外すと、母の方へと顔を向けた。
「母さん?」
若葉の目に飛び込んできたのは見た事がない程鋭い目をしてドアを睨み付けている母の姿だった。
ラチェットの言うように風邪ではなく疲労からくるものだったらしく、ベッドから出た若葉がいつもと変わらない様子である事にメガトロンがホッと胸をなで下ろし、それを見たオプティマスが微笑ましいと言いたげにニコニコと笑っていた。
念のためだというメガトロンからの命令で若葉はラチェットの元で診察をしてもらい、無事に母と面会しても良いと許可を得られた。
「ここに来てから色々とあったものね」
若葉は昨夜、自分の身に起きた事を母に説明していた。
娘の話を聞きながら母は大きなバスタオルで若葉の髪をワシワシと拭いていた。
寝汗をかいたままの若葉に対してラチェットは医務室に備え付けてあるシャワー室を使えば良いと言ってくれた。
そう指摘されて気づいたのだが肌がベタベタしており、この状態で母に会うのは入院している母への衛生面でも問題あると判断すると若葉はラチェットの申し出を受け入れたのだ。
ただ、ドライヤーが壊れてしまっていると言ったラチェットは母に髪を拭いて貰うと良いと提案し、さすがにそれは恥ずかしいとやんわりと断った若葉だったが、この軍医が素直に引き下がるわけなどなかった。
気づけば母の病室へと連れて来られ、ラチェットから髪を拭いて欲しいと頼まれた母は喜んでその申し出を受け入れたのだ。
「子どもの頃はよくお風呂上がりに「お母さん!髪の毛ふいてー!!」ってお願いしてきたわねぇ」
「それ小学校低学年くらいの話でしょ?」
幼い頃はよく母に甘えることが多かったが、成長する内に段々とそれが恥ずかしくなってきて、気づけば自分で髪を乾かしたり、髪を縛ったりすることも自分でするようになっていった。そんな娘に対して母喜ばしいと言うかのように目を細めて笑っていたが、どこか寂しそうな顔もしていた事を若葉は思い出す。
「母さん」
「なぁに?」
「私ね、ここに来て良かったって思ってるよ」
その言葉に髪を拭いていた母の手が止る。
バスタオルで視界が塞がれてしまっている若葉は今母がどんな顔をしているのか解らない。
「閣下は良い人だね」
その正体は金属のロボットだが、下手な人間の男よりもよっぽど器が広い。
「ねぇ母さん」
「・・・なに?」
母の声が微かに震えていることに若葉は気づくがそれを指摘することはしない。
「私ね。アメリカで暮そうかなって考えてる」
昨夜、メガトロンと話をするまで若葉は多少の無理を言ってでも高校までは日本で生活をしたいなと考えていた。
それはメガトロンの正体が金属生命体である事を知るまでの話だ。
隠されていた真実とやらを知ってしまった今となっては、メガトロンがアメリカで暮して欲しいと言った言葉の意味が嫌と言う程理解出来た。
「それは・・・貴方の偽ることのない意思なの?」
「実は昨日の夜ね、閣下の正体ってのを知っちゃったんだよね。さすがにガンダム顔負けのロボットに襲われて身を守るのはちょっと難しいと思うしさ。ましてや日本で暮らし続けるのは色々と問題が起きたら対処のしようがないだろうし、そういった意味でアメリカで暮した方が良いかなって思ったの・・・・それにね」
この先の言葉を口にすることはきっと母が喜んでくれるだろうと若葉は確信していた。
家族4人で一緒に暮らしていきたいから。
そう言ったのならば、言葉の意味を、願いを理解ししたのならば、母は笑ってくれるだろうか?そう思いながら若葉は頭に掛けられているバスタオルを外すと、母の方へと顔を向けた。
「母さん?」
若葉の目に飛び込んできたのは見た事がない程鋭い目をしてドアを睨み付けている母の姿だった。