13章:謀の犠牲になる者は?
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ラチェット曰く、若葉の発熱は色々な事が一度に起こりすぎたから疲れてしまっただけだろうという診断だった。
「薬と水を枕元に置いておく」
「ありがとうございます」
「・・・明日また来るよ」
若葉を安心させるかのように頭を優しく撫でたラチェットは出していた往診セットを鞄へとしまうと、若葉の側を離れようとしたため若葉は少し焦った顔をしてラチェットの上着の袖を掴む。
「あの」
「なにかな?」
「・・・なんでもないです」
掴んでいた上着を名残惜しそうに手放した若葉の姿を見たラチェットは困ったように微笑むと、若葉の頭をグリグリとなで回す。
「私の見解としては君の発熱は風邪などではなく、疲れからくるものだという診断だよ。だから明日になって熱が下がっていたら博士と会っても良い」
「え・・・なんで?」
若葉は何故自分の言いたいことが解ったのだ?と言うかのように目を見開いた後、申し訳ないと言うかのように毛布を少しだけ上げて顔を隠す。
自分は言いたいことがそんなにも顔に出てしまっていたのだろうか?と不安になってると、ラチェットはククッと押し殺したような笑い声をあげる。
「笑わないで下さい」
「あぁそうだね。すまない」
拗ねたような声で若葉が抗議をするとラチェットは笑うのを止めてくれたが、その目だけは未だに若葉のした事が面白いと訴えている。
ラチェットからしてみれば何とも健気で可愛らしいな、というのが本心だ。
「今夜はもう何も考えずに眠ると良い」
乱れた髪を直したラチェットは鞄を手に持つと寝室を出て行く。
パタン、と軽く音を立ててドアが閉じられれば室内に満ちるのは静寂だ。
ドア越しに誰かが会話をする声が聞こえてくるが、何を言っているのかまでは解らない。
「(本当に今日は色々とあったなぁ)」
ラチェットの言うとおりに確かに今日一日だけで色々な事があったなぁと若葉は思いながら、見慣れない天井と、他人の匂いと気配が色濃く残っている寝室で横になっていた。
身体は熱いはずなのに爪先や指先はジクジクとした痛みを発する程冷たくなっていて、少し身じろぎするだけで関節がギシギシと軋む。
「(子どもの頃は熱を出したら母さんがずっと側に居てくれたなぁ)」
小学校低学年くらいまではよく風邪をひいては学校を休み、その度に母は仕事を休んで側に居てくれた。
「若葉ちゃん。プリン買ってきたけど食べられそう?それともゼリーが良い?」
少しでも食べられればという気持ちから母は普段よりも優しかった。氷枕をこまめに変えてくれた手は娘の事を唯々案じていた。
その時の記憶を思い出した若葉は目の奥が熱くなってきて、鼻の奥にツンッとした痛みを感じ取ったときだった。
閉じられていたドアがゆっくりと開いたため視線を向けると、そこには誰かが立っていた。
てっきりメガトロンかと思ったのだが、骨格がまるで違うことに若葉は気づく。
オプティマスともラチェットとも違うその人物は、彼等と比べて少しばかり華奢な体つきをしている。
「誰?」
逆光のため顔が見えなかった若葉が掠れた声でそう問いかけると、その人物は音も無く室内に入ってくる。
「薬と水を枕元に置いておく」
「ありがとうございます」
「・・・明日また来るよ」
若葉を安心させるかのように頭を優しく撫でたラチェットは出していた往診セットを鞄へとしまうと、若葉の側を離れようとしたため若葉は少し焦った顔をしてラチェットの上着の袖を掴む。
「あの」
「なにかな?」
「・・・なんでもないです」
掴んでいた上着を名残惜しそうに手放した若葉の姿を見たラチェットは困ったように微笑むと、若葉の頭をグリグリとなで回す。
「私の見解としては君の発熱は風邪などではなく、疲れからくるものだという診断だよ。だから明日になって熱が下がっていたら博士と会っても良い」
「え・・・なんで?」
若葉は何故自分の言いたいことが解ったのだ?と言うかのように目を見開いた後、申し訳ないと言うかのように毛布を少しだけ上げて顔を隠す。
自分は言いたいことがそんなにも顔に出てしまっていたのだろうか?と不安になってると、ラチェットはククッと押し殺したような笑い声をあげる。
「笑わないで下さい」
「あぁそうだね。すまない」
拗ねたような声で若葉が抗議をするとラチェットは笑うのを止めてくれたが、その目だけは未だに若葉のした事が面白いと訴えている。
ラチェットからしてみれば何とも健気で可愛らしいな、というのが本心だ。
「今夜はもう何も考えずに眠ると良い」
乱れた髪を直したラチェットは鞄を手に持つと寝室を出て行く。
パタン、と軽く音を立ててドアが閉じられれば室内に満ちるのは静寂だ。
ドア越しに誰かが会話をする声が聞こえてくるが、何を言っているのかまでは解らない。
「(本当に今日は色々とあったなぁ)」
ラチェットの言うとおりに確かに今日一日だけで色々な事があったなぁと若葉は思いながら、見慣れない天井と、他人の匂いと気配が色濃く残っている寝室で横になっていた。
身体は熱いはずなのに爪先や指先はジクジクとした痛みを発する程冷たくなっていて、少し身じろぎするだけで関節がギシギシと軋む。
「(子どもの頃は熱を出したら母さんがずっと側に居てくれたなぁ)」
小学校低学年くらいまではよく風邪をひいては学校を休み、その度に母は仕事を休んで側に居てくれた。
「若葉ちゃん。プリン買ってきたけど食べられそう?それともゼリーが良い?」
少しでも食べられればという気持ちから母は普段よりも優しかった。氷枕をこまめに変えてくれた手は娘の事を唯々案じていた。
その時の記憶を思い出した若葉は目の奥が熱くなってきて、鼻の奥にツンッとした痛みを感じ取ったときだった。
閉じられていたドアがゆっくりと開いたため視線を向けると、そこには誰かが立っていた。
てっきりメガトロンかと思ったのだが、骨格がまるで違うことに若葉は気づく。
オプティマスともラチェットとも違うその人物は、彼等と比べて少しばかり華奢な体つきをしている。
「誰?」
逆光のため顔が見えなかった若葉が掠れた声でそう問いかけると、その人物は音も無く室内に入ってくる。