12章:本当の気持ち
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ずっと一緒だった母が気づけば全く知らない人になっていたことに対し、若葉は少しばかり動揺したものの特に反発心を抱くことなく受け入れた。
「だって母さんは・・・閣下のことを本当に好きだから」
自らの弱さを露呈することも、手の掛かる娘の存在を隠す事などしなかった。
裏切られることは無いと解った上で母はメガトロンの優しさに頼り、そして彼の全てを受け入れたのだ。
メガトロンはそんな母の全てを容認した。
「私の感情を抜きにしてまで閣下と添い遂げようとしているもの」
母はメガトロンならばきっと全てを受け入れてくれるだろうというある種の確信を得ていたのだろう。
案の定母の予想通りに、メガトロンと若葉はぎこちなく、そして歪ではあるものの親子関係を築き上げてしまった。
メガトロンも若葉も互いに母を思うが故に歩み寄ったに過ぎない。
けれど母はそんな2人の姿を見て安堵の笑みを浮かべるのと同時に最愛の娘を託せる人物が得られたことを喜んだ。
けれど、その喜びの影に見えぬ何かがあることを娘である若葉は気づき、そして何かがあるのだと悟ってしまうことまでは母には想像できなかった。
母のために娘が自分を犠牲にするような愚かな事をするとは欠片も想像していなかったが為、自分の発言がこの事態を引き起こす切っ掛けになるとは思わなかったのだ。
「私はただ母さんが「幸せだ」って言って笑ってくれればそれで良かった」
ジワリと浮かんできた涙を手の甲で拭いながら若葉は告げる。
アメリカに来いとメガトロンが頼んできた理由、その全ては母の妊娠によるものだ。全てが母の意図によって密かに張り巡らされていて、若葉は自分が最初から何も出来なかった愚かで無力な子どもでしかないことを理解したのだ。
けれどそんな子どもでも出来る事は何かあるはずだ、そう考えた末に下した決断は自分を犠牲にするという方法だ。
「閣下なら・・・父さんなら、きっと、きっと!!」
母と赤子を守れるだけの事ができる。
けれど彼とて万能ではないのだ。
無慈悲に思えるが実は誰よりも慈愛に満ちているあの人とて、どんなに伸ばしたとしても伸ばせる手には限界がある。
何かを得る為には何かを犠牲にするしか方法はない。
この世の中は全てが錬金術のように等価交換で行われている。
メガトロンと母の間に出来た赤子が幸せを得る為には、誰かがその代りとして、代価となる幸せを支払わなければならない。
だからこそ若葉はその犠牲を引き受ける役を自ら引き受けることを決めたのだ。
母の幸せを奪い続けてきた愚かな自分が償うには相応しいことではないか。
「母さんは幸せになれる!!生まれてくる赤ちゃんだって幸せに・・・・ッ」
そこから先のことを若葉は口にすることが出来なかった。
生まれたばかりの嬰児を抱えた母が嬉しそうに微笑み、その母を愛おしげに見つめるメガトロン。
とても温かなその光景。けれど、その間に決して自分は入る事が出来ないと解っているから。
「そうしなきゃ」
自らが犯した罪は決して消えないのだ。
そう告げる若葉へとオプティマスが痛ましい顔をしながらも、手を差し伸べようとしたが彼の手は不自然な状態で止ってしまう。
ボロボロと涙を流しながら自分の目元を乱暴に拭っている若葉は気づかない。
音も無く誰かがそっと近づいていることも。
その人が、辛そうに赤い目を歪めていることも気づかぬまま、ただ嗚咽を上げながら溢れる涙を拭っていたときだった。
「だからお前は愚か者なのだ」
愛おしむかのようにそっと背後から若葉は力強い腕に抱きしめられる。
「だって母さんは・・・閣下のことを本当に好きだから」
自らの弱さを露呈することも、手の掛かる娘の存在を隠す事などしなかった。
裏切られることは無いと解った上で母はメガトロンの優しさに頼り、そして彼の全てを受け入れたのだ。
メガトロンはそんな母の全てを容認した。
「私の感情を抜きにしてまで閣下と添い遂げようとしているもの」
母はメガトロンならばきっと全てを受け入れてくれるだろうというある種の確信を得ていたのだろう。
案の定母の予想通りに、メガトロンと若葉はぎこちなく、そして歪ではあるものの親子関係を築き上げてしまった。
メガトロンも若葉も互いに母を思うが故に歩み寄ったに過ぎない。
けれど母はそんな2人の姿を見て安堵の笑みを浮かべるのと同時に最愛の娘を託せる人物が得られたことを喜んだ。
けれど、その喜びの影に見えぬ何かがあることを娘である若葉は気づき、そして何かがあるのだと悟ってしまうことまでは母には想像できなかった。
母のために娘が自分を犠牲にするような愚かな事をするとは欠片も想像していなかったが為、自分の発言がこの事態を引き起こす切っ掛けになるとは思わなかったのだ。
「私はただ母さんが「幸せだ」って言って笑ってくれればそれで良かった」
ジワリと浮かんできた涙を手の甲で拭いながら若葉は告げる。
アメリカに来いとメガトロンが頼んできた理由、その全ては母の妊娠によるものだ。全てが母の意図によって密かに張り巡らされていて、若葉は自分が最初から何も出来なかった愚かで無力な子どもでしかないことを理解したのだ。
けれどそんな子どもでも出来る事は何かあるはずだ、そう考えた末に下した決断は自分を犠牲にするという方法だ。
「閣下なら・・・父さんなら、きっと、きっと!!」
母と赤子を守れるだけの事ができる。
けれど彼とて万能ではないのだ。
無慈悲に思えるが実は誰よりも慈愛に満ちているあの人とて、どんなに伸ばしたとしても伸ばせる手には限界がある。
何かを得る為には何かを犠牲にするしか方法はない。
この世の中は全てが錬金術のように等価交換で行われている。
メガトロンと母の間に出来た赤子が幸せを得る為には、誰かがその代りとして、代価となる幸せを支払わなければならない。
だからこそ若葉はその犠牲を引き受ける役を自ら引き受けることを決めたのだ。
母の幸せを奪い続けてきた愚かな自分が償うには相応しいことではないか。
「母さんは幸せになれる!!生まれてくる赤ちゃんだって幸せに・・・・ッ」
そこから先のことを若葉は口にすることが出来なかった。
生まれたばかりの嬰児を抱えた母が嬉しそうに微笑み、その母を愛おしげに見つめるメガトロン。
とても温かなその光景。けれど、その間に決して自分は入る事が出来ないと解っているから。
「そうしなきゃ」
自らが犯した罪は決して消えないのだ。
そう告げる若葉へとオプティマスが痛ましい顔をしながらも、手を差し伸べようとしたが彼の手は不自然な状態で止ってしまう。
ボロボロと涙を流しながら自分の目元を乱暴に拭っている若葉は気づかない。
音も無く誰かがそっと近づいていることも。
その人が、辛そうに赤い目を歪めていることも気づかぬまま、ただ嗚咽を上げながら溢れる涙を拭っていたときだった。
「だからお前は愚か者なのだ」
愛おしむかのようにそっと背後から若葉は力強い腕に抱きしめられる。