12章:本当の気持ち
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オプティマスから渡されたコーヒーを一口飲んだ若葉はソレを吹き出さなかった自分の努力を心から称賛したかった。
オプティマスが甘党を越えた、激甘党であることは何度か彼のお茶する姿を見て知っていたはずだった。けれど他人に自らがお勧めする飲み物を提供するとは思わなかったのだ。
「私のお薦めコーヒーはお口に合ったかな?」
「・・・はい。ですが、出来れば次からは私の分のコーヒーには砂糖を入れないで頂けると助かります」
引きつった笑みを浮かべながら若葉は砂糖の入れすぎで飽和状態と鳴ってしまったが故に、溶けきれなかった砂糖がザリザリとするコーヒーを頑張って飲んでいたときだ。
「若葉嬢。何故、あんな事をしたんだい?」
困ったように微笑みながらオプティマスは若葉へと話しかける。
あんな事、それはきっとメガトロンに対して自分を切捨て、そして母と赤子を助けるようにしろ、という事だと理解した若葉はオプティマスへと視線を向けると、そこには溢れんばかりの慈愛と共に少しばかりの落胆を滲ませているオプティマスの姿があった。
メガトロンがいない今だからこそオプティマスは若葉から真意を聞くことが出来るのだと判断し、そして迷うことなく実行したのだ。
そういった事への決断力がある事からオプティマスはメガトロンとは違った意味で決断力に長けている人物なのだ、そして多くの者達をまとめ上げている人物なのだと無意識の内に理解した若葉は持っていたマグカップを両手で握りしめる。
「私は・・・・私のせいで母が自分の幸せを捨てきた事を知っています」
思い出すのは母を心から愛していた人達の姿。
彼等は皆、母から別れを告げられた原因が若葉にあるのだと言いたげな目をしていた。
けれど彼等は相手が子どもだと解ると何も言わずに去って行った。
唯一、母に振られた腹いせだと言うかのように悪意ある言葉を残した人物が居たが彼とはそれ以後、顔を合わせることはなかった。
「私がある程度の分別がつく年齢になると、母から男性を紹介されたことがありました。その人と母が一緒に生きたいと想っている事を私は知っていました。でも・・・・私は人として、娘として、最低な事を母にしました」
幼い自分は母の気持ちに気づくと母が奪われてしまう、そう思うと母の交際相手に対する嫌悪感を隠すことはせず、そしてそれと同時に素っ気ない態度を取った。
そうすることで母がどういう決断を下すのか解った上での行動だ。
「母は私が予想したように、私が願ったように、母はその人が私の父としては相応しくないと判断すると、その人との繋がりを一切断ちました。馬鹿で愚かな子どもだった私は母が私だけの存在で居てくれることを密かに喜んでいました。でも・・・」
マグカップを握りしめる指が震える。
それが愚かな自分に対して怒りからくるものなのか、それとも自らの愚かさに対する後悔からくるものなのか、若葉には解らない。
けれどお腹の底でグルグルと渦を巻く仄暗い感情に気づいた若葉はそれを押し殺すかのようにきつく目を閉じる。
「大きくなって、誰かから好意の感情を向けられるようになって、誰かを好きになって、私は、私がしたことがどれだけ罪深いのか知ってしまった」
誰かを好きになる事を知ってしまった。
何気なく母にその事を告げれば母は嬉しそうに微笑んでいたが、どこか少し悲しそうにしていた。
ソレを見て若葉は気づいてしまった。
誰かを初めて好きになって、自分がどれだけ罪深いことをし続けてきたのか理解してしまったのだ。
母もまた母である前に1人の人間なのだということを。
誰かの幸せを踏みにじって自分の幸せを優先し続けた。
今まで意図的に目を背けていた感情と、知らず知らずの内に自らが犯していた罪の重さに若葉は気づいてしまった瞬間、自分にはもう誰かを好きになる権利なんてないのだと理解してしまった。
「だから、だから今度だけは、絶対に邪魔しちゃ駄目だって思ったの」
それを口にした瞬間、母がプロポーズされたと言って嬉しそうに微笑んでいた顔が脳裏に浮かぶ。
きっと母は自分がメガトロンとの子どもを妊娠している事を解っていた。
そしてそれと同時に子どもを産むことを決めていた。
自分がもう若葉だけの母親では居られない。
母の確固たる決意を知ってしまった瞬間、若葉は母の意思を変えられないことを感じ取ったのだ。
オプティマスが甘党を越えた、激甘党であることは何度か彼のお茶する姿を見て知っていたはずだった。けれど他人に自らがお勧めする飲み物を提供するとは思わなかったのだ。
「私のお薦めコーヒーはお口に合ったかな?」
「・・・はい。ですが、出来れば次からは私の分のコーヒーには砂糖を入れないで頂けると助かります」
引きつった笑みを浮かべながら若葉は砂糖の入れすぎで飽和状態と鳴ってしまったが故に、溶けきれなかった砂糖がザリザリとするコーヒーを頑張って飲んでいたときだ。
「若葉嬢。何故、あんな事をしたんだい?」
困ったように微笑みながらオプティマスは若葉へと話しかける。
あんな事、それはきっとメガトロンに対して自分を切捨て、そして母と赤子を助けるようにしろ、という事だと理解した若葉はオプティマスへと視線を向けると、そこには溢れんばかりの慈愛と共に少しばかりの落胆を滲ませているオプティマスの姿があった。
メガトロンがいない今だからこそオプティマスは若葉から真意を聞くことが出来るのだと判断し、そして迷うことなく実行したのだ。
そういった事への決断力がある事からオプティマスはメガトロンとは違った意味で決断力に長けている人物なのだ、そして多くの者達をまとめ上げている人物なのだと無意識の内に理解した若葉は持っていたマグカップを両手で握りしめる。
「私は・・・・私のせいで母が自分の幸せを捨てきた事を知っています」
思い出すのは母を心から愛していた人達の姿。
彼等は皆、母から別れを告げられた原因が若葉にあるのだと言いたげな目をしていた。
けれど彼等は相手が子どもだと解ると何も言わずに去って行った。
唯一、母に振られた腹いせだと言うかのように悪意ある言葉を残した人物が居たが彼とはそれ以後、顔を合わせることはなかった。
「私がある程度の分別がつく年齢になると、母から男性を紹介されたことがありました。その人と母が一緒に生きたいと想っている事を私は知っていました。でも・・・・私は人として、娘として、最低な事を母にしました」
幼い自分は母の気持ちに気づくと母が奪われてしまう、そう思うと母の交際相手に対する嫌悪感を隠すことはせず、そしてそれと同時に素っ気ない態度を取った。
そうすることで母がどういう決断を下すのか解った上での行動だ。
「母は私が予想したように、私が願ったように、母はその人が私の父としては相応しくないと判断すると、その人との繋がりを一切断ちました。馬鹿で愚かな子どもだった私は母が私だけの存在で居てくれることを密かに喜んでいました。でも・・・」
マグカップを握りしめる指が震える。
それが愚かな自分に対して怒りからくるものなのか、それとも自らの愚かさに対する後悔からくるものなのか、若葉には解らない。
けれどお腹の底でグルグルと渦を巻く仄暗い感情に気づいた若葉はそれを押し殺すかのようにきつく目を閉じる。
「大きくなって、誰かから好意の感情を向けられるようになって、誰かを好きになって、私は、私がしたことがどれだけ罪深いのか知ってしまった」
誰かを好きになる事を知ってしまった。
何気なく母にその事を告げれば母は嬉しそうに微笑んでいたが、どこか少し悲しそうにしていた。
ソレを見て若葉は気づいてしまった。
誰かを初めて好きになって、自分がどれだけ罪深いことをし続けてきたのか理解してしまったのだ。
母もまた母である前に1人の人間なのだということを。
誰かの幸せを踏みにじって自分の幸せを優先し続けた。
今まで意図的に目を背けていた感情と、知らず知らずの内に自らが犯していた罪の重さに若葉は気づいてしまった瞬間、自分にはもう誰かを好きになる権利なんてないのだと理解してしまった。
「だから、だから今度だけは、絶対に邪魔しちゃ駄目だって思ったの」
それを口にした瞬間、母がプロポーズされたと言って嬉しそうに微笑んでいた顔が脳裏に浮かぶ。
きっと母は自分がメガトロンとの子どもを妊娠している事を解っていた。
そしてそれと同時に子どもを産むことを決めていた。
自分がもう若葉だけの母親では居られない。
母の確固たる決意を知ってしまった瞬間、若葉は母の意思を変えられないことを感じ取ったのだ。