12章:本当の気持ち
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「プライム。今の言葉を聞いたな?」
若葉が聞いたことのないような低い声音でメガトロンは告げる。
これは本当に自分はこの夏休みの間、無事に過ごせないなぁと密かに若葉は思うのと同時に、それだけメガトロンが母に対して本気なのだと悟ると良かったと思った時だ。
「メガトロン。焦るな」
「俺は焦ってなどおらん」
「・・・・若葉嬢の発言は彼女なりに考えた末の答えだ」
「だとしたらそれは愚の骨頂ではないか?愚か者には俺自らが躾をすべきだろう?」
「お前の躾は躾では済まない」
「安心しろ。俺は身の内に入った存在には優しく接してやる方だ」
「私にはそう思えないから言っている」
いつも穏やかな口調であったはずのオプティマスが強ばった声でメガトロンに対して必死に思い止まるように言葉を告げるが、メガトロンはオプティマスの言葉など最初から聞いていないと言うかのような声音で答える。
「俺も随分と甘く見られたものだ」
嘲笑うかのような言葉が聞こえた直後、若葉の頭を力強い手が掴んだかと思えば下げていた頭を上げられる。
強制的に視線を上げられた若葉の目に飛び込んできたのは、心底楽しそうに嗤うメガトロンの目だ。
それは弱者をいたぶることに対して何の迷いも抱いてはいない者の目。
その目を見た瞬間、若葉の背筋にゾクリとした何かが駆け抜けていく。
ガタガタと震えながら若葉はメガトロンを見つめる事しか出来ぬ中、メガトロンは恐怖で怯える若葉を見て心底楽しげに笑う。
「若葉」
「はい」
「貴様は俺の娘だ。親が子を支配するのはお前達人間の道理だったな?ならばこそ俺がお前をどう扱おうと自由だろう?」
「ッ・・・。閣下」
「あぁ血の繋がりがないことが気がかりか?そんな事など俺達にとっては下らんことだから気にとめる必要もない」
口調も眼差しも恐ろしいのに若葉に触れる指先だけは酷く優しげで、初めて見るメガトロンの恐ろしさに若葉は言葉を失って震えることしか出来ない。
今すぐにでも謝罪の言葉を口にしたいのだが、それを言ってしまえばきっとメガトロンは若葉を都合良く扱う。
それを分かっているからこそ若葉は今にも泣きそうな顔をしてブンブンと首を振ることしか出来ない。
「若葉」
名を呼ばれるが返事をすることすら出来ない程に若葉はこの短時間で疲弊していた。
焦点の合わない瞳をメガトロンへと向ければ、若葉の意識が自分へと向けられた事に対してメガトロンは楽しげに笑う。
「お前は俺のモノだ・・・二度とあんな下らぬことを言うな」
「はい」
掠れた声でそう告げた 若葉の意識はブツリと途切れる。
ブラックアウトしていく意識の中で、最後まで残っていた聴覚が若葉の耳へとメガトロンの声を運んだ。
「お前は俺の娘だ。お前が何を言おうとも、誰が何を言おうともそれは未来永劫変わらんことを覚えておけ。俺の娘という立場からそう易々と逃れられると思うなよ?お前が逆らわなければ、自己犠牲などと言う下らん感情から、俺を不快にさせる言葉を口にしなければ俺がお前を守ってやる」
若葉をメガトロンへと縛り付けるかのようなその言葉にぎこちなく頷くことしか若葉には出来なかった。