8章:未来に対する選択
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「ここの守りは万全だ。それ故にアイツと腹の子に関しては問題はない。ただ、お前が日本で暮すとなれば守るのは少しばかり困難になる」
「私が狙われないという可能性だってあるのでは?」
「アイツ等は利用できるものは何でも利用する。お前が俺の娘になると解れば、アイツ等はお前を捕まえて俺をおびき寄せる餌にするだろう」
「餌、ですか?人質ではなく?」
随分な良いようだと思いながら若葉は問う。
そもそも餌という表現自体が理解出来ないのだ。
「人質は俺への牽制、もしくは交渉に使える」
「そうなんですか」
知らなくて良かった知識を得られたことを若葉は喜ぶべきか、または悲しむべきか解らぬままメガトロンへと続きを促す。
正直な気持ち、あまりその違いを聞きたくはない。
「餌とはその意味合いのままだな。俺への脅し、いや、俺への挑発のために死なない程度に痛めつけられるだろ。生かさず殺さずと言う状態にされるだろうな」
「何ソレ怖い」
咄嗟に出てきた言葉は若葉にとって本心であった。
きっぱりと断言した事からメガトロンが自身の敵についてかなり詳しく知っているのだということを若葉は理解する。
民間人でしかない若葉に対して敵の事を隠さず告げてくる事から、敵というのがかなり厄介で、メガトロン自身も全てを対応出来るわけではない事が伝わってくる。
「狙われる危険が解った上で私がどうしても日本で暮したいと言えば?」
「お前の意思を尊重しよう。・・・ただ、日本で暮す場合は俺の部下を護衛として数人派遣させてもらうぞ?人選はこちらに任せて貰うが」
少しだけ切れの悪い口調でメガトロンが返答した事に若葉は気づく。
メガトロンの雰囲気から恐らく派遣する護衛は一人や二人ではないはずだ。休みなどを考えれば最低でも5、6人でのチームを組んでやってくる。
メガトロンの部下がどれくらい居るのか若葉には解らない。
実力もあり信頼できるだろう部下は母専属の護衛として側に控えさせたいのが本心なのだろう。
それを隠して若葉の為に派遣させようとしているのだ。
「・・・レノックスから人員を補充するから問題はない」
メガトロンにしてみれば今の発言は若葉を安心させようとしたのだろうが、それは今口にするには最悪の言葉であった。
サッと顔から表情を消した若葉はこれ以上、メガトロンに我儘を言う事は出来ないと思うとアメリカに来る事を了承しようとしたときだ。
「大丈夫だ!メガトロンッ!君は博士と子供を守る事だけに専念すると良い!!!若葉嬢の護衛ならば我々が務めよう!!」
バンッと勢いよくドアが開いたのと同時に意気揚々とした声音でそう告げながら一人の男が室内に入ってくる。
何の前触れもなく現れた第三者の存在に気づいたメガトロンの反応は早かった。
声が聞こえたのと同時にソファから離れると若葉を庇うかのように前に立つ。
メガトロンの背中越しに伝わってくるピリピリとした殺気に若葉は身を竦ませることしかできずにいた。
「ディセプティコンは大型の者達が多いから護衛を務めるのは少しばかり大変だろう?特に日本となれば道路がここよりも狭いだろうから不便だな。・・・だがその点!我々オートボットは小柄な者が多く、護衛としては打って付けだ!!お前が抱えている問題は無事に解決したなッ!!」
聞こえてきた声に聞き覚えがあった若葉は恐る恐るメガトロンの影から顔をのぞかせれば、満足そうに微笑みながら頷くオプティマス・プライムの姿があった。
あまりにも突然の展開にメガトロンと若葉は絶句したままオプティマスを見つめる事しか出来なかった。
「お前と若葉嬢を交えて今後の事を相談しようか!・・・あぁ、飲み物は自分でコーヒーを煎れるから安心してくれ!!」
メガトロンと若葉が身動き一つ出来ずにいる中、それこそ勝手知ったる他人の家と言うかのようにオプティマスはキッチンに向かうとコーヒーを煎れ始める。