7章:母が隠していた秘密
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
らしくもない会話に調子が狂うと言うかのように米神に手を添えた若葉は唸るような声で告げる。
「閣下。私にだってプライベートがあるんだけど?」
「駄目だ。悪い男に騙されて泣くような事にはさせん・・・俺の娘ならば尚のことだ」
間髪おかずに返された返答。
それは少し前までならば不快でしかないものだったが、不器用ながらも自分を思ってくれているメガトロンの事を知った今となっては嬉しい返答だった。
「悪い男って・・・ただのクラスメイトなんですけど?」
「あっちはそうは思っていないらしいぞ」
まさかの返答に若葉は絶句する。
確かに噂の男子生徒から最近妙に声を掛けられる事も多かったし、友達もなんとなく二人きりにさせるかのように動いていた事は感じていた。
「マジ?」
「マジだ」
真顔で返された返答に若葉は夏休み明けにどうやってその男子生徒と顔を合わせれば良いのだと思っていたときだ。
「盛り上がっているところ申し訳ないね。私としても少しばかり他人の恋愛話に興味があるし、可能ならば参加をしたいところだがそろそろ夜も更けてきた。博士を休ませたいから君達は退出してくれると有難いんだが?」
場の空気を読んだかのような絶妙なタイミングで現れたラチェットの言葉に、三人はもうそんな時間なのかというかのような顔を向ける。
血の繋がりなど全くないのに似たような顔をする三人の顔を見たラチェットは笑みを浮かべるながら肩をすくめた。
「そうか。後で必要な物を持ってくる。そろそろ家に帰るぞ」
「はい、閣下。私の携帯へのハッキングを部下にさせている話の続きは家でしますよ」
「あぁいいぞ。俺の主張が父として正しいものだと教えてやろう」
受けて立つと言うかのようなメガトロンの言葉に若葉はこれは分が悪いなぁと思いながらも、何としてでも自分のプライベートを守る為にも奮闘せねばと自分を奮い立たせる。
「母さん。また明日ね」
ひらりと手を振った若葉はメガトロンと共に母の病室を出て行く。
少し前まではぎこちなかった二人の距離が縮まっている事に気づいた母とラチェットは、去って行く二人の姿を微笑ましいというかのように見つめていた。
「意外と上手くいくかもしれないなぁ」
点滴の確認をしながらラチェットが呟いた言葉に対し、母は嬉しそうに微笑む。
けれどその笑みはすぐに曇ってしまう。
「えぇ安心したわ。これでもしもの事があったとしても、私亡き後もきっと大丈夫だって思えたもの・・・メガトロンなら若葉を理解して大切にしてくれるはずだって解ったから」
自身の腹部にそっと手を添えた母の言葉にラチェットは全ての動きを一瞬だけ止めた。すぐに我を取り戻したラチェットは咎めるかのような目をして母を見つめるが、彼の口からは一言たりとも言葉が出てくる事は無い。
「貴方は本当に優しいお医者さんねぇラチェット軍医。私ね、貴方が意図的に伏せていた事も解っているのよ?だって自分の身体の事ですもの・・・同じ人間同士ならば問題はこうも大きくならなかったでしょう。でも、人間と金属生命体との間に子供が出来た。これは医学的にあり得ない事だってことくらい、畑違いの私にだって理解出来るわ・・・その結果が代償を支払う事だって事もね」
「博士」
「メガトロンと若葉には言わないで・・・私は、この子を産むわ。例えそれが私の命と引き替えになったとしても」
穏やかに微笑みながら告げられた言葉には確固たる意思が宿っていることくらい、ラチェットには嫌と言うほど伝わってきた。
「博士。私は医者だ。だからこそ私は患者を生かすためにありとあらゆる手段を執る」
生かすための選択肢。
どの命を生かすのかという残酷な選択肢。
ラチェットは医者として自らがどう動くのか解っている。
脳裏に浮かぶのは、まだ幼さの残る少女の顔。
博士が大切にしたいと願っている存在。
きっと、博士のこの意思を砕けるのは、変えられるのは若葉だけだ。
けれどあの子に”母”を選ぶのか”血縁者”を選ばせるのかという残酷なことをじぶんはさせるのか?と思いながらラチェットは拳を握る。
「(・・・私は優しくなどないよ、博士。友人を失いたくない、その為ならば私は誰かを結果的に傷つけたとしても生存の道を選ぶさ)」
自分を信頼してくれている、心を開いてくれている若葉の顔を思い浮かべるとツキンと胸の奥が痛んだが、その痛みをラチェットは無視した。
医者として自分がすべきことを選ぶべきだと思いながら。
「閣下。私にだってプライベートがあるんだけど?」
「駄目だ。悪い男に騙されて泣くような事にはさせん・・・俺の娘ならば尚のことだ」
間髪おかずに返された返答。
それは少し前までならば不快でしかないものだったが、不器用ながらも自分を思ってくれているメガトロンの事を知った今となっては嬉しい返答だった。
「悪い男って・・・ただのクラスメイトなんですけど?」
「あっちはそうは思っていないらしいぞ」
まさかの返答に若葉は絶句する。
確かに噂の男子生徒から最近妙に声を掛けられる事も多かったし、友達もなんとなく二人きりにさせるかのように動いていた事は感じていた。
「マジ?」
「マジだ」
真顔で返された返答に若葉は夏休み明けにどうやってその男子生徒と顔を合わせれば良いのだと思っていたときだ。
「盛り上がっているところ申し訳ないね。私としても少しばかり他人の恋愛話に興味があるし、可能ならば参加をしたいところだがそろそろ夜も更けてきた。博士を休ませたいから君達は退出してくれると有難いんだが?」
場の空気を読んだかのような絶妙なタイミングで現れたラチェットの言葉に、三人はもうそんな時間なのかというかのような顔を向ける。
血の繋がりなど全くないのに似たような顔をする三人の顔を見たラチェットは笑みを浮かべるながら肩をすくめた。
「そうか。後で必要な物を持ってくる。そろそろ家に帰るぞ」
「はい、閣下。私の携帯へのハッキングを部下にさせている話の続きは家でしますよ」
「あぁいいぞ。俺の主張が父として正しいものだと教えてやろう」
受けて立つと言うかのようなメガトロンの言葉に若葉はこれは分が悪いなぁと思いながらも、何としてでも自分のプライベートを守る為にも奮闘せねばと自分を奮い立たせる。
「母さん。また明日ね」
ひらりと手を振った若葉はメガトロンと共に母の病室を出て行く。
少し前まではぎこちなかった二人の距離が縮まっている事に気づいた母とラチェットは、去って行く二人の姿を微笑ましいというかのように見つめていた。
「意外と上手くいくかもしれないなぁ」
点滴の確認をしながらラチェットが呟いた言葉に対し、母は嬉しそうに微笑む。
けれどその笑みはすぐに曇ってしまう。
「えぇ安心したわ。これでもしもの事があったとしても、私亡き後もきっと大丈夫だって思えたもの・・・メガトロンなら若葉を理解して大切にしてくれるはずだって解ったから」
自身の腹部にそっと手を添えた母の言葉にラチェットは全ての動きを一瞬だけ止めた。すぐに我を取り戻したラチェットは咎めるかのような目をして母を見つめるが、彼の口からは一言たりとも言葉が出てくる事は無い。
「貴方は本当に優しいお医者さんねぇラチェット軍医。私ね、貴方が意図的に伏せていた事も解っているのよ?だって自分の身体の事ですもの・・・同じ人間同士ならば問題はこうも大きくならなかったでしょう。でも、人間と金属生命体との間に子供が出来た。これは医学的にあり得ない事だってことくらい、畑違いの私にだって理解出来るわ・・・その結果が代償を支払う事だって事もね」
「博士」
「メガトロンと若葉には言わないで・・・私は、この子を産むわ。例えそれが私の命と引き替えになったとしても」
穏やかに微笑みながら告げられた言葉には確固たる意思が宿っていることくらい、ラチェットには嫌と言うほど伝わってきた。
「博士。私は医者だ。だからこそ私は患者を生かすためにありとあらゆる手段を執る」
生かすための選択肢。
どの命を生かすのかという残酷な選択肢。
ラチェットは医者として自らがどう動くのか解っている。
脳裏に浮かぶのは、まだ幼さの残る少女の顔。
博士が大切にしたいと願っている存在。
きっと、博士のこの意思を砕けるのは、変えられるのは若葉だけだ。
けれどあの子に”母”を選ぶのか”血縁者”を選ばせるのかという残酷なことをじぶんはさせるのか?と思いながらラチェットは拳を握る。
「(・・・私は優しくなどないよ、博士。友人を失いたくない、その為ならば私は誰かを結果的に傷つけたとしても生存の道を選ぶさ)」
自分を信頼してくれている、心を開いてくれている若葉の顔を思い浮かべるとツキンと胸の奥が痛んだが、その痛みをラチェットは無視した。
医者として自分がすべきことを選ぶべきだと思いながら。