7章:母が隠していた秘密
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「誰が悪いわけでも無いだろう」
これまで母娘の話を静観していたメガトロンが助け船を出すかのように口を開く。
二人から一斉に向けられた視線に対し、臆する事無くメガトロンはいつもと同じ口調で答える。
「互いに言いたい事、考えている事、思っている事は様々だ。それを口にしなければ相手には伝わらない。だが、俺達は出会って間もない。だから話し合う事もなく今日まで来た。・・・まぁお前達二人は日本で過ごしていた時間はあったのだろうが、お前はここに来て俺と若葉と今後の話しを決めるために研究や仕事で家を空けていただろう?そして若葉は学業とバイトで家に居る時間はあまりなかった」
若葉の行動をまるで己の目で全て見て知っているというかのようなメガトロンの発言に対し少しばかり若葉は驚いたものの、この人のならばきっと部下に命じて自分を密かに監視させ、逐一報告させていても何ら可笑しくないよなぁと悟ると何もいわず、ただ物言いたげな目をして黙り込む事しか出来ない。
「お前達二人は話す時間があまりにもなさ過ぎた・・・だから、これから話せば良いだけだろう」
当たり前のように告げられた言葉。
第三者からの言葉は呆気ない程簡単に若葉の中へとストンと落ちて、ソレを不快だとは思えないようなものだった。
「あらあら、メガトロン。その言い分だと貴方は含まれないみたいな感じがするのだけれど?」
笑いを含んだ声音で母が告げた言葉に対し、メガトロンは一瞬きょとんとした顔をしたもののすぐにばつの悪そうな顔をすると乱暴な手つきで自身の頭を掻く。
「俺が加わって良いのか?」
「えぇ勿論。だって私達はこれから家族になるのでしょう?なら、三人で一緒に話すべき事だと私は思うのだけれど」
穏やかに微笑みながら母はそう告げるとメガトロンへと向けていた視線を若葉へとむける。
その視線の意図など分かりきっている若葉は少しばかり複雑な顔をしながらも頷けば、母は嬉しそうに微笑む。
「閣下が嫌でなければ」
「・・・若葉ちゃん。この人の事を閣下って呼ぶの?」
「うん、そのさ・・・色々とあって」
「俺も閣下と呼ぶ事は了承している。貴方呼びのような他人行儀な呼び方よりは少しばかり距離が縮まったような気がするからな。だが、いつかは俺の事も父と認めて欲しい・・・血は繋がっていなくとも俺はお前の事を実の娘と同じように思っているのだからな」
ぎこちなく微笑みながらメガトロンが告げた言葉に若葉は一瞬、何を言われたのか理解が出来なかったが、その意味を悟ると声を上げて泣きたくなった。ただ、自分の胸を満たす感情が嬉しくて、それと同じくらい苦しくて、どうしようもなくなってしまい唇を噛みしめてその感情押し殺していたときだ。
「お前の携帯データを調べた際、お前に対して妙に接触してくるクラスメイトの男が居たな?アイツは何だ?執拗にお前とカラオケに行こうだの、新規オープンするカフェに行こうだの誘いがしつこいな」
「え?携帯?ってかなんでそれを・・・」
「サウンドウェーブに命じた。アイツに掛かれば携帯データを入手することなど簡単だ」
「部下に何を命じているんですか?」
「アイツも喜んでやっていたぞ?・・・相手の男に関するデータも既に入手済みで、後ほど俺直々に出向いて説教をしてやるから安心しろ」
「止めてよ!!」
突然始まった自分の友人との交流に関する発表、それに対して若葉は血の気の引いた顔をして必死に思い止まるように言うとメガトロンは不服そうに顔をしかめた。
そんなメガトロンとは対照的に母は娘の意外な部分を知って嬉しそうに顔を輝かせている。