6章:急変
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狭い車内には沈黙だけが満ちている。
若葉は警戒した目をしたまま運転席、次に助手席、そして自分の隣へと視線を向けるがやはりそこには誰の姿も確認することが出来ない。
けれど先程、確かに何者かの声を聞いたのだ。
「・・・誰か居ますか?」
恐る恐る問いかけた声に対する返答はない。
シンッとした車内には若葉だけしか居ないと思わせるかのように沈黙だけが満ちている。
若葉の気のせいだ、そう判断させるかのようなその対応に対し若葉は苛立ちに満ちた顔をすると右足を開けると再度勢いよくドアを蹴りつければ、ガンッという音と共に車が微かに揺れたが先程のような声は聞こえない。
「黙っていれば私を騙せると思っているの?」
キッと運転席へと視線を向けながら問いかけるがやはり答える声は無い。
こんな事をしている間にも母の容態がどうなっているのか解らない。
最後に見た母の横顔を思い出した若葉は、ここでこのまま大人しくしている事は出来ないと判断すると意を決した顔をして口を開く。
「解った。そっちがその気なら仕方がないね」
言い終わるのと同時にゆっくりとため息を一つだけこぼす。
なんとなく、車内の雰囲気がホッとしたようなモノへと変わったような気が若葉にはしたが、それを無視したまま再度右足をあげると迷うこと無くドアへと叩付けた。
間を置かずに何度も何度も蹴り続けながら若葉は恐らく今頃かなり焦っているだろう何かに対して告げた。
「返事をするまでこのまま蹴り続ける」
『解った!解ったから!!俺の負け、降参!!蹴るの止めてくれよぉぉぉ!!!』
泣き言に近いような声が聞こえた直後、運転席にいつの間にか若い男が座っていた。真っ赤な目に浮かぶのは涙で、情けないくらいに下げられた眉と眦が彼の心境を物語っている。
「初めまして」
『は、初めまして・・・・あぁ。俺マジで殺されるかもしれねぇ』
頭を抱えた若い男はブツブツと何かを呟いている。
「ねぇ」
『なっ、なんだよ?』
ビクリと震えながら顔を上げた男に対し若葉はにっこりと笑みを浮かべながら、今なお自分を拘束しているシートベルトを指さす。
「コレ外して?」
『え、いや。それは無理』
「・・・はぁ?」
『怒るなよ!!それだけは絶対に無理だ。アンタをここから出したら、確実に俺は酷い目に遭うんだよ!な?解ってくれよ?』
「大丈夫。誰にも言わないから」
『いやいや。そういう問題じゃ無いんだって・・・頼むからここで大人しくしていようぜ?な?あ、TVでも見るか?なんなら最新映画だって見せても良い。だからここに居てくれよ』
猫なで声で必死に若葉を説得する若い男の言葉に対し、若葉はニコニコと微笑みながら「嫌」、「無理」とだけ繰り返し続けている。
その姿は母親である博士ととてもよく似ており、その顔を見た男、サイドウェイズはコレは絶対に自分には勝ち目は無いと判断すると心の中で悲鳴を上げたときだ。
「サイドウェイズ、開けろ」
不遜な物言いと共に後部座席の窓が乱暴に叩かれる。
立っていた人物の顔を見たサイドウェイズはよりにもよって援軍としてきてくれた人物が、あまり良くはない人物だったことに悲鳴を上げながらドアを開けた。
若葉は警戒した目をしたまま運転席、次に助手席、そして自分の隣へと視線を向けるがやはりそこには誰の姿も確認することが出来ない。
けれど先程、確かに何者かの声を聞いたのだ。
「・・・誰か居ますか?」
恐る恐る問いかけた声に対する返答はない。
シンッとした車内には若葉だけしか居ないと思わせるかのように沈黙だけが満ちている。
若葉の気のせいだ、そう判断させるかのようなその対応に対し若葉は苛立ちに満ちた顔をすると右足を開けると再度勢いよくドアを蹴りつければ、ガンッという音と共に車が微かに揺れたが先程のような声は聞こえない。
「黙っていれば私を騙せると思っているの?」
キッと運転席へと視線を向けながら問いかけるがやはり答える声は無い。
こんな事をしている間にも母の容態がどうなっているのか解らない。
最後に見た母の横顔を思い出した若葉は、ここでこのまま大人しくしている事は出来ないと判断すると意を決した顔をして口を開く。
「解った。そっちがその気なら仕方がないね」
言い終わるのと同時にゆっくりとため息を一つだけこぼす。
なんとなく、車内の雰囲気がホッとしたようなモノへと変わったような気が若葉にはしたが、それを無視したまま再度右足をあげると迷うこと無くドアへと叩付けた。
間を置かずに何度も何度も蹴り続けながら若葉は恐らく今頃かなり焦っているだろう何かに対して告げた。
「返事をするまでこのまま蹴り続ける」
『解った!解ったから!!俺の負け、降参!!蹴るの止めてくれよぉぉぉ!!!』
泣き言に近いような声が聞こえた直後、運転席にいつの間にか若い男が座っていた。真っ赤な目に浮かぶのは涙で、情けないくらいに下げられた眉と眦が彼の心境を物語っている。
「初めまして」
『は、初めまして・・・・あぁ。俺マジで殺されるかもしれねぇ』
頭を抱えた若い男はブツブツと何かを呟いている。
「ねぇ」
『なっ、なんだよ?』
ビクリと震えながら顔を上げた男に対し若葉はにっこりと笑みを浮かべながら、今なお自分を拘束しているシートベルトを指さす。
「コレ外して?」
『え、いや。それは無理』
「・・・はぁ?」
『怒るなよ!!それだけは絶対に無理だ。アンタをここから出したら、確実に俺は酷い目に遭うんだよ!な?解ってくれよ?』
「大丈夫。誰にも言わないから」
『いやいや。そういう問題じゃ無いんだって・・・頼むからここで大人しくしていようぜ?な?あ、TVでも見るか?なんなら最新映画だって見せても良い。だからここに居てくれよ』
猫なで声で必死に若葉を説得する若い男の言葉に対し、若葉はニコニコと微笑みながら「嫌」、「無理」とだけ繰り返し続けている。
その姿は母親である博士ととてもよく似ており、その顔を見た男、サイドウェイズはコレは絶対に自分には勝ち目は無いと判断すると心の中で悲鳴を上げたときだ。
「サイドウェイズ、開けろ」
不遜な物言いと共に後部座席の窓が乱暴に叩かれる。
立っていた人物の顔を見たサイドウェイズはよりにもよって援軍としてきてくれた人物が、あまり良くはない人物だったことに悲鳴を上げながらドアを開けた。