1章:知らせはいつも突然に
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母と子の二人きりという生活は大変ではあったものの楽しい日々であったし、今後もずっと母と共に支え合っていく日々が続くのだろうなぁと若葉は漠然と思っていたが、それは間違いだったのかもしれないと今になって突きつけられた気になる。
「(どう切り出せば良いのかな)」
どのような返答が母にとって正しくて、相手との将来を祝い、自分が邪魔にならないようにどう動くべきなのだろうか?そんな事を忙しなく考えていた若葉だったが、そんな若葉の行動など全て見通していたらしい母は朗らかに微笑みながら新たな爆弾を落としてきた。
「お母さんね、プロポーズされちゃった」
「え?」
「プロポーズを受けようかと思っているの」
「・・・・えぇ?」
ポカンと口を開けたまま母の顔を見つめていると少女のように頬を赤く染めながら母は笑っていた。
実の母であるのだが少女のような印象を抱くその顔を見て、若葉は今になって自分の母がどんな人なのかを再認識する。
「(この人モテるもんなぁ)」
母はどちらかと言えば異性から好意を向けられやすい人だ。
若葉の記憶がある限り何度か男性とお付き合いをしていたし、実際にその人を紹介されたこともあった。
けれど、その誰とも結婚しなかった。
その原因が自分である事を若葉は知っている。
恋人としては申し分なくとも、娘の父としては相応しいのか否か。
母がいつだって何かを判断する時は自分を基準としていたことを若葉は知っている。
相手から熱烈な言葉や、想いを向けられようとも、母はそれが娘のためにならないのだと判断すると容赦なく切捨ててきた。
それを見る度に若葉は申し訳ないという気持ちになった。
けれどようやく母が女としての幸せを手に入れる事が出来たのだと思えば、それはまるで自分の事のように嬉しい事だった。
「えぇっと・・・それって再婚するって事で良いんだよね?」
「そうね」
改めて母の顔を凝視してみると、最後に会った時と比べて母は綺麗になっていた。
それはきっと誰かを好きになったからだ。
ちょっと考えればすぐに解ったことだというのに、それに気づけなかったのは自分がそれを認めたくなかったからなのだろうか?そう思いながら若葉は見慣れているはずなのに、見知らぬ誰かのような顔をしている母をジッと見つめながら口を開く。
「職場の人?」
「えぇ」
「そっか。おめでとう」
偽ることなく心の底から祝福の言葉を若葉は告げる。
今まで自分の事は二の次にして娘のことを優先してきた母がようやく幸せを手に入れようとしている事は嬉しい。
「ありがとう。若葉ちゃんにそう言われるのが一番嬉しい」
無邪気に微笑みながら母が告げた言葉に若葉は嬉しいと思う反面、少しだけ寂しさを感じる。
それは自分だけの母が見も知らぬ誰かに奪われたということに対する嫉妬でしかないことくらい解っていたからこそ若葉は気持ちを切り替えるかのようにゆっくりと深呼吸をすると、母に向かい声をかけた。
「その人ってどんな人?」
「んー・・・何て言えば良いのかな?言動や態度からちょっと誤解を受けそうな人だけど、凄く良い人よ?仕事も出来るし部下の面倒見も良いからもすっごく慕われているの」
思いの外、母が高評価だったことに若葉は驚く。
「(どう切り出せば良いのかな)」
どのような返答が母にとって正しくて、相手との将来を祝い、自分が邪魔にならないようにどう動くべきなのだろうか?そんな事を忙しなく考えていた若葉だったが、そんな若葉の行動など全て見通していたらしい母は朗らかに微笑みながら新たな爆弾を落としてきた。
「お母さんね、プロポーズされちゃった」
「え?」
「プロポーズを受けようかと思っているの」
「・・・・えぇ?」
ポカンと口を開けたまま母の顔を見つめていると少女のように頬を赤く染めながら母は笑っていた。
実の母であるのだが少女のような印象を抱くその顔を見て、若葉は今になって自分の母がどんな人なのかを再認識する。
「(この人モテるもんなぁ)」
母はどちらかと言えば異性から好意を向けられやすい人だ。
若葉の記憶がある限り何度か男性とお付き合いをしていたし、実際にその人を紹介されたこともあった。
けれど、その誰とも結婚しなかった。
その原因が自分である事を若葉は知っている。
恋人としては申し分なくとも、娘の父としては相応しいのか否か。
母がいつだって何かを判断する時は自分を基準としていたことを若葉は知っている。
相手から熱烈な言葉や、想いを向けられようとも、母はそれが娘のためにならないのだと判断すると容赦なく切捨ててきた。
それを見る度に若葉は申し訳ないという気持ちになった。
けれどようやく母が女としての幸せを手に入れる事が出来たのだと思えば、それはまるで自分の事のように嬉しい事だった。
「えぇっと・・・それって再婚するって事で良いんだよね?」
「そうね」
改めて母の顔を凝視してみると、最後に会った時と比べて母は綺麗になっていた。
それはきっと誰かを好きになったからだ。
ちょっと考えればすぐに解ったことだというのに、それに気づけなかったのは自分がそれを認めたくなかったからなのだろうか?そう思いながら若葉は見慣れているはずなのに、見知らぬ誰かのような顔をしている母をジッと見つめながら口を開く。
「職場の人?」
「えぇ」
「そっか。おめでとう」
偽ることなく心の底から祝福の言葉を若葉は告げる。
今まで自分の事は二の次にして娘のことを優先してきた母がようやく幸せを手に入れようとしている事は嬉しい。
「ありがとう。若葉ちゃんにそう言われるのが一番嬉しい」
無邪気に微笑みながら母が告げた言葉に若葉は嬉しいと思う反面、少しだけ寂しさを感じる。
それは自分だけの母が見も知らぬ誰かに奪われたということに対する嫉妬でしかないことくらい解っていたからこそ若葉は気持ちを切り替えるかのようにゆっくりと深呼吸をすると、母に向かい声をかけた。
「その人ってどんな人?」
「んー・・・何て言えば良いのかな?言動や態度からちょっと誤解を受けそうな人だけど、凄く良い人よ?仕事も出来るし部下の面倒見も良いからもすっごく慕われているの」
思いの外、母が高評価だったことに若葉は驚く。