5章:消す事の出来ない過去の傷
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曲がり角を何度曲がったのか解らないくらい若葉は思うがままに足を動かし続けていた。気づけば見慣れない建物の中に立っていて、辺りには人の気配を感じられず、これはもしかしてやらかしてしまった可能性が高い、そう判断すると近くの壁に背を預けるとズルズルとその場に座り込む。
「・・・・なんか、疲れた」
肉体的にも精神的にも。
体育座りをした若葉は自身の膝に額を押しつける。
ひんやりとした壁と床の感触が心地よい。
どれくらいそうしていたのかは解らない。
ただ、何となくこのまま座っていても駄目なような気がした若葉はゆっくりと立ち上がると、落ちていた気持ちを切替えるかのようにパシンッと頬を軽く叩く。
「とりあえず人に会わないと駄目だよね」
ここがどこなのか、そして可能ならば母の再婚相手の元に戻らなければならないと判断した若葉は歩き出す。
通路は相変わらず無機質で人の気配などまるで感じさせない為、心持ち不安を感じてしまうがそれを押し殺しながら足を動かし続ける。
この感覚を若葉は知っていた。
「(迷子になった時と似てる)」
幼い頃にデパートで母とはぐれてたった独りでデパートの中を歩き回っていたときと似ていた。
その時は必死になって自分を探していた母と無事に再会することが出来たが、今回は少しばかり難しいのかもしれないと若葉が思っていたときだ。
「・・・?」
背後から何の前触れも無く話しかけられる。
恐る恐る振り返れば、そこには微笑を浮かべている一人の男が立っていた。
穏やかそうな面持ちをしている男は若葉を見ると驚いたように目を見開いたが、すぐにそれを消す。
「君は若葉かな?」
「・・そうですけど。貴方は?」
「あぁ、失礼した。私はオプティマス・プライム。君の事は博士から聞いている」
プライム、その名を聞いた瞬間若葉の中の警戒心が最大限に上げられた。
頭の中に浮かぶのは嫌味な事を言ってきたセンチネルだ。彼も確かプライムと名乗っていた事を思いだしたが為、少しばかり険のある眼差しでオプティマスを見つめれば、オプティマスはその視線の鋭さに気づく。
若葉が自分を警戒している、そう判断すると自分には危害を加えるつもりはないと言うかのように微笑みながら口を開いた。
「私は博士の友人だ。怪しい者ではないよ。君はどうしてここに?・・・あぁもしかして博士に会いに来たのかな?」
幼子に対するかのような口調で話しかけてきたプライムに対し、若葉は胡乱げな眼差しを向けながら口を閉ざすだけだ。
下手な事を言えばきっとセンチネルと同じく母を侮辱されるような気がしたからだが、オプティマスは問いかけに対して答えることをしない若葉に気づくと、心底困ったと言うかのような声音で話しかけてくる。
「どこか体調が悪いのかい?」
「いえ、そういうわけでは・・・」
思わず応えてしまった若葉がしまったと言うかのように顔を歪めるのとは対照的に、オプティマスは反応があったことを喜ぶかのように顔を綻ばせた。
「良ければ博士の所に案内を」
「それは駄目!!」
思わず出てしまった言葉は若葉が思っていたよりも強い声音であった。
若葉自身が驚いている中、オプティマスも無言のままパチパチと瞬きをしていたが納得したと言うかのように一つ頷く。
「解った。そういうことか」
何から独自の思考回路を持っているらしいオプティマスは一人でウンウンと頷いた後、にっこりと微笑むと若葉の手を掴みどこかへと歩き出した。
「・・・・なんか、疲れた」
肉体的にも精神的にも。
体育座りをした若葉は自身の膝に額を押しつける。
ひんやりとした壁と床の感触が心地よい。
どれくらいそうしていたのかは解らない。
ただ、何となくこのまま座っていても駄目なような気がした若葉はゆっくりと立ち上がると、落ちていた気持ちを切替えるかのようにパシンッと頬を軽く叩く。
「とりあえず人に会わないと駄目だよね」
ここがどこなのか、そして可能ならば母の再婚相手の元に戻らなければならないと判断した若葉は歩き出す。
通路は相変わらず無機質で人の気配などまるで感じさせない為、心持ち不安を感じてしまうがそれを押し殺しながら足を動かし続ける。
この感覚を若葉は知っていた。
「(迷子になった時と似てる)」
幼い頃にデパートで母とはぐれてたった独りでデパートの中を歩き回っていたときと似ていた。
その時は必死になって自分を探していた母と無事に再会することが出来たが、今回は少しばかり難しいのかもしれないと若葉が思っていたときだ。
「・・・?」
背後から何の前触れも無く話しかけられる。
恐る恐る振り返れば、そこには微笑を浮かべている一人の男が立っていた。
穏やかそうな面持ちをしている男は若葉を見ると驚いたように目を見開いたが、すぐにそれを消す。
「君は若葉かな?」
「・・そうですけど。貴方は?」
「あぁ、失礼した。私はオプティマス・プライム。君の事は博士から聞いている」
プライム、その名を聞いた瞬間若葉の中の警戒心が最大限に上げられた。
頭の中に浮かぶのは嫌味な事を言ってきたセンチネルだ。彼も確かプライムと名乗っていた事を思いだしたが為、少しばかり険のある眼差しでオプティマスを見つめれば、オプティマスはその視線の鋭さに気づく。
若葉が自分を警戒している、そう判断すると自分には危害を加えるつもりはないと言うかのように微笑みながら口を開いた。
「私は博士の友人だ。怪しい者ではないよ。君はどうしてここに?・・・あぁもしかして博士に会いに来たのかな?」
幼子に対するかのような口調で話しかけてきたプライムに対し、若葉は胡乱げな眼差しを向けながら口を閉ざすだけだ。
下手な事を言えばきっとセンチネルと同じく母を侮辱されるような気がしたからだが、オプティマスは問いかけに対して答えることをしない若葉に気づくと、心底困ったと言うかのような声音で話しかけてくる。
「どこか体調が悪いのかい?」
「いえ、そういうわけでは・・・」
思わず応えてしまった若葉がしまったと言うかのように顔を歪めるのとは対照的に、オプティマスは反応があったことを喜ぶかのように顔を綻ばせた。
「良ければ博士の所に案内を」
「それは駄目!!」
思わず出てしまった言葉は若葉が思っていたよりも強い声音であった。
若葉自身が驚いている中、オプティマスも無言のままパチパチと瞬きをしていたが納得したと言うかのように一つ頷く。
「解った。そういうことか」
何から独自の思考回路を持っているらしいオプティマスは一人でウンウンと頷いた後、にっこりと微笑むと若葉の手を掴みどこかへと歩き出した。