41章:ヒーローはアウディ
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これから行うことに対する緊張からなのか、初めてと言って良いほど早く脈打つ心臓が今にも口から飛び出してきそうな感覚に若葉は無意識の内にハンドルを握る手に力がこもる。
『若葉。大丈夫だ』
「ほ、本当に?」
『……ウン。多分』
片言な発言の後に付け加えられた言葉に若葉は驚愕したかのように大きく目を見開く。
「そこは任せろって言ってよ!!」
『だって俺だって不安なんだよ。一緒だって、一緒ぉッ!!!』
切羽詰まった声がカースピーカーから返されたことに若葉は文句を言おうとしたが、ソレが声になることは無く口の中で消えていった。
サイドウェイズと若葉はこのままネメシスから逃げ続けることは不可能だと判断した時だ。
2人の状況を解っているかのようにテキストメッセージである場所へと向かえとサイドウェイズに指示が出された。
送り主は不明。
明らかに怪しいメッセージは罠の可能性が高く、信用する事ができずにいた2人であったがこの状況を打破できる手段は他に無く、メッセージに書いてあった場所へと向かおうとしたのだが問題が一つあった。
『指定された場所に向かうには今来た道を戻らないと駄目なんてな……もっと他の良い手段とか無かったのかよ』
サイドウェイズが必死に探したのだが悲しいことに迂回路というものを見つけられなかった。
自分たちが逃げていることを解った上でこの策を用いてきた人物に向かい、サイドウェイズは恨み言を言いながら進行方向を変更するとその場に停止した。
『この先にネメシス・プライムが居る。……って言うか、正確に言うのなら待ち構えてる』
「うん」
『戦闘になる』
ネメシスが自身の目的のために若葉を捕らえようとしていることは解っている。恐らく若葉に被害が及ばない程度に攻撃をしてくることも。
若葉の脳裏にボロボロになったサイドウェイズの姿が思い浮かぶ。
再び戦闘になればサイドウェイズが戦うことは不可能だ。
ならばこのままの状態でネメシスを回避しつつ、指定場所へと向かうのが一番良い手だ。
敵は1人だけだというのに強大すぎるが故、2人は自分たちの前に立ちふさがる存在に対して勝算を見いだすことができない。
『怖いよな』
戦いという言葉から一番遠い場所に居る若葉にとって、今の状況がどれほど過酷なものなのかサイドウェイズには解っていた。
「怖い。凄く、怖いよ……でも」
ゆっくりと深呼吸をした若葉はハンドルに額を押しつける。
硬い感触、皮の匂い、ハンドルから伝わってくる駆動音。
ソレを聞いているだけで落ち着くことが出来た。
「独りじゃない」
それだけで十分だと言うかのように呟いた若葉は顔を上げた。
顔は恐怖で強ばっているが目には力がある。
「大丈夫だよ!!私たちだったら!」
『そうだな。うん……俺たちだったら!!』
指定の場所までネメシスを回避するだけでよい。
何とも単純なことではないか、と憶する心を奮い立たせる。
先の見えている逃走に対して微かな希望を見いだした2人の気持ちが少しだけ楽になったその瞬間、すぐ側の壁が音を立てて爆発した。
一寸遅れてヘッドライトの光がサイドウェイズへと向けられる。
『見つけたぞ』
現れたトラックから唸るような声が聞こえた瞬間、サイドウェイズは勢い良くタイヤを回し、若葉は思い切りアクセルを踏んだ。
『「う、うわぁぁぁぁぁ!!!」』
酷く不格好な悲鳴を上げながら2人はその場から逃げ出した。
『若葉。大丈夫だ』
「ほ、本当に?」
『……ウン。多分』
片言な発言の後に付け加えられた言葉に若葉は驚愕したかのように大きく目を見開く。
「そこは任せろって言ってよ!!」
『だって俺だって不安なんだよ。一緒だって、一緒ぉッ!!!』
切羽詰まった声がカースピーカーから返されたことに若葉は文句を言おうとしたが、ソレが声になることは無く口の中で消えていった。
サイドウェイズと若葉はこのままネメシスから逃げ続けることは不可能だと判断した時だ。
2人の状況を解っているかのようにテキストメッセージである場所へと向かえとサイドウェイズに指示が出された。
送り主は不明。
明らかに怪しいメッセージは罠の可能性が高く、信用する事ができずにいた2人であったがこの状況を打破できる手段は他に無く、メッセージに書いてあった場所へと向かおうとしたのだが問題が一つあった。
『指定された場所に向かうには今来た道を戻らないと駄目なんてな……もっと他の良い手段とか無かったのかよ』
サイドウェイズが必死に探したのだが悲しいことに迂回路というものを見つけられなかった。
自分たちが逃げていることを解った上でこの策を用いてきた人物に向かい、サイドウェイズは恨み言を言いながら進行方向を変更するとその場に停止した。
『この先にネメシス・プライムが居る。……って言うか、正確に言うのなら待ち構えてる』
「うん」
『戦闘になる』
ネメシスが自身の目的のために若葉を捕らえようとしていることは解っている。恐らく若葉に被害が及ばない程度に攻撃をしてくることも。
若葉の脳裏にボロボロになったサイドウェイズの姿が思い浮かぶ。
再び戦闘になればサイドウェイズが戦うことは不可能だ。
ならばこのままの状態でネメシスを回避しつつ、指定場所へと向かうのが一番良い手だ。
敵は1人だけだというのに強大すぎるが故、2人は自分たちの前に立ちふさがる存在に対して勝算を見いだすことができない。
『怖いよな』
戦いという言葉から一番遠い場所に居る若葉にとって、今の状況がどれほど過酷なものなのかサイドウェイズには解っていた。
「怖い。凄く、怖いよ……でも」
ゆっくりと深呼吸をした若葉はハンドルに額を押しつける。
硬い感触、皮の匂い、ハンドルから伝わってくる駆動音。
ソレを聞いているだけで落ち着くことが出来た。
「独りじゃない」
それだけで十分だと言うかのように呟いた若葉は顔を上げた。
顔は恐怖で強ばっているが目には力がある。
「大丈夫だよ!!私たちだったら!」
『そうだな。うん……俺たちだったら!!』
指定の場所までネメシスを回避するだけでよい。
何とも単純なことではないか、と憶する心を奮い立たせる。
先の見えている逃走に対して微かな希望を見いだした2人の気持ちが少しだけ楽になったその瞬間、すぐ側の壁が音を立てて爆発した。
一寸遅れてヘッドライトの光がサイドウェイズへと向けられる。
『見つけたぞ』
現れたトラックから唸るような声が聞こえた瞬間、サイドウェイズは勢い良くタイヤを回し、若葉は思い切りアクセルを踏んだ。
『「う、うわぁぁぁぁぁ!!!」』
酷く不格好な悲鳴を上げながら2人はその場から逃げ出した。
