41章:ヒーローはアウディ
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諦めたかのような面差し。けれどその声には確固たる意思が宿っていることをサイドウェイズには伝わる。
若葉が考えた末に出した決断に対し、サイドウェイズは一瞬だけ思考が停止した。
けれどすぐに今の言葉を理解するのと同時に強い怒りを抱く。
それは今まで生きてきて一番と言って良いほどのもので、全身のオイルが沸騰しそうなほどの怒りに支配されながらサイドウェイズは問う。
『お前の役目って?』
「取引をしました。……母と赤ちゃんを助けるために私自身を差し出すと」
この意味が解らぬほどサイドウェイズが愚かではないと思いながら若葉が口にした言葉に対し、サイドウェイズはしばしの間なにも言葉を発しなかった。
「サイドウェイズさん」
『お前はソレで良いのか?』
確認するかのように強い口調で問われた言葉に対し、若葉はすぐに返すことが出来なかった。何かを堪えるかのようにきつく唇を結んでいたが、ゆっくりと深呼吸をして気持ちを切り替えると唇を開く。
「誰かの不幸を救うためには誰かの幸せを差し出す必要があるんです」
傾いた天秤を上げるためにはそれ相応の重しが必要なのだ。
幸せには不幸を。
「私は母の幸せを犠牲にして生きてきました」
母が大切な人を見つけても拒絶した。
天秤が水平になることを認めなかった。
「誰かの幸せを犠牲にしてきた人が、今度は誰かの幸せのために犠牲になるのは必然でしょう?」
人の人生とは良いことと悪いことが交互に訪れるという。
帳尻合わせのように。
母の天秤には若葉という存在が乗り続けてしまった結果、不釣り合いになってしまった。
傾いてしまった天秤を戻すことが出来るのが自分だということを若葉は解っている。
『一つ聞いても良いか?』
「なに?」
『ソレが本当にお前の望みなのか?』
問われた言葉に若葉は一瞬だけ言葉に詰まる。
縋るようにハンドルを握りながらメガトロンといい、サイドウェイズといい、何故こうも自分の気持ちを見抜くのだろうか?と思う。
その手に縋りたくなってしまう。
けれどソレをすることが何を意味するのか若葉は知っている。
再び誰かが戦い、そして傷つく。
下手をすると命を奪われることだってある。
「(ソレは駄目だ)」
誰かの命が犠牲になるほどの価値が自分にはないと若葉は想いながら口を開こうとしたときだ。
『若葉。どうして「たすけて」って言ったんだ?』
救いを求める手を、自分を助けてくれる者を求めたのだ?とサイドウェイズは問う。
その問いに対する答えを若葉は自分の中にある事くらい知っている。
そしてソレを口にする事の意味を。
故にキツく唇を結びながら若葉は前を見つめる。
サイドウェイズは若葉が言葉を返すまで沈黙することを選ぶ。
声を出さない車内は沈黙し、響く走行音だけが2人の間にある。
沈黙はさほど長くは続かなかった。
「私は助けて欲しかった」
震える声で若葉は唇を動かしたその瞬間、堰を切ったかのように次々と今まで押し殺してきた言葉が口から零れおちた。
若葉が考えた末に出した決断に対し、サイドウェイズは一瞬だけ思考が停止した。
けれどすぐに今の言葉を理解するのと同時に強い怒りを抱く。
それは今まで生きてきて一番と言って良いほどのもので、全身のオイルが沸騰しそうなほどの怒りに支配されながらサイドウェイズは問う。
『お前の役目って?』
「取引をしました。……母と赤ちゃんを助けるために私自身を差し出すと」
この意味が解らぬほどサイドウェイズが愚かではないと思いながら若葉が口にした言葉に対し、サイドウェイズはしばしの間なにも言葉を発しなかった。
「サイドウェイズさん」
『お前はソレで良いのか?』
確認するかのように強い口調で問われた言葉に対し、若葉はすぐに返すことが出来なかった。何かを堪えるかのようにきつく唇を結んでいたが、ゆっくりと深呼吸をして気持ちを切り替えると唇を開く。
「誰かの不幸を救うためには誰かの幸せを差し出す必要があるんです」
傾いた天秤を上げるためにはそれ相応の重しが必要なのだ。
幸せには不幸を。
「私は母の幸せを犠牲にして生きてきました」
母が大切な人を見つけても拒絶した。
天秤が水平になることを認めなかった。
「誰かの幸せを犠牲にしてきた人が、今度は誰かの幸せのために犠牲になるのは必然でしょう?」
人の人生とは良いことと悪いことが交互に訪れるという。
帳尻合わせのように。
母の天秤には若葉という存在が乗り続けてしまった結果、不釣り合いになってしまった。
傾いてしまった天秤を戻すことが出来るのが自分だということを若葉は解っている。
『一つ聞いても良いか?』
「なに?」
『ソレが本当にお前の望みなのか?』
問われた言葉に若葉は一瞬だけ言葉に詰まる。
縋るようにハンドルを握りながらメガトロンといい、サイドウェイズといい、何故こうも自分の気持ちを見抜くのだろうか?と思う。
その手に縋りたくなってしまう。
けれどソレをすることが何を意味するのか若葉は知っている。
再び誰かが戦い、そして傷つく。
下手をすると命を奪われることだってある。
「(ソレは駄目だ)」
誰かの命が犠牲になるほどの価値が自分にはないと若葉は想いながら口を開こうとしたときだ。
『若葉。どうして「たすけて」って言ったんだ?』
救いを求める手を、自分を助けてくれる者を求めたのだ?とサイドウェイズは問う。
その問いに対する答えを若葉は自分の中にある事くらい知っている。
そしてソレを口にする事の意味を。
故にキツく唇を結びながら若葉は前を見つめる。
サイドウェイズは若葉が言葉を返すまで沈黙することを選ぶ。
声を出さない車内は沈黙し、響く走行音だけが2人の間にある。
沈黙はさほど長くは続かなかった。
「私は助けて欲しかった」
震える声で若葉は唇を動かしたその瞬間、堰を切ったかのように次々と今まで押し殺してきた言葉が口から零れおちた。
