41章:ヒーローはアウディ
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敵前逃亡なんてことは戦士として恥である事は解っている。
それでもサイドウェイズが迷わずソレを選択したのは自分が戦士ではなく斥候だからだ。
戦う者ではなく、情報をもたらす者であると教えてくれた者がいる。
「忘れるなよ。お前は斥候だ」
何度も何度も繰り返しバリケードが口にした言葉の意味が今ならよく解る。
アレは助言だ。
サイドウェイズが生きて帰ってくるための。
らしくもない行動をしたのはサイドウェイズだけではなかった。
バリケードもまた変化していた。
「お前も俺も不器用だよなぁ」
互いにらしくないことに精を出してしまう似たもの同士な不器用者。
本人に言えば満面の笑みを浮かべながら問答無用で発砲されるだろう。
サイドウェイズが辛うじて避けられるだろう軌道で放たれるだろう銃弾。
その意味を解ってしまうほどバリケードという存在を知った。
それをいつかの未来でこの理解を悔いる時があるかもしれないが、今は誰かを知ることが出来たことを純粋に喜びたい。
『後悔するのは今じゃねぇ!!』
勢い良くエンジンを吹かすのと同時に急速回転したタイヤがコンクリートの上を滑り白煙を上げる。
少し前までの自分ならば不快だった事。
けれど今のサイドウェイズには心地の良いことだ。
たとえソレが敵前逃亡の一手だとしても。
「サイドウェイズさん」
運転席でハンドルを握っていた若葉が上ずった声で名を呼ぶ。
『なんだ?』
「来てくれて、ありがとう」
たった独りだった自分の前に現れたサイドウェイズ。
ネメシスに向かいながら浮かべた笑みはぎこちなく、きっと彼の虚勢だったのだろう。
それでもその笑みに若葉は救われた。
この場に来たのがサイドウェイズ以外の誰かであったとしても、きっと若葉は同じような感情を抱かなかった。
サイドウェイズに対する感情がどういったものなのか若葉は解っている。
「(好き)」
この想いが叶わないことくらい解っている。
人間では無いことが問題なのか。
それは母が解決した。
金属生命体と人間との関係が問題なのか。
それは母が問題とした。
金属生命体を愛することは罪なのか。
それは母が意味を成した。
「(全部解ってる)」
自分の存在がどのような意味を持つのかなんて。
誰もが求めるのは若葉という人間ではなくて、金属生命体と人間のハイブリットを作り出す事のできる可能性を秘めている自分である事くらい。
「サイドウェイズさん」
だからこの気持ちに別れを告げなければならない。
「ありがとう」
助けに来てくれて、誰かを愛する気持ちを教えてくれて、幸せを与えてくれて。
全ての気持ちを込めながら若葉は告げた。
「止めて下さい。私は私の役目を果たさなきゃいけません」
意を決した顔をして若葉は告げた。
それでもサイドウェイズが迷わずソレを選択したのは自分が戦士ではなく斥候だからだ。
戦う者ではなく、情報をもたらす者であると教えてくれた者がいる。
「忘れるなよ。お前は斥候だ」
何度も何度も繰り返しバリケードが口にした言葉の意味が今ならよく解る。
アレは助言だ。
サイドウェイズが生きて帰ってくるための。
らしくもない行動をしたのはサイドウェイズだけではなかった。
バリケードもまた変化していた。
「お前も俺も不器用だよなぁ」
互いにらしくないことに精を出してしまう似たもの同士な不器用者。
本人に言えば満面の笑みを浮かべながら問答無用で発砲されるだろう。
サイドウェイズが辛うじて避けられるだろう軌道で放たれるだろう銃弾。
その意味を解ってしまうほどバリケードという存在を知った。
それをいつかの未来でこの理解を悔いる時があるかもしれないが、今は誰かを知ることが出来たことを純粋に喜びたい。
『後悔するのは今じゃねぇ!!』
勢い良くエンジンを吹かすのと同時に急速回転したタイヤがコンクリートの上を滑り白煙を上げる。
少し前までの自分ならば不快だった事。
けれど今のサイドウェイズには心地の良いことだ。
たとえソレが敵前逃亡の一手だとしても。
「サイドウェイズさん」
運転席でハンドルを握っていた若葉が上ずった声で名を呼ぶ。
『なんだ?』
「来てくれて、ありがとう」
たった独りだった自分の前に現れたサイドウェイズ。
ネメシスに向かいながら浮かべた笑みはぎこちなく、きっと彼の虚勢だったのだろう。
それでもその笑みに若葉は救われた。
この場に来たのがサイドウェイズ以外の誰かであったとしても、きっと若葉は同じような感情を抱かなかった。
サイドウェイズに対する感情がどういったものなのか若葉は解っている。
「(好き)」
この想いが叶わないことくらい解っている。
人間では無いことが問題なのか。
それは母が解決した。
金属生命体と人間との関係が問題なのか。
それは母が問題とした。
金属生命体を愛することは罪なのか。
それは母が意味を成した。
「(全部解ってる)」
自分の存在がどのような意味を持つのかなんて。
誰もが求めるのは若葉という人間ではなくて、金属生命体と人間のハイブリットを作り出す事のできる可能性を秘めている自分である事くらい。
「サイドウェイズさん」
だからこの気持ちに別れを告げなければならない。
「ありがとう」
助けに来てくれて、誰かを愛する気持ちを教えてくれて、幸せを与えてくれて。
全ての気持ちを込めながら若葉は告げた。
「止めて下さい。私は私の役目を果たさなきゃいけません」
意を決した顔をして若葉は告げた。
