38章 帰還
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母の事があってからメガトロンは必要な仕事は全て自宅にて行っている。
基本的には端末での処理をしているが、それだけでは駄目な場合は部下が家にやって来て報告をし、それに対してメガトロンが指示を出していた。
基本的に来るのはサウンドウェーブで彼はメガトロンの姿を見ても特に変わりはなかったが時折、何かを言いたげに口を開きかけてはすぐに唇を閉じていた。
そんなある日、何の前触れもなくフォールンがやって来た。
突然のことに驚くメガトロンに対し、フォールンは肩を竦めながら告げる。
「いくつか厄介な案件ができた」
そう告げるのと同時にフォールンはあるデータをメガトロンへと渡す。
受け取ったソレを瞬時に読んだメガトロンの目が不機嫌そうに細められる。
「この状況で……」
唸るような声でそう呟いたメガトロンは小さな声で「サウンドウェーブに任せるか?いや、奴を動かすわけにはいかん」等、対処できそうな人物の名前を口にしてはすぐさまソレを否定することを繰り返す。
メガトロンの口から誰の名前も出てこなくなったのを合図にフォールンは話しかけた。
「ここ最近続いていた妙な事件、恐らくアレはこの件への布石だった。彼女のことでお前はここから動かず、参謀達を基本として対処に当たると判断したのだろう。こちらの人員も把握した上で有能な戦闘員を地方へと飛ばした事も知られているな」
「私の失態です」
「そうかもしれん。だが、ここは敵の方が一枚上手だったと判断すべきだ……この件、私が対処しても構わんが?」
フォールンからの提案にメガトロンはすぐに応えない。
何かを考えるかのように赤い目を忙しなく動かした後、深々と息を吐き出すと額に手を添える。
「大事になるでしょう」
「だろうな」
「今、事を荒立てることはできない」
ギリッと奥歯を強く噛みしめた音が響く。
メガトロンの視線がゆっくりと若葉へと向けられる。
「若葉」
「はい」
「……少し仕事でココを離れる。護衛は付けるが可能な限り部屋からは出るな」
「解りました」
メガトロンとフォールンの話しの内容は解らなかったが、かなり危険な状況なのだと理解しはできた若葉は頷く。
思い出すのは日本から逃げてくるときに襲ってきた敵の姿。
若葉に対して何の感情も無く、メガトロンへの交渉道具としてしか見ていなかった声を思い出した若葉は無意識の内に胸元の衣服を掴む。
「大丈夫だ。先ほど、ブラックアウトが帰還したと報告があった。奴にはメンテを終え次第ここに来るように命じた」
ドローンも一緒にな。と、付け加えられた言葉に若葉は笑う。
スコルポノックと一緒に過ごせばきっとすぐに時間なんて過ぎて、メガトロンが帰宅するだろう。
だから若葉は目を細めて笑う。
「閣下。気をつけて下さい」
「あぁ。解っている」
微笑ましい父と子の会話をフォールンは黙って見つめていたが、その光景から目を静かに逸らす。
これから何が起こるのか全て知っている。
ソレを選んだのはフォールンなのだから。
「許せ、とは言わん」
それだけのことを自分はこれから行うのだから。
救いも、許しも、何も求めない。
無力な娘1人を犠牲にした自分にそんなモノなど与えられはしない。
基本的には端末での処理をしているが、それだけでは駄目な場合は部下が家にやって来て報告をし、それに対してメガトロンが指示を出していた。
基本的に来るのはサウンドウェーブで彼はメガトロンの姿を見ても特に変わりはなかったが時折、何かを言いたげに口を開きかけてはすぐに唇を閉じていた。
そんなある日、何の前触れもなくフォールンがやって来た。
突然のことに驚くメガトロンに対し、フォールンは肩を竦めながら告げる。
「いくつか厄介な案件ができた」
そう告げるのと同時にフォールンはあるデータをメガトロンへと渡す。
受け取ったソレを瞬時に読んだメガトロンの目が不機嫌そうに細められる。
「この状況で……」
唸るような声でそう呟いたメガトロンは小さな声で「サウンドウェーブに任せるか?いや、奴を動かすわけにはいかん」等、対処できそうな人物の名前を口にしてはすぐさまソレを否定することを繰り返す。
メガトロンの口から誰の名前も出てこなくなったのを合図にフォールンは話しかけた。
「ここ最近続いていた妙な事件、恐らくアレはこの件への布石だった。彼女のことでお前はここから動かず、参謀達を基本として対処に当たると判断したのだろう。こちらの人員も把握した上で有能な戦闘員を地方へと飛ばした事も知られているな」
「私の失態です」
「そうかもしれん。だが、ここは敵の方が一枚上手だったと判断すべきだ……この件、私が対処しても構わんが?」
フォールンからの提案にメガトロンはすぐに応えない。
何かを考えるかのように赤い目を忙しなく動かした後、深々と息を吐き出すと額に手を添える。
「大事になるでしょう」
「だろうな」
「今、事を荒立てることはできない」
ギリッと奥歯を強く噛みしめた音が響く。
メガトロンの視線がゆっくりと若葉へと向けられる。
「若葉」
「はい」
「……少し仕事でココを離れる。護衛は付けるが可能な限り部屋からは出るな」
「解りました」
メガトロンとフォールンの話しの内容は解らなかったが、かなり危険な状況なのだと理解しはできた若葉は頷く。
思い出すのは日本から逃げてくるときに襲ってきた敵の姿。
若葉に対して何の感情も無く、メガトロンへの交渉道具としてしか見ていなかった声を思い出した若葉は無意識の内に胸元の衣服を掴む。
「大丈夫だ。先ほど、ブラックアウトが帰還したと報告があった。奴にはメンテを終え次第ここに来るように命じた」
ドローンも一緒にな。と、付け加えられた言葉に若葉は笑う。
スコルポノックと一緒に過ごせばきっとすぐに時間なんて過ぎて、メガトロンが帰宅するだろう。
だから若葉は目を細めて笑う。
「閣下。気をつけて下さい」
「あぁ。解っている」
微笑ましい父と子の会話をフォールンは黙って見つめていたが、その光景から目を静かに逸らす。
これから何が起こるのか全て知っている。
ソレを選んだのはフォールンなのだから。
「許せ、とは言わん」
それだけのことを自分はこれから行うのだから。
救いも、許しも、何も求めない。
無力な娘1人を犠牲にした自分にそんなモノなど与えられはしない。
