38章 帰還
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オプティマスが地球から離れたという報告が若葉にされたのは彼が地球との通信が不可能な距離にまでなってからだ。
ソレを決めたのがオプティマス本人なのか、または違う何者かなのかは解らない。
その情報が通達されたとき、若干の混乱はあったもののすぐにそれは落ち着き、いつもと変わらぬ日々を過ごすようになった。
「今日は会えなかったな」
母の入院している病室からの帰り道、メガトロンが呟いた言葉に若葉は無言のまま頷く。
母の容態は一進一退を繰り返しているらしく会える日と会えない日がある。
入院した当初は会って話しをする時間もあったのだが、ここ最近はあまり容態が良くないらしくジョルトから面会謝絶だと断られることが多くなっていた。
メガトロンは何も言わない。
けれど病室の扉の前でキツく拳を握りしめている姿、そして日に日に窶れていく彼の姿から母の容態が悪い方へと向かっていることくらい若葉にだって理解できた。
「(閣下はきっと知っている)」
若葉に聞かせないよう、メガトロンはラチェットと密かに母のことに関して情報交換をしているのだろう。
それが彼の優しさだと解っている。
大人として子供を守ってくれているのだと理解もしている。
けれど若葉にとってその行為は少しばかり心を締め付けた。
「若葉」
名を呼ばれた若葉が顔を上げるとそこには赤い瞳を不安げに揺らしているメガトロンの姿があった。
傲慢と不遜で満ちている深紅の瞳が今はらしくもない感情に支配されている。
気づけば若葉はメガトロンの手を握っていた。
「大丈夫です。だって、ここにはたくさんの人たちが居るんですから」
メガトロンを安心させるかのように告げた言葉。
けれどそれを一番聞きたいのは自分自身である事を若葉は解っていた。
「大丈夫。博士のことは助けてみせるさ……いざとなれば奥の手を使ってでも助けてみせるよ」
そう言って笑っていたラチェットではあったが、彼の言う奥の手というものが良くはないものであることくらい若葉にだって解っている。
少なくとも手を上げて喜べるような楽観的なものではない事くらい解っている。
思い出すのは出立の挨拶に来たオプティマスの顔。
希望をもたらしてくれるだろうオプティマスだったが、そのことを彼は喜んでいるようには見えなかった。
まるで間違った選択を自分が選んだことを解っていたかのようだった。
「(私は彼を止めなかった)」
オプティマスと出会ってからの時間は短いが、彼が慈愛に満ちた人物であり、そして他者のために自分を犠牲にする事を迷わない。
そんな彼が創造主に会いに行くことに対して迷いを見せていた。
「(きっと私は彼を止めるべきだった)」
別れ際に見せた青い瞳を思い出す。
あの目は切実に若葉に対して訴えていた。
けれど弱くて卑怯な自分はその視線に応えることができなかった。
「(私はいつだって間違えてばかりだ)」
今までの出来事が次々と浮かんできて若葉の胸を締め付ける。
その痛みに若葉は黙って耐えることしかできない。
ソレを決めたのがオプティマス本人なのか、または違う何者かなのかは解らない。
その情報が通達されたとき、若干の混乱はあったもののすぐにそれは落ち着き、いつもと変わらぬ日々を過ごすようになった。
「今日は会えなかったな」
母の入院している病室からの帰り道、メガトロンが呟いた言葉に若葉は無言のまま頷く。
母の容態は一進一退を繰り返しているらしく会える日と会えない日がある。
入院した当初は会って話しをする時間もあったのだが、ここ最近はあまり容態が良くないらしくジョルトから面会謝絶だと断られることが多くなっていた。
メガトロンは何も言わない。
けれど病室の扉の前でキツく拳を握りしめている姿、そして日に日に窶れていく彼の姿から母の容態が悪い方へと向かっていることくらい若葉にだって理解できた。
「(閣下はきっと知っている)」
若葉に聞かせないよう、メガトロンはラチェットと密かに母のことに関して情報交換をしているのだろう。
それが彼の優しさだと解っている。
大人として子供を守ってくれているのだと理解もしている。
けれど若葉にとってその行為は少しばかり心を締め付けた。
「若葉」
名を呼ばれた若葉が顔を上げるとそこには赤い瞳を不安げに揺らしているメガトロンの姿があった。
傲慢と不遜で満ちている深紅の瞳が今はらしくもない感情に支配されている。
気づけば若葉はメガトロンの手を握っていた。
「大丈夫です。だって、ここにはたくさんの人たちが居るんですから」
メガトロンを安心させるかのように告げた言葉。
けれどそれを一番聞きたいのは自分自身である事を若葉は解っていた。
「大丈夫。博士のことは助けてみせるさ……いざとなれば奥の手を使ってでも助けてみせるよ」
そう言って笑っていたラチェットではあったが、彼の言う奥の手というものが良くはないものであることくらい若葉にだって解っている。
少なくとも手を上げて喜べるような楽観的なものではない事くらい解っている。
思い出すのは出立の挨拶に来たオプティマスの顔。
希望をもたらしてくれるだろうオプティマスだったが、そのことを彼は喜んでいるようには見えなかった。
まるで間違った選択を自分が選んだことを解っていたかのようだった。
「(私は彼を止めなかった)」
オプティマスと出会ってからの時間は短いが、彼が慈愛に満ちた人物であり、そして他者のために自分を犠牲にする事を迷わない。
そんな彼が創造主に会いに行くことに対して迷いを見せていた。
「(きっと私は彼を止めるべきだった)」
別れ際に見せた青い瞳を思い出す。
あの目は切実に若葉に対して訴えていた。
けれど弱くて卑怯な自分はその視線に応えることができなかった。
「(私はいつだって間違えてばかりだ)」
今までの出来事が次々と浮かんできて若葉の胸を締め付ける。
その痛みに若葉は黙って耐えることしかできない。
