35章 その再会は幸か不幸か
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開いたドアの先に居た人物を見て若葉は言葉を失って立ち尽くす。
自分は夢を見ているのだろうか?そう思いながら目の前の人物をジッと見つめていると、来訪者は若葉が何の反応も示さないことに戸惑い始める。
「えっと……俺、来ちゃ駄目だったか?」
困ったように眦を下げてて問われたことに対し、若葉はゆるく首を横に振り否定をするとホッとしたように目を細めてサイドウェイズは笑った。
「ここに来ていたことは知っていたんだけど、俺も最近ちょっと忙しくてな」
他愛ない話をいくつか口にするサイドウェイズだったが、若葉からの反応が無い事に気づく。
サイドウェイズを見つめる若葉の顔には何の感情も浮かんでおらず、無表情なままの彼女の顔を見てサイドウェイズは若葉が怒っているのだと理解し、視線を一瞬だけ足下に落とした後、意を決したかのように顔を上げると告げた。
「本当はもっと早くに来たかったんだけどさ。……参謀達とか、ドローン連れている奴らが遊びに行っているって聞いたから俺が別に行かなくても良いだろうなって思ってた」
自分一人くらいが行かなくても若葉が寂しい思いをしないだろうとサイドウェイズは勝手に判断していたが、会いに行った同胞達から「アイツお前を待ってるぞ」と言われた時は信じられなかった。
「でもそれは俺の考えだった……ごめん」
口にした謝罪を聞いたのと同時に若葉の手が恐る恐るサイドウェイズへと伸ばされる。
小さな手が自分を害するわけがないと解っていても、小心者のサイドウェイズは体を硬直させて若葉のやることを受け入れた。
頬を撫でるように触れた指先が顔の輪郭をなぞりながら離れていく。
「ほんものだ」
驚いたように数度瞬きをした後、惚けたような声で若葉がそう呟いた直後、その目から涙があふれ出す。
突然泣き出した若葉にサイドウェイズは絶句していたが、慌てて若葉の頬を濡らす涙を拭ったり、頭を撫でたりして必死に泣き止ませようとする。
「ど、どうした!?どっか痛いのか?」
大きな掌が若葉の頭や肩や背に触れる。
人よりも少しだけ冷たくて硬いその感触に若葉は顔を歪めると声を上げて泣きながらサイドウェイズに抱きつく。
「会いたかった」
そう告げるのと同時にサイドウェイズの胸元に顔を埋めながら泣きじゃくる若葉。
背中に回された若葉の腕がしっかりと彼を抱きしめ、縋るように指先が衣服を掴む。
どれくらいの間、そうしていたのかは解らないが少しずつ落ち着き始めた若葉は自分が何をしたのか理解をし始めていた。
サイドウェイズの胸元から顔を上げることができず、どうしようかと必死に考えていたときだ。
「落ち着いたか?」
いつもと変わらぬ声が頭上から聞こえたことに若葉が恐る恐る顔を胸元から上げ、サイドウェイズを見つめる。
「心拍と呼吸は平常値だし、体温も……うん。平熱だな」
コクリと一つ頷いたサイドウェイズは若葉の体調に問題がないことに安堵の笑みを浮かべる。
その言葉を聞いた若葉は「あぁ。この人も閣下と同じ金属生命体だもんなぁ」と思いながら何とも言えない表情を浮かべると、サイドウェイズは不思議そうに小首をかしげた。
「情緒もなにもないんですね」
泣いている女の子に言う台詞ではない、そう言うかのように頬を膨らませた若葉の姿を見たサイドウェイズは自分が間違えたことを理解したらしく、顔を盛大に歪めると天井を見上げた。
「……ごめん」
消えそうなほど小さな声で言われた謝罪の言葉はサイドウェイズらしかった。
自分は夢を見ているのだろうか?そう思いながら目の前の人物をジッと見つめていると、来訪者は若葉が何の反応も示さないことに戸惑い始める。
「えっと……俺、来ちゃ駄目だったか?」
困ったように眦を下げてて問われたことに対し、若葉はゆるく首を横に振り否定をするとホッとしたように目を細めてサイドウェイズは笑った。
「ここに来ていたことは知っていたんだけど、俺も最近ちょっと忙しくてな」
他愛ない話をいくつか口にするサイドウェイズだったが、若葉からの反応が無い事に気づく。
サイドウェイズを見つめる若葉の顔には何の感情も浮かんでおらず、無表情なままの彼女の顔を見てサイドウェイズは若葉が怒っているのだと理解し、視線を一瞬だけ足下に落とした後、意を決したかのように顔を上げると告げた。
「本当はもっと早くに来たかったんだけどさ。……参謀達とか、ドローン連れている奴らが遊びに行っているって聞いたから俺が別に行かなくても良いだろうなって思ってた」
自分一人くらいが行かなくても若葉が寂しい思いをしないだろうとサイドウェイズは勝手に判断していたが、会いに行った同胞達から「アイツお前を待ってるぞ」と言われた時は信じられなかった。
「でもそれは俺の考えだった……ごめん」
口にした謝罪を聞いたのと同時に若葉の手が恐る恐るサイドウェイズへと伸ばされる。
小さな手が自分を害するわけがないと解っていても、小心者のサイドウェイズは体を硬直させて若葉のやることを受け入れた。
頬を撫でるように触れた指先が顔の輪郭をなぞりながら離れていく。
「ほんものだ」
驚いたように数度瞬きをした後、惚けたような声で若葉がそう呟いた直後、その目から涙があふれ出す。
突然泣き出した若葉にサイドウェイズは絶句していたが、慌てて若葉の頬を濡らす涙を拭ったり、頭を撫でたりして必死に泣き止ませようとする。
「ど、どうした!?どっか痛いのか?」
大きな掌が若葉の頭や肩や背に触れる。
人よりも少しだけ冷たくて硬いその感触に若葉は顔を歪めると声を上げて泣きながらサイドウェイズに抱きつく。
「会いたかった」
そう告げるのと同時にサイドウェイズの胸元に顔を埋めながら泣きじゃくる若葉。
背中に回された若葉の腕がしっかりと彼を抱きしめ、縋るように指先が衣服を掴む。
どれくらいの間、そうしていたのかは解らないが少しずつ落ち着き始めた若葉は自分が何をしたのか理解をし始めていた。
サイドウェイズの胸元から顔を上げることができず、どうしようかと必死に考えていたときだ。
「落ち着いたか?」
いつもと変わらぬ声が頭上から聞こえたことに若葉が恐る恐る顔を胸元から上げ、サイドウェイズを見つめる。
「心拍と呼吸は平常値だし、体温も……うん。平熱だな」
コクリと一つ頷いたサイドウェイズは若葉の体調に問題がないことに安堵の笑みを浮かべる。
その言葉を聞いた若葉は「あぁ。この人も閣下と同じ金属生命体だもんなぁ」と思いながら何とも言えない表情を浮かべると、サイドウェイズは不思議そうに小首をかしげた。
「情緒もなにもないんですね」
泣いている女の子に言う台詞ではない、そう言うかのように頬を膨らませた若葉の姿を見たサイドウェイズは自分が間違えたことを理解したらしく、顔を盛大に歪めると天井を見上げた。
「……ごめん」
消えそうなほど小さな声で言われた謝罪の言葉はサイドウェイズらしかった。
