34章:願いは手の中に
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若葉としては青い海と白い砂浜と不釣り合いな軍事施設がある場所へと帰るのだと思っていたのだが、連れてこられた場所は大都会と言って良い場所であったことに困惑した眼差しで窓の外を見つめることしかできない。
高い建物と道路を行き交うたくさんの人々、乱暴に鳴らされるクラクションと車のエンジン音に若葉はパチパチと瞬きを繰り返す。
「何かあったか?」
隣に座っていたメガトロンからの問いかけに若葉は窓越しの景色から視線を逸らすと彼へと向ける。
手にしているタブレットに表示されている内容が好ましいモノではないらしく、険しい視線をタブレットへと向けたまま巧みな操作をするメガトロンに向かい若葉は答えた。
「いえ、てっきり最初に行った場所へと戻るとばかり思っていたので」
「……あぁ。そうだったな。拠点を移動したことを説明していなかったか」
タブレットへと向けられていた視線が若葉へと向けられた。
微かに発光しているかのような赤い双眸を間近で見た事に若葉は驚いたように目を見張る。
離れていた日数はそれほど長くはない。
たった数日だけなのにメガトロンの目を見るのを久方ぶりのように感じてしまった事に若葉は戸惑い、無言のままジッとメガトロンを凝視してしまう。
さすがのメガトロンも突然、若葉から無言のまま見つめられたことに顔には出さないが困惑した時だ。
ラジオから聞こえてくる場違いなほど陽気なDJの声だけが車内に響く。
「拠点を移動したってどういう事ですか?」
「ディエゴガルシア基地は軍事施設だ。医療チームも居るが奴らは外傷などを専門にしている……妊娠出産に関しては畑違いだった」
メガトロンの説明に若葉は納得したように頷く。
あの場所は確かに見たことがないような技術力が多数あった。
小さな島にある拠点にしては度を超したテクノロジー、ソレはきっとメガトロンやオプティマスによってもたらされたモノだ。
金属生命体にとって容易く扱えるモノであったとしても人間が同じように扱えるわけでは無い。故にあの場所で訓練などをしていた。
優先すべきは兵器の扱い方である為、医療に関しては二の次になっていた可能性が高い。
「(ただまぁ今後は違うだろうけれど)」
声にはしないが若葉は母の妊娠が今後、大きく金属生命体と人間との関係を変えるだろうと予想する。
今は兵器に重点を置いているが、ある程度の目標を達したのならば次は力が身体欠損等の、それこそ人体に関して彼らの技術力がどの程度通用するのか研究するだろう。
そういった意味では母の存在は人類において貴重な存在だ。
「(あの人もそうだった)」
メガトロンと母との間にできた子供に対し狂気的な考えを抱いていた。
彼の本心としては母を献体として研究に使いたかったのだろうが、守りが厚すぎたが故に同じ遺伝子を持つ若葉を利用しようと企んだのだがその野望はメガトロンによって握りつぶされた。
そういった考えを抱く者は父以外にも多数居る事くらい簡単に想像できた。
そして、今後増えることも若葉にも解っていた。
「(拠点を移したのは)」
母の出産だけではない。
若葉を守ることも含まれている。
ソレが解っているからこそ若葉は自分の立ち位置が時々苦しくなる。
メガトロンと母との子供が男であれ女であれ、生まれてしまえばきっと若葉の扱いは今よりも劣ってしまう。
その未来を受け入れるのと同時に少しばかりの息苦しさに若葉が唇を噛んだ時だ。
「お前が心配するような事は起こらんから安心しろ」
言い終わるのと同時に若葉の頭を撫でたメガトロンの手つきは少しばかり荒々しい。
微かに痛みすら感じるその仕草に若葉は自身の中にあったモノが消えていく事を感じながら目を細めて笑う。
「解っています」
若葉の言葉にメガトロンは何も言わず、ただ、満足そうに笑った。
高い建物と道路を行き交うたくさんの人々、乱暴に鳴らされるクラクションと車のエンジン音に若葉はパチパチと瞬きを繰り返す。
「何かあったか?」
隣に座っていたメガトロンからの問いかけに若葉は窓越しの景色から視線を逸らすと彼へと向ける。
手にしているタブレットに表示されている内容が好ましいモノではないらしく、険しい視線をタブレットへと向けたまま巧みな操作をするメガトロンに向かい若葉は答えた。
「いえ、てっきり最初に行った場所へと戻るとばかり思っていたので」
「……あぁ。そうだったな。拠点を移動したことを説明していなかったか」
タブレットへと向けられていた視線が若葉へと向けられた。
微かに発光しているかのような赤い双眸を間近で見た事に若葉は驚いたように目を見張る。
離れていた日数はそれほど長くはない。
たった数日だけなのにメガトロンの目を見るのを久方ぶりのように感じてしまった事に若葉は戸惑い、無言のままジッとメガトロンを凝視してしまう。
さすがのメガトロンも突然、若葉から無言のまま見つめられたことに顔には出さないが困惑した時だ。
ラジオから聞こえてくる場違いなほど陽気なDJの声だけが車内に響く。
「拠点を移動したってどういう事ですか?」
「ディエゴガルシア基地は軍事施設だ。医療チームも居るが奴らは外傷などを専門にしている……妊娠出産に関しては畑違いだった」
メガトロンの説明に若葉は納得したように頷く。
あの場所は確かに見たことがないような技術力が多数あった。
小さな島にある拠点にしては度を超したテクノロジー、ソレはきっとメガトロンやオプティマスによってもたらされたモノだ。
金属生命体にとって容易く扱えるモノであったとしても人間が同じように扱えるわけでは無い。故にあの場所で訓練などをしていた。
優先すべきは兵器の扱い方である為、医療に関しては二の次になっていた可能性が高い。
「(ただまぁ今後は違うだろうけれど)」
声にはしないが若葉は母の妊娠が今後、大きく金属生命体と人間との関係を変えるだろうと予想する。
今は兵器に重点を置いているが、ある程度の目標を達したのならば次は力が身体欠損等の、それこそ人体に関して彼らの技術力がどの程度通用するのか研究するだろう。
そういった意味では母の存在は人類において貴重な存在だ。
「(あの人もそうだった)」
メガトロンと母との間にできた子供に対し狂気的な考えを抱いていた。
彼の本心としては母を献体として研究に使いたかったのだろうが、守りが厚すぎたが故に同じ遺伝子を持つ若葉を利用しようと企んだのだがその野望はメガトロンによって握りつぶされた。
そういった考えを抱く者は父以外にも多数居る事くらい簡単に想像できた。
そして、今後増えることも若葉にも解っていた。
「(拠点を移したのは)」
母の出産だけではない。
若葉を守ることも含まれている。
ソレが解っているからこそ若葉は自分の立ち位置が時々苦しくなる。
メガトロンと母との子供が男であれ女であれ、生まれてしまえばきっと若葉の扱いは今よりも劣ってしまう。
その未来を受け入れるのと同時に少しばかりの息苦しさに若葉が唇を噛んだ時だ。
「お前が心配するような事は起こらんから安心しろ」
言い終わるのと同時に若葉の頭を撫でたメガトロンの手つきは少しばかり荒々しい。
微かに痛みすら感じるその仕草に若葉は自身の中にあったモノが消えていく事を感じながら目を細めて笑う。
「解っています」
若葉の言葉にメガトロンは何も言わず、ただ、満足そうに笑った。
