32章:私は馬鹿じゃない
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掴まれた肩に走る激痛に若葉は顔を歪めるが決して悲鳴は上げない。
そんな若葉の姿が気に入らないのかサイドスワイプがさらに力を込めようとしたときだ。
若葉の肩を掴んでいるサイドスワイプの手を誰かが掴む。
「ケイドさん?」
サイドスワイプの手を掴んでいるのはケイドだった。
彼はもう良いと言うかのように首を振ると、サイドスワイプの肩を軽く数度叩くと若葉の肩からサイドスワイプの手を離す。
意外なほどあっさりと離れた事に若葉がホッと胸をなで下ろしたときだ。
「肩を見せろ。救いようのない馬鹿娘が」
「言い方が酷い」
未だ鈍痛がある肩を労るかのように掌で押さえながら若葉はスタースクリームへと視線を向けると、そこには鋭く目を細めているスタースクリームの姿があった。
「見せろ」
「嫌だよ。なんでアンタに見せなきゃいけないの?」
「応急処置くらいは俺様にだってできる。だから」
スタースクリームの口から続きが出てくることはなかった。
それは格納庫の中に響いた警報音が原因だ。
すぐさま全員が臨戦態勢に入る中、若葉はケイドへと視線を向けると彼は険しい顔をして辺りを見渡しており、偶然だが視線が若葉と宙で合う。
視線が合った瞬間、何とも言えない表情をしたケイドに対し若葉はそれは仕方がない事だと判断すると深々と一礼をした。
頭を上げた若葉の目に見えたケイドは驚いたように目を見開いており、彼に対して若葉はヒラヒラと手を振る。
「きっともう会うことはないだろうなぁ」
違う。会いたいとは思わないだろう。
だからイェーガー一家とはこれきりだ。
ケイドの陽気な笑みを見ていると少しばかり思ってしまう。
彼が父親だったのならばきっと幸せだっただろうな、と。
過去形になってしまったのは、若葉にとって最高の父親がいるからだ。
「閣下」
もう一度、会いたいと思った若葉はここで死ぬことはできない。
そう自分に言い聞かせるとサイドスワイプへと声をかける。
「敵が来たからには作戦なんて立てている余裕はありませんよね?」
「そうだな」
「私のことを嫌いでも信用できなくても良いです。だけど、今だけ協力してくれませんか?……イェーガーさん達を助けるために一時だけでかまいませんから!!」
警報音が鳴り響く中で告げた声はサイドスワイプの耳に確かに届いたらしく、彼はチッと舌打ちをすると若葉に背を向けた。
「あのッ!!」
「心配するな。今だけは協力してやる」
素っ気なくそう告げたサイドスワイプはケイドの腕を引いて移動を開始した。
その背中に向かい若葉は一礼した後、側に立っていたスタースクリームへと向き合う。
「お前の作戦は正気の沙汰とは思えんな」
「そうかもね。でも、反対しないって事は悪くないって事でしょ?」
ニッと笑った若葉に対しスタースクリームは乱暴にその頭をなで回した。
そんな若葉の姿が気に入らないのかサイドスワイプがさらに力を込めようとしたときだ。
若葉の肩を掴んでいるサイドスワイプの手を誰かが掴む。
「ケイドさん?」
サイドスワイプの手を掴んでいるのはケイドだった。
彼はもう良いと言うかのように首を振ると、サイドスワイプの肩を軽く数度叩くと若葉の肩からサイドスワイプの手を離す。
意外なほどあっさりと離れた事に若葉がホッと胸をなで下ろしたときだ。
「肩を見せろ。救いようのない馬鹿娘が」
「言い方が酷い」
未だ鈍痛がある肩を労るかのように掌で押さえながら若葉はスタースクリームへと視線を向けると、そこには鋭く目を細めているスタースクリームの姿があった。
「見せろ」
「嫌だよ。なんでアンタに見せなきゃいけないの?」
「応急処置くらいは俺様にだってできる。だから」
スタースクリームの口から続きが出てくることはなかった。
それは格納庫の中に響いた警報音が原因だ。
すぐさま全員が臨戦態勢に入る中、若葉はケイドへと視線を向けると彼は険しい顔をして辺りを見渡しており、偶然だが視線が若葉と宙で合う。
視線が合った瞬間、何とも言えない表情をしたケイドに対し若葉はそれは仕方がない事だと判断すると深々と一礼をした。
頭を上げた若葉の目に見えたケイドは驚いたように目を見開いており、彼に対して若葉はヒラヒラと手を振る。
「きっともう会うことはないだろうなぁ」
違う。会いたいとは思わないだろう。
だからイェーガー一家とはこれきりだ。
ケイドの陽気な笑みを見ていると少しばかり思ってしまう。
彼が父親だったのならばきっと幸せだっただろうな、と。
過去形になってしまったのは、若葉にとって最高の父親がいるからだ。
「閣下」
もう一度、会いたいと思った若葉はここで死ぬことはできない。
そう自分に言い聞かせるとサイドスワイプへと声をかける。
「敵が来たからには作戦なんて立てている余裕はありませんよね?」
「そうだな」
「私のことを嫌いでも信用できなくても良いです。だけど、今だけ協力してくれませんか?……イェーガーさん達を助けるために一時だけでかまいませんから!!」
警報音が鳴り響く中で告げた声はサイドスワイプの耳に確かに届いたらしく、彼はチッと舌打ちをすると若葉に背を向けた。
「あのッ!!」
「心配するな。今だけは協力してやる」
素っ気なくそう告げたサイドスワイプはケイドの腕を引いて移動を開始した。
その背中に向かい若葉は一礼した後、側に立っていたスタースクリームへと向き合う。
「お前の作戦は正気の沙汰とは思えんな」
「そうかもね。でも、反対しないって事は悪くないって事でしょ?」
ニッと笑った若葉に対しスタースクリームは乱暴にその頭をなで回した。
