32章:私は馬鹿じゃない
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若葉が拒絶されたことに苦しんだのはほんの一瞬だ。
ケイド達を犠牲にしようとした事に対する不信感から信用されないとは解っていたが、今、若葉の説明した作戦は悪くはないはずだ。それはサイドスワイプだって解っている。
「(あぁ……この人は最初から私の言葉なんて聞くつもりはないんだ)」
初めて出会ったときからずっとそうだった。
隠すことのない敵意と不信感を露わにしていた、否、意図的に若葉へと叩きつけてきた。
サイドウェイズとのこともそうだ。
次々とサイドスワイプとの出来事が脳裏によぎる度に若葉はふつふつとした怒りが心の奥底からこみ上げてきたことを感じ取った。
「(だったら良いよね)」
相手がこちらを尊重してくれないのならば、それ相応の対応をしたとしても咎められる必要はない。
そう判断した若葉はにっこりと微笑みながら問いかけた。
「だったら聞くけど、貴方にこの状況を打破できる作戦があるの?」
まさかそう返されるとは思っていなかったらしいサイドスワイプが驚愕のあまり大きく目を見開く。
「これから考える」
「いやいや。人の話聞いてました?敵が来るって言っているんですよ?ここでモタモタしていたらその分だけ命が危険に晒されるって解っています?」
矢継ぎ早に相手の隙を容赦なく突いてくる若葉のやり方は彼女の母親とよく似ていた。
尤も違うのは件の博士は菩薩のような笑みを浮かべながら、もっと辛辣な言葉で相手を追い詰める。
母親に比べれば若葉のやり方には感情が宿っており、だからこそまだ対処ができると判断したサイドスワイプは言い返す。
「全て承知の上で答えている。今から作戦を立てて」
「ソレってどれくらいの時間で終わるの?3分?30分?まさか1時間とか言わないよね?その間にココが攻撃されたらどうなるか解った上での発言ですか?」
「……」
反論できなかったサイドスワイプは沈黙するしか選択肢がない。
「私は母の避難が終わるまで囮役を引き受けるつもりです」
囮、その言葉を聞いた瞬間にサイドスワイプが反論しようとするよりも早く若葉は声を出す。
「けれどその役目をイェーガーさん達に押しつけるつもりもありませんし、彼らを犠牲にするつもりなんてありません」
まっすぐ見つめてくる若葉をジッと見つめていたサイドスワイプだったが、ギリッと奥歯を強く噛みしめると若葉の右肩を乱暴に掴む。
痛みに顔を歪めた若葉に気づいたスタースクリームが止めに入ろうとしたが、ソレを若葉は制する。
「勝手なことばかり言うな!!お前、本当にケイド達がお前を守るために囮になると知らなかったのかよ!!日本に着いてからケイド達と別行動をしていたことに何の疑問を抱くこともなかったって言うのか!!!!」
叩きつけられる感情はあまりにも強くて、思わず後ろに下がりそうになるが若葉は必死に堪える。
ここで退いてしまえばサイドスワイプの協力は得られない。
全員が生き残るためには彼の力が必要不可欠なのだ。
ガクガクと震える足で必死にコンクリートの床に立ちながら、若葉は目の前にいるサイドスワイプへと告げる。
「私が母さんみたいに賢かったら、人の悪意を機敏に悟れたら良かった。そうしたらイェーガーさん達を巻き込むことはなかったから……だから、こうなったのは全部私のせいだ。弱くて、他人に利用されてばかりの馬鹿な私のせい」
ごめんなさい。
静かに告げた言葉にサイドスワイプは一瞬息を止めたが、すぐに顔を歪めると若葉の肩を掴んでいる手に力を込めた。
ケイド達を犠牲にしようとした事に対する不信感から信用されないとは解っていたが、今、若葉の説明した作戦は悪くはないはずだ。それはサイドスワイプだって解っている。
「(あぁ……この人は最初から私の言葉なんて聞くつもりはないんだ)」
初めて出会ったときからずっとそうだった。
隠すことのない敵意と不信感を露わにしていた、否、意図的に若葉へと叩きつけてきた。
サイドウェイズとのこともそうだ。
次々とサイドスワイプとの出来事が脳裏によぎる度に若葉はふつふつとした怒りが心の奥底からこみ上げてきたことを感じ取った。
「(だったら良いよね)」
相手がこちらを尊重してくれないのならば、それ相応の対応をしたとしても咎められる必要はない。
そう判断した若葉はにっこりと微笑みながら問いかけた。
「だったら聞くけど、貴方にこの状況を打破できる作戦があるの?」
まさかそう返されるとは思っていなかったらしいサイドスワイプが驚愕のあまり大きく目を見開く。
「これから考える」
「いやいや。人の話聞いてました?敵が来るって言っているんですよ?ここでモタモタしていたらその分だけ命が危険に晒されるって解っています?」
矢継ぎ早に相手の隙を容赦なく突いてくる若葉のやり方は彼女の母親とよく似ていた。
尤も違うのは件の博士は菩薩のような笑みを浮かべながら、もっと辛辣な言葉で相手を追い詰める。
母親に比べれば若葉のやり方には感情が宿っており、だからこそまだ対処ができると判断したサイドスワイプは言い返す。
「全て承知の上で答えている。今から作戦を立てて」
「ソレってどれくらいの時間で終わるの?3分?30分?まさか1時間とか言わないよね?その間にココが攻撃されたらどうなるか解った上での発言ですか?」
「……」
反論できなかったサイドスワイプは沈黙するしか選択肢がない。
「私は母の避難が終わるまで囮役を引き受けるつもりです」
囮、その言葉を聞いた瞬間にサイドスワイプが反論しようとするよりも早く若葉は声を出す。
「けれどその役目をイェーガーさん達に押しつけるつもりもありませんし、彼らを犠牲にするつもりなんてありません」
まっすぐ見つめてくる若葉をジッと見つめていたサイドスワイプだったが、ギリッと奥歯を強く噛みしめると若葉の右肩を乱暴に掴む。
痛みに顔を歪めた若葉に気づいたスタースクリームが止めに入ろうとしたが、ソレを若葉は制する。
「勝手なことばかり言うな!!お前、本当にケイド達がお前を守るために囮になると知らなかったのかよ!!日本に着いてからケイド達と別行動をしていたことに何の疑問を抱くこともなかったって言うのか!!!!」
叩きつけられる感情はあまりにも強くて、思わず後ろに下がりそうになるが若葉は必死に堪える。
ここで退いてしまえばサイドスワイプの協力は得られない。
全員が生き残るためには彼の力が必要不可欠なのだ。
ガクガクと震える足で必死にコンクリートの床に立ちながら、若葉は目の前にいるサイドスワイプへと告げる。
「私が母さんみたいに賢かったら、人の悪意を機敏に悟れたら良かった。そうしたらイェーガーさん達を巻き込むことはなかったから……だから、こうなったのは全部私のせいだ。弱くて、他人に利用されてばかりの馬鹿な私のせい」
ごめんなさい。
静かに告げた言葉にサイドスワイプは一瞬息を止めたが、すぐに顔を歪めると若葉の肩を掴んでいる手に力を込めた。
