30章:急襲
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狭い車内の雰囲気が張り詰めたものになっていることくらい若葉とて解っている。その原因が自分の軽率な発言であることくらい解っているし、これから言うことがスタースクリームの機嫌を損ねることくらい安易に予想できるが若葉はあえてその言葉を口にした。
「閣下達がどうやって母さんを守っているのかは解らない……でも、私を日本へと向かわせたってことは色々と足りないのでしょう?」
それは避難場所であったり、人員であったり、医療施設の確保だったり、挙げればきりがない。
ましてや妊婦であれば必要なモノが増えるのは当たり前のこと。
金属生命体との子供を守るためにも様々な要因に対処できるだろう人材を敵に察知されずに採用するのは至難の業だ。
「一番足りていないのは時間だって事くらい私にだって理解できてる」
だからフォールンは決断をした。
守りを幾重にも張り巡らせて若葉という餌を放った。
餌に敵が食らいついている間に母体と胎児を守る事を選んだ。
「だとしたらどうする?お前は所詮、閣下の敵をつり上げるための餌だ。ソレが解った上でお前はどう動く?」
嫌みったらしい口調と共に口角をつり上げて意地悪く笑うスタースクリームに向かい、若葉は微笑んだ。
「私が囮としてまだ利用できるのならば利用して」
その返答はスタースクリームにとって予想外だったらしく、深紅の瞳が驚愕のあまり見開かれる。
「閣下と母さん達の敵にとってうま味のある餌であるのなら、好きなように使ってくれて良いの……それで母さん達を守ることができるのなら私はそれで良い」
今回の計画にメガトロンが関わってはいないとスタースクリームが教えてくれたのを聞いた若葉は心から良かったと思えた。
そして彼の為に自分は最良のことをしようと決断した。
それがきっと一時とはいえども彼の娘になれた自分のなすべき事だと思えたから。
「小娘。貴様自分が何を言っているのか理解しているのか?」
「うん」
「万が一にでも奴らに捕まれば死ぬよりも辛い目に遭うぞ」
「うん」
「いっそ殺せと願うほどの暴力とお前の尊厳を奪う行為だ」
「うん」
「……お前の救出が困難だと判断されれば我々はお前を切り捨てるだろう。それすらも全て承知の上だな?」
それがスタースクリームからの温情であることくらい若葉は解っている。それでも若葉は自分の意思を変えるつもりはない。
「本当はね、凄く……凄く怖いよ。何とかっていう組織に捕まった自分がどうなるのかなんて、怖くて想像できないもの」
「ならば」
「だからこそ退けない」
決意とは裏腹にあふれてきた涙が頬を伝い落ちていく。
ソレを拭わずに若葉はスタースクリームをまっすぐ見つめ返す。
「若葉」
柔らかな声が名を呼ぶのと同時に頬をそっと撫でる。
大きな掌は皮膚が硬くて頬に触れると少しだけ痛かったが、それでも伝わってくる暖かな温もりに若葉は縋るように頬をそっと添える。
「俺は約束しただろう?」
お前を守ると。
声にはしなかったが約束を忘れてはない、そう告げられた若葉はきつく目を閉じると何度も何度も頷く。
その間スタースクリームは何も言わず、ただ若葉の頬を撫で続けてくれた。
「閣下達がどうやって母さんを守っているのかは解らない……でも、私を日本へと向かわせたってことは色々と足りないのでしょう?」
それは避難場所であったり、人員であったり、医療施設の確保だったり、挙げればきりがない。
ましてや妊婦であれば必要なモノが増えるのは当たり前のこと。
金属生命体との子供を守るためにも様々な要因に対処できるだろう人材を敵に察知されずに採用するのは至難の業だ。
「一番足りていないのは時間だって事くらい私にだって理解できてる」
だからフォールンは決断をした。
守りを幾重にも張り巡らせて若葉という餌を放った。
餌に敵が食らいついている間に母体と胎児を守る事を選んだ。
「だとしたらどうする?お前は所詮、閣下の敵をつり上げるための餌だ。ソレが解った上でお前はどう動く?」
嫌みったらしい口調と共に口角をつり上げて意地悪く笑うスタースクリームに向かい、若葉は微笑んだ。
「私が囮としてまだ利用できるのならば利用して」
その返答はスタースクリームにとって予想外だったらしく、深紅の瞳が驚愕のあまり見開かれる。
「閣下と母さん達の敵にとってうま味のある餌であるのなら、好きなように使ってくれて良いの……それで母さん達を守ることができるのなら私はそれで良い」
今回の計画にメガトロンが関わってはいないとスタースクリームが教えてくれたのを聞いた若葉は心から良かったと思えた。
そして彼の為に自分は最良のことをしようと決断した。
それがきっと一時とはいえども彼の娘になれた自分のなすべき事だと思えたから。
「小娘。貴様自分が何を言っているのか理解しているのか?」
「うん」
「万が一にでも奴らに捕まれば死ぬよりも辛い目に遭うぞ」
「うん」
「いっそ殺せと願うほどの暴力とお前の尊厳を奪う行為だ」
「うん」
「……お前の救出が困難だと判断されれば我々はお前を切り捨てるだろう。それすらも全て承知の上だな?」
それがスタースクリームからの温情であることくらい若葉は解っている。それでも若葉は自分の意思を変えるつもりはない。
「本当はね、凄く……凄く怖いよ。何とかっていう組織に捕まった自分がどうなるのかなんて、怖くて想像できないもの」
「ならば」
「だからこそ退けない」
決意とは裏腹にあふれてきた涙が頬を伝い落ちていく。
ソレを拭わずに若葉はスタースクリームをまっすぐ見つめ返す。
「若葉」
柔らかな声が名を呼ぶのと同時に頬をそっと撫でる。
大きな掌は皮膚が硬くて頬に触れると少しだけ痛かったが、それでも伝わってくる暖かな温もりに若葉は縋るように頬をそっと添える。
「俺は約束しただろう?」
お前を守ると。
声にはしなかったが約束を忘れてはない、そう告げられた若葉はきつく目を閉じると何度も何度も頷く。
その間スタースクリームは何も言わず、ただ若葉の頬を撫で続けてくれた。
