30章:急襲
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ブツブツと何かを呟きながら忙しなくタブレットと携帯を操作しているスタースクリームに今は絶対に話しかけてはならないし、彼の集中力を削ぐようなことはしては駄目だと若葉は理解しているため無言のまま外の景色を見ていたときだ。
静かな車内に突然、ノイズ音が聞こえたため何事かとスタースクリームと若葉が視線をカーナビへと向けたのと同時に音声が響く。
「ここで緊急速報をお伝えします。本日未明、○○市●●町で起きた多重事故に関し『自分たちが意図的に起こした』という犯行声明が報道各所に届けられました」
聞こえてきた住所は若葉の家からすぐ近くの場所だった。
ソレの意味がわからないほど若葉は馬鹿ではない。
「犯行声明を出したのはKSIに属する組織です。彼らの犯行声明には『我々から家族を、恋人を、友人を、隣人を奪った者達が幸せになることなど決して許されることではない。彼らには痛みを教えねばならない。我らが受けた苦痛と怒りと悲しみを彼らには与えねばならない。そのためには彼らの大切な存在をまずは奪う。これは開戦の狼煙だ』とのことです」
大抵のことは自身の力でねじ伏せることができるだろうスタースクリームが何故あんなにも焦っていたのか若葉は理解した。
メガトロンは言っていた。
自分には敵が多い、と。
それは自他共に認める事実でありそれ故にいつか必ず彼を狙って敵が攻撃してくる事をきっと誰もが解っていた。
そして狙われるのならば若葉の母だということも。
母と赤子に危険が及ばぬよう鉄壁の守りを作り上げる必要があるが、下手に動けば敵に守りに入ったことに気づかれ手を打たれる可能性が高い。
ましてや予期せぬ母の妊娠によりその身柄を安全な場所に移送することは困難になり、予期せぬ客人である若葉の実父が現れたことによりその計画は著しく遅れる事となった。
メガトロン達には時間が必要だった。
母を秘密裡に安全に避難させる為には母に向けられる目を少しでも多くそらす必要がある。
「私を囮に使ったの?」
その問いにスタースクリームは答えなかった。
車内に響くのは困惑した声で必死にまとめ上げられた原稿を読むラジオアナウンサーの声だけだ。
若葉がスタースクリームを見ることは決してない。
ただ、彼の口から出るだろう真実を待っている。
頑なな若葉の姿と決意に対しスタースクリームは降参だと言うかのように目元を手で覆うと深々と息を吐き出す。
「結果から見れば確かにお前を囮に使うような形になった。その点は悪かったと思っている……ただ、ひとつ言っておく。今回の件に閣下は関与していない」
メガトロンが関わっていない、その言葉を聞いた若葉の脳裏に浮かんだのは不器用に自分を撫でるメガトロンの手のぬくもりだ。
彼はいつだって若葉には嘘を言わなかった。
ただ、不器用な誠実さを見せてくれた。
そのメガトロンが自分を囮にしなかったということだけ若葉は安堵の笑みを浮かべながらそっと目を伏せた。
「今回の件で動かれているのはフォールン様だ」
好々爺としたフォールンの顔を思い出した若葉は彼が時折、自分を見つめる目が悔いるかのようなものであったことを思い出す。
もしかしたらソレすらも事が露呈したときに若葉が”こう”考えると判断してのことだったとしたのならば、フォールンは本当に狡猾な人だと思いながらスタースクリームの話に耳を傾ける。
「あの御方はお前を守るために万全の警備をしていた。俺も確認したが完璧なものであった……お前が監視カメラの映像に残らないようにサウンドウェーブが常にハッキングしていたし、お前に関する情報はバリケードとフレンジーが全て消去していたはずだった」
それだけの警備網を敵が容易く潜り抜けた事が忌々しいという顔をして口を閉ざしたスタースクリームに対し、若葉は視線で促せばスタースクリームは苦虫をかみつぶしたかのような顔をして口を開く。
「それなのにお前が日本に居る事が露呈し、その結果が俺たちは絶体絶命の窮地に陥っている」
完璧と言って良いほどの警備網を突破するなど人間には不可能だ。
そうなると答えは一つ。
自分たちの組織の中にユダが居る。
静かな車内に突然、ノイズ音が聞こえたため何事かとスタースクリームと若葉が視線をカーナビへと向けたのと同時に音声が響く。
「ここで緊急速報をお伝えします。本日未明、○○市●●町で起きた多重事故に関し『自分たちが意図的に起こした』という犯行声明が報道各所に届けられました」
聞こえてきた住所は若葉の家からすぐ近くの場所だった。
ソレの意味がわからないほど若葉は馬鹿ではない。
「犯行声明を出したのはKSIに属する組織です。彼らの犯行声明には『我々から家族を、恋人を、友人を、隣人を奪った者達が幸せになることなど決して許されることではない。彼らには痛みを教えねばならない。我らが受けた苦痛と怒りと悲しみを彼らには与えねばならない。そのためには彼らの大切な存在をまずは奪う。これは開戦の狼煙だ』とのことです」
大抵のことは自身の力でねじ伏せることができるだろうスタースクリームが何故あんなにも焦っていたのか若葉は理解した。
メガトロンは言っていた。
自分には敵が多い、と。
それは自他共に認める事実でありそれ故にいつか必ず彼を狙って敵が攻撃してくる事をきっと誰もが解っていた。
そして狙われるのならば若葉の母だということも。
母と赤子に危険が及ばぬよう鉄壁の守りを作り上げる必要があるが、下手に動けば敵に守りに入ったことに気づかれ手を打たれる可能性が高い。
ましてや予期せぬ母の妊娠によりその身柄を安全な場所に移送することは困難になり、予期せぬ客人である若葉の実父が現れたことによりその計画は著しく遅れる事となった。
メガトロン達には時間が必要だった。
母を秘密裡に安全に避難させる為には母に向けられる目を少しでも多くそらす必要がある。
「私を囮に使ったの?」
その問いにスタースクリームは答えなかった。
車内に響くのは困惑した声で必死にまとめ上げられた原稿を読むラジオアナウンサーの声だけだ。
若葉がスタースクリームを見ることは決してない。
ただ、彼の口から出るだろう真実を待っている。
頑なな若葉の姿と決意に対しスタースクリームは降参だと言うかのように目元を手で覆うと深々と息を吐き出す。
「結果から見れば確かにお前を囮に使うような形になった。その点は悪かったと思っている……ただ、ひとつ言っておく。今回の件に閣下は関与していない」
メガトロンが関わっていない、その言葉を聞いた若葉の脳裏に浮かんだのは不器用に自分を撫でるメガトロンの手のぬくもりだ。
彼はいつだって若葉には嘘を言わなかった。
ただ、不器用な誠実さを見せてくれた。
そのメガトロンが自分を囮にしなかったということだけ若葉は安堵の笑みを浮かべながらそっと目を伏せた。
「今回の件で動かれているのはフォールン様だ」
好々爺としたフォールンの顔を思い出した若葉は彼が時折、自分を見つめる目が悔いるかのようなものであったことを思い出す。
もしかしたらソレすらも事が露呈したときに若葉が”こう”考えると判断してのことだったとしたのならば、フォールンは本当に狡猾な人だと思いながらスタースクリームの話に耳を傾ける。
「あの御方はお前を守るために万全の警備をしていた。俺も確認したが完璧なものであった……お前が監視カメラの映像に残らないようにサウンドウェーブが常にハッキングしていたし、お前に関する情報はバリケードとフレンジーが全て消去していたはずだった」
それだけの警備網を敵が容易く潜り抜けた事が忌々しいという顔をして口を閉ざしたスタースクリームに対し、若葉は視線で促せばスタースクリームは苦虫をかみつぶしたかのような顔をして口を開く。
「それなのにお前が日本に居る事が露呈し、その結果が俺たちは絶体絶命の窮地に陥っている」
完璧と言って良いほどの警備網を突破するなど人間には不可能だ。
そうなると答えは一つ。
自分たちの組織の中にユダが居る。
