30章:急襲
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
足の踏み場もないと言うほど大量の私物が床の上に散らかっている中、若葉はしかめっ面をしながらベッドの上に座っている。
「小娘。いい加減にしろよ?」
こめかみを引きつらせながらそう告げたのはスタースクリームだ。
彼は若葉の部屋の入り口で両手を組みながら室内の様子を見渡している。
事の始まりは簡単だ。
ホテルから自宅へと帰ってきた若葉は荷造りを開始したまでは良かった。まずは最初に必要な物だけをスタースクリームが用意していた段ボールに入れようとしたが、どれも大切な思い出の品ばかりであった。
優先順位をつけようと思い、とりあえず床の上に一度全てを出してみた結果は全て必要だということだ。
「そもそも……コレは不要だろう?」
呆れたようにため息を一つこぼしたスタースクリームは一番近くにあった熊のぬいぐるみを手に取る。世界的に有名な遊園地のマスコットキャラの仲間だと思いながらも、所々色あせているソレはスタースクリームにとってはゴミと同じだ。
「ソレは駄目。小学校の修学旅行で友達と一緒に買ったの!!」
返された却下の言葉にスタースクリームは「下らんな」と呟くとぬいぐるみを若葉へと向かって放り投げる。
ちょうど良い場所に投げられたぬいぐるみを受け取った若葉はぬいぐるみの頭を優しく撫でながら自分の隣に座らせた。
「この本ならアメリカに行ってから取り寄せろ」
「駄目。初版本なんだから」
「……どう見てもサイズの合わないだろうこの服は不要だな」
「駄目。友達がお金を出し合って買ってくれた誕生日プレゼントだから」
「ッ……。ならば、この、棚にある、小物は、絶対に、不要だろう!?」
「駄目。部活仲間とか、習い事の友達とのお揃いだから!!」
何度目になるのか解らないやりとりにスタースクリームはスパークがバチンッと大きく爆ぜるのと同時に若葉の部屋にあった段ボールを3つだけ残すと残りを回収する。
「小娘。お前に与える段ボールは3つだけだ。それに入らない物は全て処分する」
「横暴じゃないの!!」
「黙れ。いつまでもお前のわがままに付き合っていられるか」
切り捨てるかのように冷たく返された言葉に若葉は唇を噛む。
部屋の中にある物はどれだって若葉にとって大切なものばかりだ。いつかこの思い出と別れる時が来ると解っていたが、それはまだ当分先だと若葉は思っていた。
気持ちの切り替えが、思い出との決別が、今の若葉にはできない。
縋るように側に置いていたぬいぐるみを膝の上に置いた時だ。
「とりあえず3つだけはなんとか選べ。他の荷物に関してはどこかに保管できるか提案しておく」
ソレが最大限の譲歩だ、と言うかのようなスタースクリームの言葉に若葉は驚いた顔をしたまま問う。
「いいの?」
「期待はするな……とにかく2時間で荷物をまとめろ。俺も俺でやらねばならん事がある。良いか?2時間だぞ?」
時間厳守、そう告げたスタースクリームは自身のなすべき事をするために若葉へと背を向けたため、若葉は慌てて声をかけた。
「ありがとう」
感謝の言葉を聞いたスタースクリームの足が一瞬だけ止まったが、すぐに何事もなかったかのように歩き出したがヒラリと手を振ると足音が遠ざかっていく。
残された若葉は散らかった室内を見渡した後、フッと息を吐き出すと持っていたぬいぐるみをベッドの上に置くと腕をまくる。
「よしッ!!」
気合いを入れるように大きく腕を回した若葉は段ボールを手に取った。
「小娘。いい加減にしろよ?」
こめかみを引きつらせながらそう告げたのはスタースクリームだ。
彼は若葉の部屋の入り口で両手を組みながら室内の様子を見渡している。
事の始まりは簡単だ。
ホテルから自宅へと帰ってきた若葉は荷造りを開始したまでは良かった。まずは最初に必要な物だけをスタースクリームが用意していた段ボールに入れようとしたが、どれも大切な思い出の品ばかりであった。
優先順位をつけようと思い、とりあえず床の上に一度全てを出してみた結果は全て必要だということだ。
「そもそも……コレは不要だろう?」
呆れたようにため息を一つこぼしたスタースクリームは一番近くにあった熊のぬいぐるみを手に取る。世界的に有名な遊園地のマスコットキャラの仲間だと思いながらも、所々色あせているソレはスタースクリームにとってはゴミと同じだ。
「ソレは駄目。小学校の修学旅行で友達と一緒に買ったの!!」
返された却下の言葉にスタースクリームは「下らんな」と呟くとぬいぐるみを若葉へと向かって放り投げる。
ちょうど良い場所に投げられたぬいぐるみを受け取った若葉はぬいぐるみの頭を優しく撫でながら自分の隣に座らせた。
「この本ならアメリカに行ってから取り寄せろ」
「駄目。初版本なんだから」
「……どう見てもサイズの合わないだろうこの服は不要だな」
「駄目。友達がお金を出し合って買ってくれた誕生日プレゼントだから」
「ッ……。ならば、この、棚にある、小物は、絶対に、不要だろう!?」
「駄目。部活仲間とか、習い事の友達とのお揃いだから!!」
何度目になるのか解らないやりとりにスタースクリームはスパークがバチンッと大きく爆ぜるのと同時に若葉の部屋にあった段ボールを3つだけ残すと残りを回収する。
「小娘。お前に与える段ボールは3つだけだ。それに入らない物は全て処分する」
「横暴じゃないの!!」
「黙れ。いつまでもお前のわがままに付き合っていられるか」
切り捨てるかのように冷たく返された言葉に若葉は唇を噛む。
部屋の中にある物はどれだって若葉にとって大切なものばかりだ。いつかこの思い出と別れる時が来ると解っていたが、それはまだ当分先だと若葉は思っていた。
気持ちの切り替えが、思い出との決別が、今の若葉にはできない。
縋るように側に置いていたぬいぐるみを膝の上に置いた時だ。
「とりあえず3つだけはなんとか選べ。他の荷物に関してはどこかに保管できるか提案しておく」
ソレが最大限の譲歩だ、と言うかのようなスタースクリームの言葉に若葉は驚いた顔をしたまま問う。
「いいの?」
「期待はするな……とにかく2時間で荷物をまとめろ。俺も俺でやらねばならん事がある。良いか?2時間だぞ?」
時間厳守、そう告げたスタースクリームは自身のなすべき事をするために若葉へと背を向けたため、若葉は慌てて声をかけた。
「ありがとう」
感謝の言葉を聞いたスタースクリームの足が一瞬だけ止まったが、すぐに何事もなかったかのように歩き出したがヒラリと手を振ると足音が遠ざかっていく。
残された若葉は散らかった室内を見渡した後、フッと息を吐き出すと持っていたぬいぐるみをベッドの上に置くと腕をまくる。
「よしッ!!」
気合いを入れるように大きく腕を回した若葉は段ボールを手に取った。