29章:砂時計の砂が落ちきる前に
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聞こえてきた声は間違いなければサイドスワイプのものだ。
彼との関係性があまり良くは無い若葉は口元を引きつかせながら目の前の銀色の車を見つめていると、ガチャリとドアが開きスタースクリームが我が物顔で乗り込む。 それを呆然と見つめるだけで動こうとはしない若葉に対し、早く乗れと言うかのように助手席へと視線を向けるスタースクリームを見た若葉は必死にこの車に乗らないための理由を考える。
「どうした?」
不満そうにハンドルを指で叩きながらスタースクリームは問う。
「えぇっと……荷物はどうしたんです?私、それなりの荷物を持ってきてきたのですけれど」
「後でホテルに届けられる手はずになっている」
問いかけに対する答えを告げたスタースクリームは視線で一瞬だけ助手席を見て「乗れ」と命令するが、若葉は無言のまま首を左右に大きく振った後大きな声で告げた。
「いやいや無理でしょコレッて!」
顔の前で両腕を交差させ絶対に乗るつもりは無いというかのように訴える若葉の姿を見たスタースクリームは唖然とした顔をして固まる。
言葉を発しないスタースクリームの代わりに声を出したのはサイドスワイプだ。
『はぁ!?無理ってなんだよ!?』
「いや……なんか、乗ったらヤバそうな雰囲気がして、ね?」
『この国の交通ルールも守るし、極力安全運転するに決まっているだろうが!!』
「信用できません」
『このッ!!クソガキが!!お前俺のことをどう思っているんだよ?』
「……嫌な奴?」
一考した後に思わず口から出てしまった言葉に若葉は慌てて口を手で隠す。
恐る恐る、サイドスワイプを見てみると何となく車体が細かく揺れている気がした為、どうやって言い訳をしようか?と考えていた若葉の耳に聞こえてきたのは呆れ果てたかのようなため息だ。
「これだからガキの子守は嫌なんだ」
微かな苛立ちと嫌悪感を滲ませながらスタースクリームは運転席から出てくると無言のまま若葉の襟首を掴む。
「え?」
何が起こっているのか解らぬまま若葉引きずられるかのように移動する。
向かった先は助手席だ。
ドアを開けたスタースクリームは若葉をシートに投げ捨てるとドアを閉め、再び運転席のシートへと座るとドアを閉める。
「ホテルに向かえ」
それだけ告げたスタースクリームはハンドルを握るが目立つリアクションはしない。
自分たちを目的地へと運ぶのはサイドスワイプの役目だと言うかのような態度と言動に対し、サイドスワイプは不服そうにエンジンを一度だけ吹かすと目的地へと移動を開始した時だ。
「……ちょっとまって!?襟元がめっちゃ伸びてるんだけど?」
先ほど襟首を捕まれて移動した際に伸びてしまった襟を掴みながら若葉はスタースクリームに抗議をする。
「これお気に入りだったのに!!信じられない!!」
「所詮はファストファッションブランドだろう?」
「そういう問題じゃないの!!!ホンッと……信じられない」
ブチブチと文句を言い続ける若葉に対してスタースクリームは最初こそ適当に言葉を返していたが、だんだんと若葉の声音が震え始め、言葉が少なくなったことに気づくと自分がしてしまったことがヤバいことだと悟った。
狭い車内の中で微かに鼻をすする音が響いた。
彼との関係性があまり良くは無い若葉は口元を引きつかせながら目の前の銀色の車を見つめていると、ガチャリとドアが開きスタースクリームが我が物顔で乗り込む。 それを呆然と見つめるだけで動こうとはしない若葉に対し、早く乗れと言うかのように助手席へと視線を向けるスタースクリームを見た若葉は必死にこの車に乗らないための理由を考える。
「どうした?」
不満そうにハンドルを指で叩きながらスタースクリームは問う。
「えぇっと……荷物はどうしたんです?私、それなりの荷物を持ってきてきたのですけれど」
「後でホテルに届けられる手はずになっている」
問いかけに対する答えを告げたスタースクリームは視線で一瞬だけ助手席を見て「乗れ」と命令するが、若葉は無言のまま首を左右に大きく振った後大きな声で告げた。
「いやいや無理でしょコレッて!」
顔の前で両腕を交差させ絶対に乗るつもりは無いというかのように訴える若葉の姿を見たスタースクリームは唖然とした顔をして固まる。
言葉を発しないスタースクリームの代わりに声を出したのはサイドスワイプだ。
『はぁ!?無理ってなんだよ!?』
「いや……なんか、乗ったらヤバそうな雰囲気がして、ね?」
『この国の交通ルールも守るし、極力安全運転するに決まっているだろうが!!』
「信用できません」
『このッ!!クソガキが!!お前俺のことをどう思っているんだよ?』
「……嫌な奴?」
一考した後に思わず口から出てしまった言葉に若葉は慌てて口を手で隠す。
恐る恐る、サイドスワイプを見てみると何となく車体が細かく揺れている気がした為、どうやって言い訳をしようか?と考えていた若葉の耳に聞こえてきたのは呆れ果てたかのようなため息だ。
「これだからガキの子守は嫌なんだ」
微かな苛立ちと嫌悪感を滲ませながらスタースクリームは運転席から出てくると無言のまま若葉の襟首を掴む。
「え?」
何が起こっているのか解らぬまま若葉引きずられるかのように移動する。
向かった先は助手席だ。
ドアを開けたスタースクリームは若葉をシートに投げ捨てるとドアを閉め、再び運転席のシートへと座るとドアを閉める。
「ホテルに向かえ」
それだけ告げたスタースクリームはハンドルを握るが目立つリアクションはしない。
自分たちを目的地へと運ぶのはサイドスワイプの役目だと言うかのような態度と言動に対し、サイドスワイプは不服そうにエンジンを一度だけ吹かすと目的地へと移動を開始した時だ。
「……ちょっとまって!?襟元がめっちゃ伸びてるんだけど?」
先ほど襟首を捕まれて移動した際に伸びてしまった襟を掴みながら若葉はスタースクリームに抗議をする。
「これお気に入りだったのに!!信じられない!!」
「所詮はファストファッションブランドだろう?」
「そういう問題じゃないの!!!ホンッと……信じられない」
ブチブチと文句を言い続ける若葉に対してスタースクリームは最初こそ適当に言葉を返していたが、だんだんと若葉の声音が震え始め、言葉が少なくなったことに気づくと自分がしてしまったことがヤバいことだと悟った。
狭い車内の中で微かに鼻をすする音が響いた。