29章:砂時計の砂が落ちきる前に
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スタースクリームとのコーヒータイムは今まで若葉が抱いていた印象からは想像できない少しばかり意外な一面を知る良いきっかけとなった。
メガトロンが支配する組織、ディセプティコンの中で研究者という立場であるらしいスタースクリームに与えられたのは彼らの子孫を増やすということだった。
「お前たち人間と俺たちとの体の構造は違う。お前達が生命活動を維持するのに必要なモノがあるのと同じように俺達にもそういったモノが存在している。ソレはこの星では入手することが困難な物質だ」
「それって・・・前にチラッと閣下が言っていたエネなんとかってヤツ?」
「エネルゴンだ」
やんわりと訂正したスタースクリームは湯気の上がっているカフェラテに向かい息を吹きかけながらスタースクリームは答える。
猫舌であることはスタースクリーム本人には不本意らしく、不機嫌そうにカップを両手で持ちながら息を吹きかける姿を若葉は見ないようにしながら疑問を口にする。
「他のモノで代用は出来ないの?ほら、ガソリンとかそういったモノなら使えそうだけど?」
「俺達のようにある程度の内部構造が出来上がっていれば代用品で対処できるが、雛を安定期まで育てるには純粋なエネルゴンが必要不可欠だ。まぁそういった理由から色々と問題が生じ、それを解決するのが俺に与えられた役目なんだが・・・」
「その口ぶりから察するに上手くいっていないの?」
「まぁな・・・一番の問題はエネルゴンの入手だ。プライム達がエネルゴンに近い物質の精製に成功したと報告が上げられ、それを早急にこちらに回すよう閣下を通して申請はしているし、閣下自らも人間共の上層部に色々と進言しているのだがな。制限とやらのせいで思うように事が運べずにいる」
持っていたカップを握る両手に力が込められたことから、スタースクリームにとってエネルギー不足に対する苦悩が見え隠れしている。
「俺たちに対する人間の認識はそう変えられん」
ディセプティコンが地球を侵略しようとしたこと、人間を奴隷として活用しようとしたこと、それら色々なことがあるからこその制限なのだと理解した若葉の脳裏に浮かんだのはメガトロンとオプティマス、フォールンとセンチネルという相反する組織に属する者たちの顔だ。
「俺達の種族が増えることに関して人間共のお偉い様とやらは危惧していた。今までは様々な理由からソレが困難で俺達の種族がこの星で増えることはないと思っていたんだろうな・・・だが、今は違う。閣下とお前の母親との間にできた子供はある意味で俺達の今後を大きく左右する存在だ」
メガトロンの子ではなく、もっと大きな意味合いを持っているかのような口調で言われた言葉に若葉はスタースクリームを見ると、そこには全ての表情を消したスタースクリームの姿があった。
「そういった意味合いではお前の存在も大きな意味を持っている」
「・・・なんで私が?」
「俺たちは人間と共存することを想定し今のこの姿を・・・お前たち人間と同じ姿を模すことを決めた。そして俺とラチェット、そして幾人かの協力者たちの助力を得ての今のこの姿を得た」
「それが私とどう繋がっているの?」
「いくら人の姿に似せたとしても本質は違う」
遺伝子的に決して相容れぬ存在、姿かたちは似ていたとしても共に異なる存在なのだ、と告げるかのようにスタースクリームは告げる。
彼なりに何も知らぬ、何もわからぬ若葉にもこの内容がどのような意味を持っているのか認識できるよう言葉を選んでくれていることは若葉にも理解ができた。
だからこそここから先の言葉を聞くことはただ、ただ、畏怖することしかできない。
聞いてしまえば、知ってしまえば、きっと自分は逃れられなくなることを解っていた。
「俺たちの見解では人間との間に子供なんて作ることは不可能だった・・・けれど、閣下とお前の母親はそれを否定してしまった。それは行く先が見えぬ俺たちにとっては幸運なことではあるが、お前たち人間にとっては違う」
スタースクリームの言わんとすることを若葉は感じ取ってしまう。
彼が答えを意図的に伏せていて、けれどあえてそれを気づかせるかのような発言。
それが狡いと、卑怯だと、そう声を上げられれば良かった。
けれどそれはできない。
何故ならそれを口にするスタースクリームの目に浮かぶ若葉に対する同情と微かな愛情が見えたから。
「(あぁ。貴方が本当に嫌な人だったらどれほど私は・・・)」
心から憎めれば、恨めれば、自分はどれだけ楽だっただろうか。
思えばセンチネル・プライムが若葉という人間に固執したのも恐らく今話した内容が関わっているからだ。
メガトロンの後継者ができたのならば、オプティマスにも後継者がいなければ権力のバランスが、双方のパワーバランスが成り立なくなってしまう。
答えを伏したままではあるのに相手の言いたいことを、伝えたいことを悟ったらしい若葉の顔を見たスタースクリームの顔が歪む。
「ここから先は俺からの独り言だ」
苦々しい表情をしたスタースクリームが視線を逸らす。
「選択肢がある内に未来を選べ。今ならばまだ間に合うだろうし、俺や他の奴から閣下に対して意見してやれる。考える猶予は日本に居られる間だ・・・・せいぜい、自分の未来が幸せになれるだろう相手を選べ」
平静を装ってこそいるが微かに語尾が震えていることからスタースクリームが彼なりに色々なことを考え、そして押し殺しての言葉であることを若葉は理解するのと同時にスタースクリームの上着をそっとつかむ。
「ありがとう」
色々な意味を持った感謝の言葉を告げればスタースクリームは何も言わず、ただ無言のまま若葉の頭を撫でてくれた。
メガトロンが支配する組織、ディセプティコンの中で研究者という立場であるらしいスタースクリームに与えられたのは彼らの子孫を増やすということだった。
「お前たち人間と俺たちとの体の構造は違う。お前達が生命活動を維持するのに必要なモノがあるのと同じように俺達にもそういったモノが存在している。ソレはこの星では入手することが困難な物質だ」
「それって・・・前にチラッと閣下が言っていたエネなんとかってヤツ?」
「エネルゴンだ」
やんわりと訂正したスタースクリームは湯気の上がっているカフェラテに向かい息を吹きかけながらスタースクリームは答える。
猫舌であることはスタースクリーム本人には不本意らしく、不機嫌そうにカップを両手で持ちながら息を吹きかける姿を若葉は見ないようにしながら疑問を口にする。
「他のモノで代用は出来ないの?ほら、ガソリンとかそういったモノなら使えそうだけど?」
「俺達のようにある程度の内部構造が出来上がっていれば代用品で対処できるが、雛を安定期まで育てるには純粋なエネルゴンが必要不可欠だ。まぁそういった理由から色々と問題が生じ、それを解決するのが俺に与えられた役目なんだが・・・」
「その口ぶりから察するに上手くいっていないの?」
「まぁな・・・一番の問題はエネルゴンの入手だ。プライム達がエネルゴンに近い物質の精製に成功したと報告が上げられ、それを早急にこちらに回すよう閣下を通して申請はしているし、閣下自らも人間共の上層部に色々と進言しているのだがな。制限とやらのせいで思うように事が運べずにいる」
持っていたカップを握る両手に力が込められたことから、スタースクリームにとってエネルギー不足に対する苦悩が見え隠れしている。
「俺たちに対する人間の認識はそう変えられん」
ディセプティコンが地球を侵略しようとしたこと、人間を奴隷として活用しようとしたこと、それら色々なことがあるからこその制限なのだと理解した若葉の脳裏に浮かんだのはメガトロンとオプティマス、フォールンとセンチネルという相反する組織に属する者たちの顔だ。
「俺達の種族が増えることに関して人間共のお偉い様とやらは危惧していた。今までは様々な理由からソレが困難で俺達の種族がこの星で増えることはないと思っていたんだろうな・・・だが、今は違う。閣下とお前の母親との間にできた子供はある意味で俺達の今後を大きく左右する存在だ」
メガトロンの子ではなく、もっと大きな意味合いを持っているかのような口調で言われた言葉に若葉はスタースクリームを見ると、そこには全ての表情を消したスタースクリームの姿があった。
「そういった意味合いではお前の存在も大きな意味を持っている」
「・・・なんで私が?」
「俺たちは人間と共存することを想定し今のこの姿を・・・お前たち人間と同じ姿を模すことを決めた。そして俺とラチェット、そして幾人かの協力者たちの助力を得ての今のこの姿を得た」
「それが私とどう繋がっているの?」
「いくら人の姿に似せたとしても本質は違う」
遺伝子的に決して相容れぬ存在、姿かたちは似ていたとしても共に異なる存在なのだ、と告げるかのようにスタースクリームは告げる。
彼なりに何も知らぬ、何もわからぬ若葉にもこの内容がどのような意味を持っているのか認識できるよう言葉を選んでくれていることは若葉にも理解ができた。
だからこそここから先の言葉を聞くことはただ、ただ、畏怖することしかできない。
聞いてしまえば、知ってしまえば、きっと自分は逃れられなくなることを解っていた。
「俺たちの見解では人間との間に子供なんて作ることは不可能だった・・・けれど、閣下とお前の母親はそれを否定してしまった。それは行く先が見えぬ俺たちにとっては幸運なことではあるが、お前たち人間にとっては違う」
スタースクリームの言わんとすることを若葉は感じ取ってしまう。
彼が答えを意図的に伏せていて、けれどあえてそれを気づかせるかのような発言。
それが狡いと、卑怯だと、そう声を上げられれば良かった。
けれどそれはできない。
何故ならそれを口にするスタースクリームの目に浮かぶ若葉に対する同情と微かな愛情が見えたから。
「(あぁ。貴方が本当に嫌な人だったらどれほど私は・・・)」
心から憎めれば、恨めれば、自分はどれだけ楽だっただろうか。
思えばセンチネル・プライムが若葉という人間に固執したのも恐らく今話した内容が関わっているからだ。
メガトロンの後継者ができたのならば、オプティマスにも後継者がいなければ権力のバランスが、双方のパワーバランスが成り立なくなってしまう。
答えを伏したままではあるのに相手の言いたいことを、伝えたいことを悟ったらしい若葉の顔を見たスタースクリームの顔が歪む。
「ここから先は俺からの独り言だ」
苦々しい表情をしたスタースクリームが視線を逸らす。
「選択肢がある内に未来を選べ。今ならばまだ間に合うだろうし、俺や他の奴から閣下に対して意見してやれる。考える猶予は日本に居られる間だ・・・・せいぜい、自分の未来が幸せになれるだろう相手を選べ」
平静を装ってこそいるが微かに語尾が震えていることからスタースクリームが彼なりに色々なことを考え、そして押し殺しての言葉であることを若葉は理解するのと同時にスタースクリームの上着をそっとつかむ。
「ありがとう」
色々な意味を持った感謝の言葉を告げればスタースクリームは何も言わず、ただ無言のまま若葉の頭を撫でてくれた。