28章:イェーガー一家
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ケイドさん。先程叩かれた手は大丈夫でしたか?」
改まった声音で名前を呼ばれたケイドが視線を向ければ、悔やむかのように微かに目を伏せた若葉の姿があった。
若葉から不安そうな眼差しでジッと見つめられたケイドは先程、スタースクリームによって叩き払われた手を見つめる。
微かに赤くなってこそいるが痛みは全くなく、この赤みもあと少ししたら消えるだろうなと思ったケイドはコクリと一つ頷くと、不機嫌丸出しの顔をしてこちらを見つめてきているスタースクリームへと視線を向けた。
そもそもスタースクリームが本気で排除するつもりで手を叩き払ったのならば、今頃きっと自分の手は見るも無惨な状態になっているだろうという事くらいケイドは理解していた。
「良かった」
安心した、と言うかのように微笑んだ若葉にケイドは気にするなというかのようにポンポンと頭を撫でた。
その瞬間、ケイドは激しく後悔した。
目の前に居るのはあの一癖ある博士の愛娘で、もうすぐメガトロンの義理の娘になる存在だ。
恐る恐る、スタースクリームの方を見るとそこには表情を消した男が1人居た。
何の感情も浮かんではいない顔、けれど自分を見据える赤い目には明確な敵意と異物を排除しようとする感情がありありと浮かんでいる。
「そ、その・・・悪かったな?軽々しく頭とか撫でて」
微かに語尾を震わせながらケイドは若葉に対して告げると、若葉はブンブンと頭を振る。
「いえ、私の方こそ気を遣わせてしまったみたいで・・・」
恥ずかしそうに、けれど微かに嬉しさからか頬を紅潮させながら若葉は告げる。
その反応を見たケイドはテッサにも昔はこんな風に初々しくて、可愛らしい反応があったなぁと思い目を細めて笑う。
ここ最近、思春期の娘とその彼氏との関係が色々あり、父としての尊厳とか彼氏に対する嫉妬心で傷ついていたケイドの心がほっこりとしたような気がした時だ。
「貴様等。随分と楽しそうだなぁ」
妬ましさを隠すことをしない声音が機内に響く。
その声の禍々しさにビシッと固まったケイドとは対照的に、若葉は呆れたような顔をした。
ケイドと話している間、ずっと文句の言いたげなジトッとした恨めしげな視線がヒタリと背中に向けられていることに若葉は気づきながらも、あえてその視線を黙殺していた。
若葉が自分を意図的に無視していることに気づいたらしいスタースクリームはこっちを見ろ、と言うかのように指先で肘掛けをタンタンと叩いて必死に自分の存在を主張しているが若葉はそんなものなど聞こえませんと言うかのような態度を貫き続けていたのだが、声を掛けてきたという事からスタースクリームの我慢もそろそろ限界だと思いの方へと身体を向ける。
「小娘。いい加減戻ってこい」
用件が済んだのだから自分の元に来い。
そう言うかのように指を動かすスタースクリームの機嫌はすこぶる悪い事は明らかだ。
これ以上の行動は自分だけではなく、他の人に迷惑がかかると判断した若葉はケイドに一礼をするとその場を離れる。
元々座っていたシートに座った若葉に対しスタースクリームが話しかけてくる。
「随分と長いトイレだったなぁ?」
「私が居なかったのがそんなに寂しかったんですか?」
にっこりと微笑みながら答えた若葉の言葉をスタースクリームは最初、理解出来なかったのだろうが、その言葉の意味を理解すると顔を怒りと羞恥から真っ赤にする。
「え?もしかして図星?」
「違うッ!」
「照れなくても良いのにー。解った、今度から離れないようにするからね?もう寂しくないよね?」
「だから!違うと!言っているッ!!!」
必死に否定するスタースクリームであったが、必死すぎるその姿から誰もが「あぁ。コイツ、寂しかったんだな」と思ってしまうのは当然のことだった。