27章:楽しい空の旅
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着陸準備を始めた機内の中で若葉は黙って窓から見える景色を見つめる。
青い空、飛行機の下に広がる雲、それらの距離が少しずつ縮まり始めた。
雲の下には紺碧の海と黒い大地があり、それをジッと見つめていたときだ。
「貴様の国には義務教育というものがあるのだろう?間違いでは無ければ、その教育期間中に英語を学ぶ機会があったはずだが英語が解らないのか?」
「確かに学ぶ機会はありましたが、えぇっと・・・テキストを活用した文字での勉強が多かったので英会話とかはちょっと苦手ですね」
「なんだその下らんシステムは」
吐き捨てるように言われた言葉に若葉は「ですよねー」と返事をすることしか出来ない。
先程までならば、様子のおかしくなる前の若葉ならば、もっと軽快な言葉を返してきたはずなのだろうが、突然それをしなくなってしまったことがスタースクリームには不服だった。
「貴様の言い分だと読み書きくらいならばどうにかなるのか?」
「・・・えぇっと、一応は可能かと」
「はっきりしろ」
「すみません。自信ありません」
学校での成績はそれなりに悪くは無かった若葉は英語圏の場所に行っても、意思の疎通くらいは辛うじて出来るだろうと思っていたのだが現実はそれほど甘くは無かった。
事実、レノックスとの会話とて彼が話している内容を良く解らなかったし、基地へと向かう飛行機の中で若葉が英語で相談を持ちかけたとしても彼等は困ったように肩をすくめたりしていて、身振り手振りで辛うじて言いたいこと、伝えたいことを表現できた。
つまり早い話が現地の人達からしてみれば自分の英語が通用しない事はあの基地で過ごしている間に痛感している。
故に下手に取り繕うことは良くないだろうと判断した若葉は、消え入りそうな声で返答をするとスタースクリームは呆れたようにため息を深々と吐き出す。
「閣下から下された命令の中にはお前に英語を理解させろというものがある」
「え?」
「他に教えられる者が居ない為、日本滞在中は俺がお前の指導をしてやろう」
「あー・・・それは色々とお手数おかけしてしまい、申し訳ないです」
「貴様のそういった態度は嫌いだ」
若葉の頭の上に大きな掌が乗せられ、驚いた若葉がスタースクリームを見つめると、不機嫌そうな赤い目と視線が合う。
「小生意気な方が貴様らしいぞ」
吐き捨てるようにして返された言葉に若葉はどういう意味だろうか?と思いながら小首を傾げた直後、グリグリと乱暴に髪をなで回される。
大きな掌が頭を撫でる度に若葉の心の奥底が温かくなっていく。
気づけば隣に座っているスタースクリームの上着を掴んでいて、ソレに気づいたスタースクリームの目が「なんだ?」と言うかのように一瞬だけ細められる。
「スタースクリーム」
突然なんの前触れもなく若葉に名前を呼ばれたスタースクリームは驚き、思わず頭を撫でていた手を止めてしまう。
「ありがとう」
無邪気に微笑みながら告げられた感謝の言葉にスタースクリームは絶句した。
若葉がいつも返してきた態度や表情は、いつだって小生意気そうで、そしてそれでいてどこか自らの感情を押し殺したかのようなモノだった。
けれど、今の若葉にはそれがない。
ただ、純粋に感謝の気持ちを伝えるかのような笑みを見たスタースクリームの脳裏に浮かんだのは、自分を一心に慕ってくる雛たちの姿だ。
世の非情さを知らぬ者達が向けてくる無垢な感情、思ったままの表情、それと同じモノを持つ若葉を直視することが出来なくなったスタースクリームは気づけば撫でていた頭を乱暴になで回してしまう。
そんな2人の姿を興味深そうに見つめる目と、嫌悪を滲ませて見つめる目があったのだが、若葉は気づくことは無かった。
青い空、飛行機の下に広がる雲、それらの距離が少しずつ縮まり始めた。
雲の下には紺碧の海と黒い大地があり、それをジッと見つめていたときだ。
「貴様の国には義務教育というものがあるのだろう?間違いでは無ければ、その教育期間中に英語を学ぶ機会があったはずだが英語が解らないのか?」
「確かに学ぶ機会はありましたが、えぇっと・・・テキストを活用した文字での勉強が多かったので英会話とかはちょっと苦手ですね」
「なんだその下らんシステムは」
吐き捨てるように言われた言葉に若葉は「ですよねー」と返事をすることしか出来ない。
先程までならば、様子のおかしくなる前の若葉ならば、もっと軽快な言葉を返してきたはずなのだろうが、突然それをしなくなってしまったことがスタースクリームには不服だった。
「貴様の言い分だと読み書きくらいならばどうにかなるのか?」
「・・・えぇっと、一応は可能かと」
「はっきりしろ」
「すみません。自信ありません」
学校での成績はそれなりに悪くは無かった若葉は英語圏の場所に行っても、意思の疎通くらいは辛うじて出来るだろうと思っていたのだが現実はそれほど甘くは無かった。
事実、レノックスとの会話とて彼が話している内容を良く解らなかったし、基地へと向かう飛行機の中で若葉が英語で相談を持ちかけたとしても彼等は困ったように肩をすくめたりしていて、身振り手振りで辛うじて言いたいこと、伝えたいことを表現できた。
つまり早い話が現地の人達からしてみれば自分の英語が通用しない事はあの基地で過ごしている間に痛感している。
故に下手に取り繕うことは良くないだろうと判断した若葉は、消え入りそうな声で返答をするとスタースクリームは呆れたようにため息を深々と吐き出す。
「閣下から下された命令の中にはお前に英語を理解させろというものがある」
「え?」
「他に教えられる者が居ない為、日本滞在中は俺がお前の指導をしてやろう」
「あー・・・それは色々とお手数おかけしてしまい、申し訳ないです」
「貴様のそういった態度は嫌いだ」
若葉の頭の上に大きな掌が乗せられ、驚いた若葉がスタースクリームを見つめると、不機嫌そうな赤い目と視線が合う。
「小生意気な方が貴様らしいぞ」
吐き捨てるようにして返された言葉に若葉はどういう意味だろうか?と思いながら小首を傾げた直後、グリグリと乱暴に髪をなで回される。
大きな掌が頭を撫でる度に若葉の心の奥底が温かくなっていく。
気づけば隣に座っているスタースクリームの上着を掴んでいて、ソレに気づいたスタースクリームの目が「なんだ?」と言うかのように一瞬だけ細められる。
「スタースクリーム」
突然なんの前触れもなく若葉に名前を呼ばれたスタースクリームは驚き、思わず頭を撫でていた手を止めてしまう。
「ありがとう」
無邪気に微笑みながら告げられた感謝の言葉にスタースクリームは絶句した。
若葉がいつも返してきた態度や表情は、いつだって小生意気そうで、そしてそれでいてどこか自らの感情を押し殺したかのようなモノだった。
けれど、今の若葉にはそれがない。
ただ、純粋に感謝の気持ちを伝えるかのような笑みを見たスタースクリームの脳裏に浮かんだのは、自分を一心に慕ってくる雛たちの姿だ。
世の非情さを知らぬ者達が向けてくる無垢な感情、思ったままの表情、それと同じモノを持つ若葉を直視することが出来なくなったスタースクリームは気づけば撫でていた頭を乱暴になで回してしまう。
そんな2人の姿を興味深そうに見つめる目と、嫌悪を滲ませて見つめる目があったのだが、若葉は気づくことは無かった。