25章:大切な人達の幸せのために
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願いを乞うのならば自分の身の保身を口にすれば良いのだ。
ましてや自分の命運が他人の手中に落ちると解っているのならばこそ、自らの処遇が良くなるように懇願するのが普通の人間がすることだ。
「あの娘は自分を切捨てる事を何とも思ってはいません。そうすべき時が来たのならば迷うこと無くソレを実行します・・・そんな者だからこそ、私は娘を守りたいのです」
今になってメガトロンが言っていた言葉の意味をフォールンは本当の意味で理解する。
若葉のやっている行動は全て自己犠牲だ。
そう言えば綺麗な感情のように感じられるが、現実は救いなど何も無いただの犠牲だ。
だからこそフォールンは自分が若葉へと行っていることに対して罪悪感を抱く。
そんなものなど抱く権利など無いとは解っている。
自分は一方的な加害者でしかなく、逆らう術を持たぬ弱者を虐げているだけだということも解っていた。
「それがお前の本心か?・・・他に要望は無いのか?」
「いいえ、何も」
ただ、母が幸せだと思いながら笑っていて欲しい。
安寧とした幸せを得て苦しむこと無く健やかに生きて欲しい。
今度こそ好きな人と共に添い遂げて欲しい。
母の幸せをずっと壊し続けた娘に出来る事など限られていて、その為に自分に出来る事があるのならば自分は全力でソレを選ぼうと若葉は思う。
「(それがきっと私が母さんに出来る償いだから)」
母の人間としての幸せを、女としての生き方を、博士としての栄光を、何もかもを捨てさせてきた存在が出来る唯一の事だ。
いつかの未来できっと自分は大人達の都合の良い駒となって消えることも解っている。
ここでその選択を蹴ることも出来るが、ソレを選べば何も知らぬ、抗う術を持たぬ赤子へとお鉢が回ることは必然だ。
それだけは何としてでも阻止しなければならない。
平凡な生き方をして、幸せだと言って笑って、満ち足りた自由な未来を得て欲しい。
顔も知らぬ赤子へと若葉は告げる。
だから若葉は逃げることをしない。
「(センチネルさんは私や赤ちゃんを利用する事を諦めていない)」
何の感情も浮かんではいないセンチネルの目、そして言葉巧みに若葉という人間を操ろうとしているフォールン。
この2人が自分を利用しようとしている事くらい若葉とて解っている。
フォールンの提案も全てが未来に対する布石でしか無い。
この人はメガトロンとは違って、多くを生かすために多少の犠牲を払うことは致し方のない事だと割り切れる。
若葉が2人の手から逃げれば2人は赤子を奪い合う。
その結果苦しむのは母だ。
メガトロンがその2人に対して抗おうとも限界がある。
いつか赤子は多くを生かすための犠牲となってしまう。
「(それだけは駄目だ)」
我ながら馬鹿な考えだということも解っているし、いつかきっとこの選択を心から悔いる時が来る事も解っている。
「若葉」
悔やむかのような声で名を呼ぶフォールンに向かい若葉は笑う。
何もかもを見透かしたかのようなその笑みを見たフォールンは自分が取り返しのつかない事をしたのだと気づく。
「フォールン様・・・母と赤ちゃんのことをよろしくお願いします」
きっと近い将来、自分は彼等と別れる事となる。
外堀が埋められていたことに気づくのが遅かった。
否、もっと早くに気づけたとて無力な自分にはきっと何も抗う事など出来はしなかった。
無力なこの手は何も無い虚を掴むことしか最初から無かった。
そう思った若葉の顔に仄暗い笑みが浮かぶ。
「・・・一つ聞く。お前は解っていたのか?」
最初から自分には幸せな未来が無いのだと、他者に利用されて踏みにじられるだけの未来しか無かったのだと、ここに来たときから解っていたのかと問うフォールンからの問いに対し、若葉はソレを否定するかのように揺るく首を振った。
ましてや自分の命運が他人の手中に落ちると解っているのならばこそ、自らの処遇が良くなるように懇願するのが普通の人間がすることだ。
「あの娘は自分を切捨てる事を何とも思ってはいません。そうすべき時が来たのならば迷うこと無くソレを実行します・・・そんな者だからこそ、私は娘を守りたいのです」
今になってメガトロンが言っていた言葉の意味をフォールンは本当の意味で理解する。
若葉のやっている行動は全て自己犠牲だ。
そう言えば綺麗な感情のように感じられるが、現実は救いなど何も無いただの犠牲だ。
だからこそフォールンは自分が若葉へと行っていることに対して罪悪感を抱く。
そんなものなど抱く権利など無いとは解っている。
自分は一方的な加害者でしかなく、逆らう術を持たぬ弱者を虐げているだけだということも解っていた。
「それがお前の本心か?・・・他に要望は無いのか?」
「いいえ、何も」
ただ、母が幸せだと思いながら笑っていて欲しい。
安寧とした幸せを得て苦しむこと無く健やかに生きて欲しい。
今度こそ好きな人と共に添い遂げて欲しい。
母の幸せをずっと壊し続けた娘に出来る事など限られていて、その為に自分に出来る事があるのならば自分は全力でソレを選ぼうと若葉は思う。
「(それがきっと私が母さんに出来る償いだから)」
母の人間としての幸せを、女としての生き方を、博士としての栄光を、何もかもを捨てさせてきた存在が出来る唯一の事だ。
いつかの未来できっと自分は大人達の都合の良い駒となって消えることも解っている。
ここでその選択を蹴ることも出来るが、ソレを選べば何も知らぬ、抗う術を持たぬ赤子へとお鉢が回ることは必然だ。
それだけは何としてでも阻止しなければならない。
平凡な生き方をして、幸せだと言って笑って、満ち足りた自由な未来を得て欲しい。
顔も知らぬ赤子へと若葉は告げる。
だから若葉は逃げることをしない。
「(センチネルさんは私や赤ちゃんを利用する事を諦めていない)」
何の感情も浮かんではいないセンチネルの目、そして言葉巧みに若葉という人間を操ろうとしているフォールン。
この2人が自分を利用しようとしている事くらい若葉とて解っている。
フォールンの提案も全てが未来に対する布石でしか無い。
この人はメガトロンとは違って、多くを生かすために多少の犠牲を払うことは致し方のない事だと割り切れる。
若葉が2人の手から逃げれば2人は赤子を奪い合う。
その結果苦しむのは母だ。
メガトロンがその2人に対して抗おうとも限界がある。
いつか赤子は多くを生かすための犠牲となってしまう。
「(それだけは駄目だ)」
我ながら馬鹿な考えだということも解っているし、いつかきっとこの選択を心から悔いる時が来る事も解っている。
「若葉」
悔やむかのような声で名を呼ぶフォールンに向かい若葉は笑う。
何もかもを見透かしたかのようなその笑みを見たフォールンは自分が取り返しのつかない事をしたのだと気づく。
「フォールン様・・・母と赤ちゃんのことをよろしくお願いします」
きっと近い将来、自分は彼等と別れる事となる。
外堀が埋められていたことに気づくのが遅かった。
否、もっと早くに気づけたとて無力な自分にはきっと何も抗う事など出来はしなかった。
無力なこの手は何も無い虚を掴むことしか最初から無かった。
そう思った若葉の顔に仄暗い笑みが浮かぶ。
「・・・一つ聞く。お前は解っていたのか?」
最初から自分には幸せな未来が無いのだと、他者に利用されて踏みにじられるだけの未来しか無かったのだと、ここに来たときから解っていたのかと問うフォールンからの問いに対し、若葉はソレを否定するかのように揺るく首を振った。