3章:最悪な初顔合わせ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
軽い気持ちで始めた事だったが、家の中全てを見終わることには後悔しか抱けなくなっていた。
「完全に住む世界が違う」
キッチンも、お風呂場も、客室も、何もかもが若葉が普段慣れ親しんでいるレベルのものとは違っていた。
どこの豪華ホテルですか?と問いかけたくなるような室内の様子に若葉は酷く疲れた顔をしてリビングへと戻ってくるとソファに再び沈んだ。
「探検なんて止めとけば良かった」
肌触りの良いクッションを手に取った若葉はそれを抱きかかえた時、最後に見た部屋の事を思い出す。
その部屋は他の部屋と比べて少しだけ広い造りをしていて、そして誰かが既にそこで生活しているかのような気配が残っていた。
それに気づいたのと同時に見ては駄目だと思い若葉は目を逸らそうとしたのだが、若葉の気持ちとは裏腹に身体は何故か全く動いてはくれなかった。
だから嫌でも室内様子を認識してしまったのだ。
部屋の奥にある大きなベッド、置かれている2つの枕、それに気づいた瞬間、若葉はこの部屋が誰の部屋なのか理解してしまった。
「あー・・・・」
母親とまだ名前すら知らない母の再婚相手が過ごしている部屋を見てしまった。
その事に対する罪悪感が今になってやってきて、若葉はソレを消すためにクッションを力任せに抱きしめるが一向に消えてくれない。
胸の中でジクジクと燻っているのは罪悪感だけではない。
若葉にも解らない感情があの部屋を見た時から生まれて、まるで責め立てるかのように微かな痛みを発しているのだ。
「ホント、母さんの言っていたように大人しくTVでも見ているんだったなぁ」
苦笑を浮かべた若葉はリモコンを手に取るとTVの電源を入れる。
聞こえてきたのは慣れ親しんだ日本語でもなく、聞き慣れぬ英語であったので何を言っているのか全く理解できなかったが、意味が解らないからこそ救われた。
無音で過ごすよりも何倍も精神的に楽になれた。
ぼんやりとTVを見ていた若葉は少しだけ気持ちは楽になったものの、やはり未だに消えてはくれない痛みに顔をしかめる。
こんな痛みを若葉は過去に何度か感じた事があった。
それは母と交際をしている男と会った時の事だ。
この人ならば母を幸せにしてくれると思え、心から2人の事を祝福していたのにその人と話をする度に何故か痛みを感じるような感情が込み上げてきた。
母はさすが産みの親なのか若葉ですら未だに理解していないその感情の正体に気づくとその人との交際を止めたのだ。
その時と同じ気持ちを今また再び自分が抱いていることに若葉は気づく。
「私」
母の女としての幸せを、一人の女性としての幸せを、結局いつだって最終的に壊してきたのは自分という存在だった。
今回もきっと同じ結末になる、そう思えば若葉は母に対して申し訳のない気持ちを抱く。
「やっぱり来ない方が良かったのかもしれない」
誰に言うわけでもなく呟いた言葉に対する返答はない。
その事が何故かとても悲しくて、苦しくて、若葉は目の奥が熱くなってきたのを感じ取ると抱きしめていたクッションに顔を埋めた。
TVから聞こえてくる場違いなほど明るい笑い声、それがまるで自分を嘲笑っているかのような気がして酷く耳障りな音だったが、何故かTVを消すことが出来なかった。
「完全に住む世界が違う」
キッチンも、お風呂場も、客室も、何もかもが若葉が普段慣れ親しんでいるレベルのものとは違っていた。
どこの豪華ホテルですか?と問いかけたくなるような室内の様子に若葉は酷く疲れた顔をしてリビングへと戻ってくるとソファに再び沈んだ。
「探検なんて止めとけば良かった」
肌触りの良いクッションを手に取った若葉はそれを抱きかかえた時、最後に見た部屋の事を思い出す。
その部屋は他の部屋と比べて少しだけ広い造りをしていて、そして誰かが既にそこで生活しているかのような気配が残っていた。
それに気づいたのと同時に見ては駄目だと思い若葉は目を逸らそうとしたのだが、若葉の気持ちとは裏腹に身体は何故か全く動いてはくれなかった。
だから嫌でも室内様子を認識してしまったのだ。
部屋の奥にある大きなベッド、置かれている2つの枕、それに気づいた瞬間、若葉はこの部屋が誰の部屋なのか理解してしまった。
「あー・・・・」
母親とまだ名前すら知らない母の再婚相手が過ごしている部屋を見てしまった。
その事に対する罪悪感が今になってやってきて、若葉はソレを消すためにクッションを力任せに抱きしめるが一向に消えてくれない。
胸の中でジクジクと燻っているのは罪悪感だけではない。
若葉にも解らない感情があの部屋を見た時から生まれて、まるで責め立てるかのように微かな痛みを発しているのだ。
「ホント、母さんの言っていたように大人しくTVでも見ているんだったなぁ」
苦笑を浮かべた若葉はリモコンを手に取るとTVの電源を入れる。
聞こえてきたのは慣れ親しんだ日本語でもなく、聞き慣れぬ英語であったので何を言っているのか全く理解できなかったが、意味が解らないからこそ救われた。
無音で過ごすよりも何倍も精神的に楽になれた。
ぼんやりとTVを見ていた若葉は少しだけ気持ちは楽になったものの、やはり未だに消えてはくれない痛みに顔をしかめる。
こんな痛みを若葉は過去に何度か感じた事があった。
それは母と交際をしている男と会った時の事だ。
この人ならば母を幸せにしてくれると思え、心から2人の事を祝福していたのにその人と話をする度に何故か痛みを感じるような感情が込み上げてきた。
母はさすが産みの親なのか若葉ですら未だに理解していないその感情の正体に気づくとその人との交際を止めたのだ。
その時と同じ気持ちを今また再び自分が抱いていることに若葉は気づく。
「私」
母の女としての幸せを、一人の女性としての幸せを、結局いつだって最終的に壊してきたのは自分という存在だった。
今回もきっと同じ結末になる、そう思えば若葉は母に対して申し訳のない気持ちを抱く。
「やっぱり来ない方が良かったのかもしれない」
誰に言うわけでもなく呟いた言葉に対する返答はない。
その事が何故かとても悲しくて、苦しくて、若葉は目の奥が熱くなってきたのを感じ取ると抱きしめていたクッションに顔を埋めた。
TVから聞こえてくる場違いなほど明るい笑い声、それがまるで自分を嘲笑っているかのような気がして酷く耳障りな音だったが、何故かTVを消すことが出来なかった。