22章:父との決別
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麻酔が効いたのを確認したラチェットの手により消毒と縫合をされた若葉の左腕には包帯が巻かれていた。
見るからに痛々しい事になってしまっている左腕からラチェットはそっと視線を逸らすと、持っていた医療道具を鞄の中へとしまい込む。
今処置したいくつかの傷は目立ちはしないがうっすらとした痕になってしまう事は解っており、若い娘のこれからのことを考えたラチェットの顔が少しだけ曇る。
「(まぁメガトロンが黙っているわけがないな)」
傷跡が残ったことを知ったメガトロンが持てる全ての技術力を用いて対処することは間違い無い。
もしも許されるのならば自分も可能な限り協力をしようとラチェットが密かに考えていたときだった。
「あの・・・色々とご迷惑ばかり掛けてしまって、本当にすみませんでした」
母に対して暴言を吐いた時にラチェットは病室にいるように言ったのに、ソレに逆らうかのように若葉は部屋から逃げ出した事に対する罪悪感が今になって込み上げてきた。
思えばここに来てからラチェットには随分と親身になって貰っているというのに、そんな彼に対して自分は迷惑ばかりかけ続けてしまっているなと若葉が思っていたときだ。
「若葉」
いつもと変わらぬ優しい声が名前を呼ぶのと同時にそっと頭を撫でられる。
「君は私に対して悪い事をしたと思っているのだろうが、それは少しばかり違うな。ここには君以上に私に迷惑を掛け、そしてソレを当然だと思っているような馬鹿な連中が沢山居るんだ。そんな馬鹿者達と比べれば君の行動なんて可愛いものだよ」
「は、はぁ・・・」
「謝る必要なんてないさ。だが、もしも君が君の気持ちを私に伝えたいというのであれば謝罪ではなく感謝の言葉が良い」
ラチェットとしては今言った言葉に偽りなどは無い。
事実、年甲斐もなく訓練で暴れ、血が上り、そして負傷してやって来る者達が多すぎるのだ。訓練はあくまでも訓練であり、実戦ではないのだからソレを忘れるなと何度も口を酸っぱくして伝えるのだが、今までかつて誰一人としてその言葉に従ったことは無い。
挙げ句の果てには全員が「またラチェットの小言が始まった」と言うかのようなうんざりとした顔をするようになっていた。
1つ思い出せば、次々と当時のムカつく記憶とやらが蘇ってきたためラチェットは顔には出さないがかなりイライラとし始めた時だった。
「ラチェットさん、あの・・・いつもありがとうございます」
ぎこちなく微笑みながら告げられた若葉の声を聞いた瞬間、ラチェットは一瞬キョトンとした顔をしたがすぐに嬉しそうに目を細めて笑う。
その笑みを見たサイドウェイズが気持ちの悪いものを見たと言うかのような顔をすると、自分は何も見なかったと言うかのようにスッと視線をラチェットから逸らす。
「痛み止めや化膿止めなどの薬を処方する事になるんだが、今まで薬を飲んで体調を崩したことはないかな?」
「何も無いですね」
「そうか。ならば処方してメガトロンに渡しておこう」
頭の中でいくつかピックアップした薬リストをラチェットが薬剤師の持っているタブレットへと転送し終えたときだった。
ドアが開く音がした事に気づいたラチェットは立ち上がると若葉を守るかのように前に立ったのだが、やって来た者達を見て驚いたように青い目を微かに見開く。
「センチネル。何故貴方がここに?」
「何故?そんな事くらい簡単に解ることではないか?」
淡々とした声音でセンチネルが答えるとラチェットへと向けていた視線を背後へと向けた。
センチネルが見つめる場所に居るのは若葉だ。
若葉を見つめるその視線の鋭さにラチェットはスパークが締め付けられるかのような感覚を抱く。
「問題ばかり起こす娘だな」
吐き捨てるかのようにポツリと呟いた声は大きくはない。
けれどその場に居る者達全員の耳に届くのには十分だった。
見るからに痛々しい事になってしまっている左腕からラチェットはそっと視線を逸らすと、持っていた医療道具を鞄の中へとしまい込む。
今処置したいくつかの傷は目立ちはしないがうっすらとした痕になってしまう事は解っており、若い娘のこれからのことを考えたラチェットの顔が少しだけ曇る。
「(まぁメガトロンが黙っているわけがないな)」
傷跡が残ったことを知ったメガトロンが持てる全ての技術力を用いて対処することは間違い無い。
もしも許されるのならば自分も可能な限り協力をしようとラチェットが密かに考えていたときだった。
「あの・・・色々とご迷惑ばかり掛けてしまって、本当にすみませんでした」
母に対して暴言を吐いた時にラチェットは病室にいるように言ったのに、ソレに逆らうかのように若葉は部屋から逃げ出した事に対する罪悪感が今になって込み上げてきた。
思えばここに来てからラチェットには随分と親身になって貰っているというのに、そんな彼に対して自分は迷惑ばかりかけ続けてしまっているなと若葉が思っていたときだ。
「若葉」
いつもと変わらぬ優しい声が名前を呼ぶのと同時にそっと頭を撫でられる。
「君は私に対して悪い事をしたと思っているのだろうが、それは少しばかり違うな。ここには君以上に私に迷惑を掛け、そしてソレを当然だと思っているような馬鹿な連中が沢山居るんだ。そんな馬鹿者達と比べれば君の行動なんて可愛いものだよ」
「は、はぁ・・・」
「謝る必要なんてないさ。だが、もしも君が君の気持ちを私に伝えたいというのであれば謝罪ではなく感謝の言葉が良い」
ラチェットとしては今言った言葉に偽りなどは無い。
事実、年甲斐もなく訓練で暴れ、血が上り、そして負傷してやって来る者達が多すぎるのだ。訓練はあくまでも訓練であり、実戦ではないのだからソレを忘れるなと何度も口を酸っぱくして伝えるのだが、今までかつて誰一人としてその言葉に従ったことは無い。
挙げ句の果てには全員が「またラチェットの小言が始まった」と言うかのようなうんざりとした顔をするようになっていた。
1つ思い出せば、次々と当時のムカつく記憶とやらが蘇ってきたためラチェットは顔には出さないがかなりイライラとし始めた時だった。
「ラチェットさん、あの・・・いつもありがとうございます」
ぎこちなく微笑みながら告げられた若葉の声を聞いた瞬間、ラチェットは一瞬キョトンとした顔をしたがすぐに嬉しそうに目を細めて笑う。
その笑みを見たサイドウェイズが気持ちの悪いものを見たと言うかのような顔をすると、自分は何も見なかったと言うかのようにスッと視線をラチェットから逸らす。
「痛み止めや化膿止めなどの薬を処方する事になるんだが、今まで薬を飲んで体調を崩したことはないかな?」
「何も無いですね」
「そうか。ならば処方してメガトロンに渡しておこう」
頭の中でいくつかピックアップした薬リストをラチェットが薬剤師の持っているタブレットへと転送し終えたときだった。
ドアが開く音がした事に気づいたラチェットは立ち上がると若葉を守るかのように前に立ったのだが、やって来た者達を見て驚いたように青い目を微かに見開く。
「センチネル。何故貴方がここに?」
「何故?そんな事くらい簡単に解ることではないか?」
淡々とした声音でセンチネルが答えるとラチェットへと向けていた視線を背後へと向けた。
センチネルが見つめる場所に居るのは若葉だ。
若葉を見つめるその視線の鋭さにラチェットはスパークが締め付けられるかのような感覚を抱く。
「問題ばかり起こす娘だな」
吐き捨てるかのようにポツリと呟いた声は大きくはない。
けれどその場に居る者達全員の耳に届くのには十分だった。